国土交通委員会 令和五年十一月九日(木曜日)
○嘉田由紀子君 国民民主党・新緑風会の嘉田由紀子でございます。
本日、質問の時間をいただき、ありがとうございます。
斉藤国土交通大臣に、自然災害への所信表明に関して主に質問させていただきます。
流域治水という概念がようやく全国的にも広まりつつあります。昨年の十一月八日に、今国が取り組み始めております流域治水に関して伺いました。流域治水は、河川に閉じ込め切れない大水が起きたときに、たとえ私有地でも雨水の貯留機能を果たすことがございます。
その例として、昨年、滋賀県の高時川で、馬上という、馬の上と書いて馬上という地域でヨコタ農場というところが水につきました。なぜ水についたのかというと、堤防に元々切れ目が入っているんです。つまり、連続堤防ではない。この元々の切れ目は、歴史的にたどりますと多分彦根藩の時代に、実は江戸時代というのは、全てを全部閉じ込め切れないので、水を逃がす場所、田畑やあるいは林など、そして人家を守ったという伝統的な治水の知恵がありました。それを霞堤、霞堤防と呼んでいるんですけれども、この高時川の馬上のヨコタ農場の事例、水田が十一ヘクタールも浸水してしまいました。
そして、昨年から、これかなり詳しくお伺いしたんですけど、この被害がどうにか賠償なりあるいはカバーできないかということで、農業被害も含めてお伺いしたんですけど、今のところそこは抜け穴になってしまっております。
具体的に、馬上のヨコタ農場では、十一ヘクタールの浸水に対して、収穫の減少、それから泥が入ってしまったので農業機械が壊れてしまうんですね。それで、修理費用とかあるいは追加の労働投下、六百万円プラスになってしまっております。ある意味で泣き寝入りなんですけど、これについて何らかの対策がいただきたいと、これはもう要望でございますが、答弁は求めません。
それから、今年の六月二日、三日、台風二号と梅雨前線で愛知県の豊川流域、ここでも霞堤地区で四百八十ヘクタール、大変大きいです、浸水被害がございました。これ、資料一として地図を出しておりますけれども、ここもやはり江戸時代に、下流の吉田城の町を守るために上流に九つの霞堤ができました。地図にありますけれども、このうち、豊川用水を造るときに、赤い方の霞堤は堤防を連続させて霞堤ではなくしてしまった、つまり川に全部水を流すようになったんですけど、この黄色い方が四つ残っております。この黄色い方は、金沢、賀茂、下条、牛川という四つの霞堤がございます。ここも、六月二日、三日、大きな被害を受けました。
それで、私、ここの被害者の方に伺ったんですが、小野田泰博さん、イチゴ農家の城所輝明さん、バラ農家の牧野文夫さん、被害状況を伺ってまいりました。
具体的な金銭は出ていないんですけれども、実は、水田農業と違って、野菜やイチゴ、花卉栽培などは農業共済が掛かっていないので大変被害が大きいと。で、このお三方が言われるのは、自分たちは何としても農業を続けたいんだと、それで、下流のためだったら自分たちが水を受けることは受忍をしてもいいけど、どうにかここはカバーしてほしいという大変切実な訴えも現場から聞いてまいりました。これは是非、今日は廣瀬局長さん来ていただいておりますので、流域治水の中で豊川のこういう大きな霞堤のところもカバーできるような形でお願いしたいと思います。
そして、実は今、国の方が積極的に霞堤を流域治水の政策に取り込もうとしている例がございます。それが資料の二です。栃木県の下野新聞ですが、資料の二には、二〇一九年の台風十九号で、栃木県から茨城県を流れる那珂川の中流部、那須烏山市で床上浸水を含む水害被害が起きました。これまで災害復旧というのは過去の状態に戻すということだったんですが、この地区では新たに、堤防に開口部を持つ霞堤が新たに造られると。私は大変小躍りいたしまして、そして二年前に、実は廣瀬局長さんがまだ課長さんの時代にこの現場を見せていただきました。そして、その後、廣瀬局長は関東地方整備局長になり、そして今回、国土保全局長になっていただいておりますので、まさに廣瀬局長の思いがこの霞堤には詰まっているのかなということで、今日は存分に答弁をしていただけたらと思っております。
ただ、本当に地元の人たちの要望あるいは納得というのが大変なんですね。まず最初に、この霞堤を造るところで、地元の方たちの要望、具体的にどういう御苦労があるか、廣瀬局長さんにお伺いできたら有り難いんですが。よろしくお願いします。
○政府参考人(廣瀬昌由君) お答えいたします。
栃木県、茨城県を流れる那珂川では、令和元年東日本台風で甚大な被害が発生したことから、国、県、市町が連携し、ハード、ソフト一体となった那珂川緊急治水対策プロジェクトを立ち上げ、再度災害の防止のハード対策としては、河道掘削、堤防の整備などを実施しております。那珂川の中流部に位置する那須烏山市においては、委員御指摘のとおり、現在、地形、土地の利用等の状況を考慮して洪水の一部を一時的に貯留する機能を有する霞堤の整備を進めているところであり、現在、用地買収や霞堤の盛土工事、集団移転のための地元調整などを行っているところです。
