20230606国土交通委員会【確定稿】

令和五年六月六日(火曜日)

○嘉田由紀子君 国民民主党・新緑風会の嘉田でございます。質問の時間をお与えいただき、ありがとうございます。
まず、六月上旬の台風二号と梅雨前線による線状降水帯の水害被害を受けられた皆様に心からのお悔やみ申し上げます。一日も早い生活再建、お祈り申し上げます。
本日、後半には水害対策問題について質問させていただきますが、前半は今話題となっております空家対策について質問させていただきます。
まず、午前中からのちょっとおさらいをさせていただきますと、永井議員が山梨県の事情を御説明くださいました。もう山梨だけではなく、三上議員が出してくださったように人口減少地域がもう空家問題を抱えている、特に向都離村の中で若い人がどんどん出てしまって跡取りがいないという、これはまさに構造問題だと思います。
それから、三上議員とそれから鬼木議員が、自治体任せのこの空家対策、本当にもうどうなっているんだと、手が回らない。実は私も自治体にいろいろお話聞いていますけれども、広島の事例、よく分かります。もう全国で自治体の職員さんが手いっぱいだということでございます。
そういう中で、高橋議員が兵庫の事例を見事に御紹介くださいました。いつも兵庫県は学ばせていただくことが多いんですが、特に農地付きの空家、いいですね、ここはもう是非地域おこし協力隊の皆様が、人が入っていただくと継続ができると思います。
それから、石井苗子議員のいつも根本構造を指摘してくださるということで、住宅政策の失敗ではないですか、八百五十万戸も空家をつくってしまったのはということで、ちょっとおさらいをさせていただきました。
私も、実はこの構造問題から質問させていただきたいと思います。
日本の住宅の平均耐久年数、諸外国と比べて極めて短いということを改めて数字でフォローさせていただきます。総務省の平成三十年調査ですと、日本が平均三十八・二年、アメリカ五十五・九年、イギリス七十八・八年です。
理由としては、新築を好む日本人の性格とか、あるいは木造住宅だとかいろいろあるんでしょうけれども、環境的には一軒の住宅を廃棄すると四トンのごみが出るんです。私はずっと環境問題をやっておりましたので、できるだけ家を長く使うことによってこの環境、廃棄物も減らすということも勉強してまいりました。特に、耐熱性、耐震性、低機能の住宅をどんどん乱発していきますと、空家が増えて、そして使い道がなくなる。一方で、優れた良質の住宅を提供することが、健康水準の維持あるいは先ほどのごみの解消など、社会的にもプラスになると思っております。同時に、脱炭素社会づくりにも住宅のエネルギー需要は大変重要ですので、高機能の住宅の価値も高まると思っております。
実は、二〇一三年に、私はエネルギー政策を学びたくてドイツに若い県庁職員と一緒に結構長時間掛けて視察に行きました。そのときびっくりしたことが二つあります。一つは、ドイツは新築住宅のもう許可を出さない。そして、古い住宅、個別の住宅だけではなくて、集合住宅も全てリニューアルをして、そして省エネルギー、同時に地域ごとの再生可能エネルギーを、エネルギー政策と住宅政策をセットにしている。
ですから、先ほど来、石井議員が言っていらした構造問題、国として縦割りで、確かに住宅需要、業界も必要だと思いますが、リニューアルを主にすることによって住宅業界も十分に潤うことがあるわけです。そして、結果的にはドイツは、経済成長二倍しているんですけど、エネルギー需要が横ばいということは、エネルギー効率二倍という国家をつくり、そういう中で原発もゼロにしたという、私は、全体最適、これは日本はドイツの政策に大いに学ぶべきだろうと思っております。
そういう中で、この人口減少時代を迎え、かつ脱炭素社会づくり、喫緊の課題ですけれども、住宅政策の在り方について、今回の法案の意味付けももちろんそうなんですが、より大きな住宅政策の在り方について国土交通大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 午前中はかりゆしを着させていただいておりましたが、ちょっと寒かったものですから、午後から上着を着て御答弁させていただきます。
今、嘉田委員おっしゃいましたように、アメリカ、欧米はいわゆる既存住宅マーケット、そして日本は新築マーケット中心だということで、これを欧米のように将来世代に継承できる良質な住宅ストックを形成し、これを循環するシステムに変えていかなきゃいけない、これは我々国も同じように考えております。まだしかし、現在、耐震性でありますとか断熱性等でまだまだその継承していかなくてはならないというレベルにまでなっていない、そういう住宅が多いということだと思います。