これまでいただいた意見の中では、洪水被害の解消に対しては御理解をいただいている一方で、集団移転に当たっては、移転先の住宅団地と営農地が離れているため農作業を続けていくことが不便になること、長年住み続けてきた愛着がある現在の土地や家屋から離れてしまうこと、これまで培ってきた近隣住民とのコミュニティーが薄れてしまう可能性があることなど、様々な意見をいただいているところでございます。
国土交通省といたしましては、市と十分連携し、引き続き地域住民の御意見や御要望を丁寧に伺い、御理解を得つつスピード感を持って整備を進めてまいります。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
三つの課題、集団移転に対して、距離が離れてしまう、なじみの場所が、そしてコミュニティーのつながりがということで、実は球磨川のところでも集団移転のところで同じような問題を伺っております。
ただ、霞堤については、実は下流だけではなくて地元にも利点があるんですね。先ほどの豊川のところの五つの締めた霞堤のところで調査をしたことがあります。その調査には、私自身ではないんですけれども、愛知大学の方が、締めてくれたのは有り難かったんだけど、いざあふれたら内水が排除できないということで、霞堤は内水排除の機能もあったんだということを締めてから気が付いたということですが、質問二点目です、この内水排除の利点というのは、この烏山地区では地元の方は御理解いただいているでしょうか。局長さんにお願いします。
○政府参考人(廣瀬昌由君) お答えいたします。
委員御指摘のとおり、霞堤には氾濫した水を開口部から河道に戻す機能を有しております。これらの機能につきましては、事業の目的や必要性を説明するために、地域の方々に一堂に会していただき行う説明会や個別の補償内容を説明するための個別相談会などあらゆる機会を活用して説明しているところであり、今後とも地元の御理解が得られるように努めてまいります。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
これは提案ですけど、例えばこの豊川、烏山からちょっと距離が遠いんですけど、豊川の締めた五つの霞堤、住民の方は一〇〇%大歓迎だと思っていたんですけど、そうではないんですね。先ほどのように、内水が氾濫、防げないということで、例えば、こういう先行している地域に訪問してもらって、内水氾濫を排除できるんだよというようなことも見ていただけたらいいのかなとは思います。これ提案です。
それから三点目の質問なんですけど、実はこの霞堤は、言わば生物多様性の保全あるいはグリーンインフラという価値もあります。日本各地の霞堤を研究している滋賀県立大学の瀧健太郎教授は、ここをきっちりと何か所も訪問をして調べております。大水が本流に来たときに、逃げる、小魚などは逃げることができます。また、日常的にも稚魚などがこの霞堤の中に入って、そこが産卵場になっているということです。
言うまでもなく、国土形成計画、二〇一五年の、ここではグリーンインフラの政策が入れられていますし、また、二〇一五年に開催されました仙台防災会議では、生態系の強靱性や、あるいは緩衝機能を活用したEco―DRR、エコシステム・ベースド・ディザスター・リスク・リダクションという生態系に配慮した災害リスクの提言の政策にもつながるわけです。
私たちは、これ滋賀県中心に、川と人々の関わり、特に子供たちが生き物がいると大変喜ぶので、子供と川との関わりを課外活動あるいは体験活動に盛り込んでまいりました。そして、子供たちが動き出すと地域が理解をしてくれます。場合によっては、おじいちゃん、おばあちゃんの時代、こんなふうに魚つかみしたんだよと。子供たちが、あっ、そうしたら、本流では生きられない魚が霞堤の中で生きているねというようなことも是非子供たちに知っていただきたいと思います。
三点目、国土交通大臣に、那珂川での今の挑戦、まだまだ先、時間掛かるかもしれませんが、この後、かなり霞堤は流域治水の、またグリーンインフラとそれから生物多様性、セットで価値がある政策だと思いますので、これ前向きに進めるための国土交通大臣の御見解を聞かせていただけたら有り難いです。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 霞堤というのは、本当に昔からの日本の大きな知恵、今の我々の流域治水との考え方と相通ずるところのある本当に大きな知恵だと思います。