また、既存住宅の活用促進は、住宅の解体に伴う廃棄物の発生を抑止し、地球環境の負荷低減にも寄与するものと考えております。この法案も、本法案も、既存住宅の活用、流通拡大を進める上で重要な一役を担うものであり、一翼を担うものであり、空家の重点的な活用を図る区域制度や空家の状態悪化をできるだけ食い止める管理の確保を図る措置などを導入することとしております。
このように、日本もこの既存住宅をしっかり継承していく、そういうマーケットにしていかなくてはならない。今回のこの法律案はその一翼を担うものと、このように認識しております。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
国が全体最適で構造的な仕組みをつくっていただかないと、自治体はそこを後追いをするばっかりで現場の問題を対策取らなきゃいけないということで、是非、国土交通省さん始め、先ほどは農水省も含めて、それから経産省さんも含めて、全体最適の政策を考えていただけたらと思います。
この後少し個別的な質問させていただきますが、特に中心の都市部でシャッター街になり、そして老朽住宅がという問題が各地にございます。例えば滋賀県ですと長浜市というところが、私は昭和六十年代から長浜市の調査をしていたんですけれども、本当にシャッター街で、一時間調べていてもおばあちゃん一人に犬一匹ぐらいしか通らない、そういうところで長浜市は、中心市街地の活性化、それまで白いキリスト教会だったのを黒壁、そしてアーケードを外して空が見えるというような大規模なまちづくりをして、そのときにかなり空家の対策も市として進めてきたんですけれども、まだまだ問題があります。
ということで、今回のこの法案、例えば長浜市のような中核市でもない政令市でもない一般市町が中心市街地活性化させるとき、今回の法案、どういうふうなところでサポートしていただけるでしょうか。住宅局長さんにお願いいたします。
○政府参考人(塩見英之君) お答え申し上げます。
空家が増加する中で、既存の空家ストックを地域の活性化とか地域の課題解決に役立てる、こういう視点は非常に大事だと思います。空家を資産と捉えまして、その有効活用を促していくということだと思います。しかし、せっかくの空家をそのまま放置している所有者の方も大変多くいらっしゃって、賃貸とか売却による有効活用を是非促していくということが大事だと思っております。
今回の法律におきましては、中心市街地など空家の活用を重点的に図ろうとする区域を市町村が設定をしまして、活用方針を示して所有者に活用を要請するという仕組みを導入をいたします。また、活用の際にネックとなります接道や用途、こういった規制を市町村主導で合理化をしまして、建て替えとか用途変更をしやすくする、こういうことについても取り組みたいと思います。
さらに、市町村が指定をする支援法人が所有者に寄り添って相談をする、そして所有者の方に的確な判断を促す、こういうことも行ってまいりたいと思いますし、逆に空家を手放したくないという所有者の方に対しましては支援法人が空家を借り上げて活用するということも含めて対応することを考えてまいりたいと思います。
こういった措置によりまして、市町村が中心市街地の活性化などに向けました空家の有効活用により取り組みやすくなるのではないかと考えてございます。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
私は古い町歩きが好きで、こう路地の中、関西では路地と言うんですけど、の中に、それこそ一メートルそこらのところですごくいい家があるんですよね、奥に。ですから、今のお話ですと、その接道、四メートル以上ないといけないというようなところの規制緩和をしていただくとか、あるいは支援措置をしていただくということは、今ある町中の旧民家のようなところの活用に大変役立つと思います。是非自治体をサポートしてあげてください。
もう一方で、琵琶湖のようなところ、あるいは保養地では、昭和四十年代、五十年代に企業の保養地などがたくさんできたんですね。ところが、時代が変わり、保養地の需要が減ってしまって、空家になっている保養地がたくさんあるんです。
私も知事時代から、どうにかならないかということを大津市などに勧めてきたんですけれども、幸い、国土交通省さんが平成二十八年、二〇一六年に、市街化調整区域の古民家等を観光振興や移住、定住促進に活用できるよう開発許可制度の運用弾力化と、えらく長い法令で覚え切れないんですけど、まあ、言うたら調整区域は本当に用途転用が難しかったんですけれども、そういうところでも用途転用をしやすくしてくださったということで、幸い滋賀県の大津市では、大津市北部保養所を活用した北部地域活性化構想に基づく空き保養所の利活用制度を利用しまして、新たに作りまして、そしてそこで琵琶湖岸の保養所の活用などが今始まっております。これも国の方が法令を変えていただいたおかげなんですけれども。
実は、市街化調整区域の権限、用途変更、県が持っていて市町とずれたりするところがあるんですね。そこのところで、新たに住宅局長さんにもう一度お伺いしたいんですが、開発許可権者が都道府県知事であるケースで、都道府県と市町村の考え方に違いがあったりするときには市町村はどのような対応を取れるんでしょうか。また住宅局長さん、お願いいたします。
○政府参考人(塩見英之君) お答え申し上げます。
今回の法案におきましては、市街化調整区域内にあります空家の用途変更について規制の合理化を図ることとしてございます。
この措置でございますけれども、一定の場合には現行の法制度においても許可をされるということになっておりますけれども、許可権者の裁量が非常に大きくて、今先生がおっしゃるように、知事の御判断が非常に裁量が大きくて、県によってはまた厳格に運用されているということもあって、許可の申請をしようとする側から見ますと、申請を出したときに許可が得られるかどうかの見通しが非常に立ちにくい、こういう課題がございます。これ、市町村、空家の活用を図ろうとする市町村の立場から見ましても、せっかく活用しようとしましても許可が下りるかどうかの見通しが立ちづらいということが課題として考えられるところでございます。
そこで、今回の法案では、市街化調整区域を含んだ活用促進区域を定めようとする際に、市町村と知事との間で活用促進区域の区域の在り方、それから、その区域内での活用の方針、指針、こういうことを協議をしていただくことにしております。この協議をあらかじめ行っておいていただくことによりまして、活用促進区域の中で用途変更をしようとする個別の許可申請が出てまいりました際に、あらかじめ協議された指針に沿った申請であるというふうに認められましたときは、知事によりまして用途変更の許可が円滑に行われると、こういうことを今回の法制度で行いたいと思っております。
この措置によりまして、市街化調整区域内の空家におきまして用途変更を伴う活用というものが促進される効果があるのではないかと考えてございます。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
今、高層住宅も老朽化して、マンションの建て替えなども問題になっておりますけれども、滋賀県の野洲市で廃墟化したマンション、これ二〇二〇年に市が行政代執行で解体をしたんですけれども、この解体費用の回収が課題となっています。
ここで、国土交通省さんの方で、今新たに、今回もその辺りの助成措置がなされるようですけれども、具体的に教えていただけますか。ちょっと時間がありませんので、短くお願いします。
○政府参考人(塩見英之君) お答え申し上げます。
空家を除却した場合、特に行政代執行で除却をした場合の費用の回収について申し上げますと、一つ考えられますのは、例えば野洲市のマンションのように所有者が不明の方がいらっしゃるという場合につきましては、その所有者が不明の跡地につきまして裁判所に財産管理人を選任をしていただきまして、選任された管理人の方が所有者に代わって跡地を処分をし、市町村の代執行費用に充当するという方法が一つは考えられます。
また、もう一つは、真に所有者からの回収が難しい、そういう費用につきましては、先ほど来御議論がございますとおり、国から市町村に対しまして補助を行っておりまして、令和五年度からこの補助率の引上げを行っております。さらに、残りの市町村負担分について特別交付税が講じられると、こういう形になってございます。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
都市局長さんの質問をちょっとスキップしてしまいまして申し訳ございません。
後半は河川政策について質問させていただきたいんですけど、四月六日にも斉藤国土交通大臣にお尋ねしました。長崎県の川棚町に石木ダムというダムがございます。三月末に、行政代執行の手続なしに突然、農業用の水路が重機で埋められてしまいました。私はあの質問の後、五月上旬に石木ダムの地元を訪問させていただきました。水路が埋められてしまったIさんは、先祖代々耕し続けてきた田んぼに土砂が入れられてしまって本当に心が痛む、御先祖様に申し訳ないと言っておられました。
石木川沿いには江戸時代からあるお墓などもございます。その河原に先週、蛍が出たということで新聞記事で紹介されました。今日、皆さんの方に資料、五月三十日の資料をお出ししていますけれども、この重機が後ろにあって蛍が飛ぶと、とっても象徴的な場面です。実は、蛍の川の守り人として、地元では十三世帯五十人がダム建設納得できないということで、強制収用された土地に今も住まいをしております。

20230606【配付資料 石木ダム①長崎新聞】国土交通委員会 (1)

20230606【配布資料 石木ダム②-1守る会】国土交通委員会 (1)

20230606【配布資料 石木ダム②-2守る会】国土交通委員会 (1)

20230606【配布資料 石木ダム②-3守る会】国土交通委員会 (1)

資料の後ろの方のページ、ちょっと長いんですけれども、川原ということのチラシですね。ここには、蛍だけではなくて、例えばシーボルトが江戸末期、オランダのライデン博物館に運んだという大変貴重な生き物、特に魚類ですね、が今も生息しています。ただ、先ほど来、確かにダムを造って洪水対策、有効なダムもあるんですけれども、ここは、地元、過去百年間、それこそこの川の氾濫で人が死んだような水害はありません。土砂崩れはあります。支川であふれたのはありますけれども、ということで、治水も必要性少ない。そして、利水については、この資料を見ていただきますと、実際もう佐世保市の利水なんですけれども、日八万トン以下、七万トンくらいしか使っていないのに、この後まだ増えると数字だけ伸ばして利水事業をしているわけです。
そういう中で、四月、五月に入ってですね、衆議院の方で、四月二十四日ですね、衆議院の決算行政監視委員会で地元選出の山田勝彦衆議院議員が石木ダムの事業費の問題を提起しております。全体事業費が二百八十五億円、長崎県の治水事業百八十五億円、佐世保市による水道事業分が約百億円、合計二百八十五億円です。そして、令和四年度までに既に二百三億円が執行済みです。つまり、残り八十二億円しかありません。
現場に行ったら分かるんですけど、まだそれこそ田んぼを耕して、そして全く、本体工事に着手したと言ってはいますが、本体工事、見かけ、着手しているようには見えません。
この後どれだけ予算が要るのか。四月二十四日に山田議員の質問に対して、国の方が長崎県に問合せをしたところ、長崎県からは、現時点では総事業費二百八十五億円の中で完成できるように努めていきたいという内容だったということです。
本当に残り八十二億円で石木ダムの本体工事、完成できるのでしょうか。ここは国土交通省としても現場をきちんと見ていただいて、そして費用対効果、BバイCはどうなっているのか。果たして一・〇以上のBバイCが、今この価格高騰の時代、人件費も上がります、それこそ土木の人件費、働き方改革の中で上がってきます、何もかもが上がってくる。これ、上がることは望ましいんです、賃金の倍増ということも私たち申し上げていますから人件費が上がるのも望ましいんですが、ここのBバイCの問題、あるいは建設費用の問題、ここは是非、国土交通大臣、現場を見ていただいて、そして、事業認定は十年前です、二〇一三年です。強制収用は二〇一九年、四年前です。
どんどんどんどん事情が変わりつつあります。特に人口減少時代、温暖化でますます水害は激甚化します。今回の線状降水帯でも、愛知や静岡、過去最大の降水量だった。もちろん一定程度ダムだったら止められるんですけど、ダムは、それこそダムの上に降った雨しか止められません。
というようなことも含めて、いよいよ、国土交通省さんの予算、決して潤沢ではありません。こういう中で、インフラの老朽化、長寿命化、大変膨大な予算が必要です。この時代のニーズに即して国土強靱化の事業見直しをする段階に差しかかっているのではないでしょうか。必要性の低い大規模事業の見直しこそ、今、日本がこれから人口減少時代、財政逼迫の時代に国土政策の責任者として国土交通大臣が大きな決断を示すべき段階ではないでしょうか。
国土交通大臣、いろいろな質問申し上げましたけれども、石木ダムに絡んで、BバイCの問題、建設費の問題、そして、このままこの事業を進めるということでよろしいんでしょうか。長崎県の県営ですけど、国が補助金出して、そして事業認定もしております。国土交通大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 四月六日にも嘉田委員からこの御質問をいただきました。
今いろいろ御質問いただきましたので、まず、残り八十二億円で事業は完成できるのかと御質問をいただきました。
この事業は長崎県の事業でございます。事業主体である長崎県から令和五年四月に、人件費や資材価格の高騰など工事費に影響する可能性があることについては認識しているが、現時点では総事業費二百八十五億円の中で完成できるよう努めていきたいと、このように聞いております。
国としては、現地の状況につきまして必要に応じて長崎県からヒアリングなどを行い把握をしており、今後とも適切に対応してまいりたいと、このように思っております。
それから、BバイCはどうなっているのかというお話、御質問がございました。
石木ダムについては、事業主体の長崎県及び利水者である佐世保市において、過去の洪水や渇水の発生状況、代替案の比較検討も含め、治水、利水両面の事業再評価がそれぞれ行われ、事業の必要性が確認されているところです。費用対効果、いわゆるBバイCにつきましては、事業再評価における総合的な評価項目の一つとして費用対効果分析が行われており、その中で算定することになっています。
治水面につきましては、長崎県において、令和元年度に第三者委員会での審議を経て事業再評価が行われ、BバイCは一・二一でございます。利水面につきましては、利水者である佐世保市において、これも令和元年度に水道水源整備事業として第三者委員会での審議を経て事業再評価が行われており、BバイCは五・四一でございます。
それから、これからますます激甚化する水害の中でダムが必要なのかという御質問でございます。
気候変動により降雨量が増大しており、今月一日からの豪雨においても全国の二十を超える地点で観測史上一位の二十四時間降水量を更新するなど、近年、過去の観測値を超える豪雨が各地で発生しています。
こうした中で国民の命と暮らしを守るためには、大きな河川のみならず、小さな河川においてもあらゆる関係者が協働して行う流域治水を推進し、事前防災対策を加速化することが重要だと考えます。また、根幹的な事前防災対策となる河川整備の方策を検討する際には、河道掘削や堤防の整備、遊水地、ダムの整備など、あらゆる方策を流域全体で検討し、対策メニューをこれまで以上に充実させる必要があると考えております。
川棚川水系におきましても、事業主体である長崎県において、必要な治水対策について、代替案の比較も行いながら検討が行われました。私もそれを見させていただきましたけれども、いろいろな、こういう方法でやったら治水対策どうなるかというのが七項目、八項目ありました。そういう中で、いろいろな側面から総合的に考えて、この事業再評価を経て石木ダムの必要性が確認されていると、このように理解をしております。
気候変動に対応し、治水対策の効果を早期に発現するため、引き続き河川整備などの加速化を図っていかなくてはならない、このように思っております。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。大変お答えしにくい分野だとは思いますが。
一度現場に行ってみてください。今日の資料で地図を出しておりますけれども、この上流は波佐見川という川、そして下流の数キロが川棚川です。そこのところで石木川が合流するんですけど、石木川が合流してから下の川棚川の洪水を防ぐというのがこの多目的の治水効果だというんですが、先ほど来も申し上げましたように、昭和二十三年、平成元年に確かにあふれる洪水はあるんですけど、それは土砂災害と内水氾濫です。そして、亡くなった人も川の氾濫で亡くなったのではないんです。
私は流域治水をもう全国に先駆けて条例化してきたその分野の専門家ですので、この川棚川から波佐見川を江戸時代から徹底的にどういう開発をしてきたのか調べました。もう波佐見川の周辺は、大村藩がまさに今に言う流域治水を実践していたんです。大村藩は最初、江戸時代二百三十石しかないんですけど、江戸末期には八百石、三倍ぐらいに増えている。山の中にため池を造り、そして田んぼを開発し、波佐見焼がありますから、山もまきも利用しながら治水をし、そして川沿いにはそれこそ堤防林ですね、竹林をずうっと、それで洪水対策をし、利水対策をし、まさに今に言う流域治水を実現をしておりました。
ですから、この波佐見川から川棚川はおとなしい川なんです。そこにあえてこんなに巨大なダムを造る必要があるのか、是非一度現場を見ていただけたらと思います。
そして、実は今日も、そこに住まいしている人だけではなくて、二百数十人の全国の方が石木ダムの水没予定地の土地を所有しています。森林の共有所有者になっています。ちょうどこの時間、長崎県の県庁に意見書を出しに行っておりますので、全国からも大変注目をしていただいている事業だということを最後に申し上げまして、是非大臣の現場訪問をお願いしたいと思います。
以上です。

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