霞堤は、治水対策として有効であるだけでなく、委員御指摘のとおり、洪水時の魚類の一時的な避難にも寄与するとともに、河川と隣接する農地等を生物が行き来できるようにする役割を持っていることから、環境面でも有効な手段の一つと考えております。一つの、生物多様性の一つの大きな土壌になってきたのではないかとも思っております。
国土交通省としては、地域の特性を踏まえた霞堤などのグリーンインフラの視点も取り入れながら流域治水の推進に取り組んでまいりたいと考えています。
○嘉田由紀子君 大臣、ありがとうございます。
繰り返しになりますが、内水氾濫の機能とか、あるいは生き物の住まいというのは、意外と地元で住んでいる人が気が付かないんですね。そこを是非ともいろんな研究者やあるいは学校などと共同してやっていただきますと、本当に子供たちは目を輝かせて魚つかみに行きますので、実は、こやり政務官は地元で魚つかみをして、こやり政務官の地元も本当に里山が美しいところなんです、琵琶湖も近いですし。子供時代を思い起こす、それが私は将来の生物多様性、グリーンインフラではないかとも思っております。
災害対策に関連して二点目ですけれども、資料三に、浸水想定区域の対策で、福祉施設の電源が水没してしまったという資料、ちょうど十一月六日、もう数日前の読売新聞の夕刊です。会計検査院の調査で、水害で浸水の可能性のある場所に建つ施設の六割で非常用発電機が水没して故障するおそれがあることが分かりました。
また、この七月に秋田市の、私も視察行かせていただきましたけれども、中枢病院の電源施設が水没してしまいました。
災害対策特別委員会でも八月に、病院施設の浸水対策について、厚生労働省さん、また都道府県が被害回避の方法を提示していると伺っておりますが、社会福祉施設の非常用電源が水没リスクにさらされているという、これをどう受け止め、またどのような対策が必要だとお考えでしょうか。手段、方法、予算措置などについて、厚生労働省さんから回答をお願いいたします。
○政府参考人(斎須朋之君) お答え申し上げます。
厚生労働省におきましては、土砂災害、浸水災害等への対策を推進するため、地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金等によりまして社会福祉施設における非常用自家発電設備の設置等に対する補助を行っているところでございます。御指摘の記事にありました会計検査院の指摘も承知しているところでございます。
厚労省といたしましては、停電時のライフラインを確実に確保する観点から非常用自家発電設備に係る浸水対策は非常に重要であると考えておりまして、今回の検査院の調査結果についても重く受け止めているところでございます。
非常用自家発電設備に係る浸水対策といたしましては、これまでも、今申し上げました交付金等の申請に当たりまして、非常用自家発電設備を水害でありますとかあるいは土砂災害等の影響を受けない場所に設置するように求めております。また、今申し上げました交付金等によりまして、出入口等への止水板の設置でありますとか、あるいは非常用自家発電設備等の電気設備の移設等、高い場所に移設するとか、そういったことも補助の対象にしていることなど取り組んでおります。
こういった取組につきましては、様々な機会を捉えて周知を徹底いたしまして、社会福祉施設の防災・減災対策の強化に取り組んでまいりたいと考えております。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
予防できていたら例えば数千万で済んだのが、いざ被害が起きてしまうとその十倍、二十倍コストが掛かるということがよくこの浸水ではございます。特に福祉施設、高齢者施設は平家が多いんですね、移動がしにくいので。それで、どちらかというと地価の安いところに、と、浸水地域にという、これまでの立地です。それは、将来的には気を付けないといけないんですけれども、これまでにそういう施設が多いので、何としても事前の予防対策をお願いしたいと思います。
同じように二点目ですが、国宝や重要文化財、これも浸水、土砂災害リスクが意外と高いところにあると。
奈良文化財研究所の高田祐一主任研究員が、GIS、地理情報システムを使って文化庁のデータベースに登録された二千五百八十五か所の国宝と重要文化財の建物の位置情報とハザードマップを重ねて独自に調査した結果、六百五十六か所、二千五百八十五のうちの六百五十六です、土砂災害警戒区域か浸水区域にあるということでした。このうち八十か所は特に危険性が高い土砂災害特別警戒区域にあり、三メートル以上の浸水が想定される建物も二十二か所確認されております。三メートルといいますと、ほぼ、平家でしたら屋根までですから、もう文化財、建物などですと、もう根本的にやられてしまうということになります。
ということで、この国宝や重要文化財の浸水、土砂災害リスクの低減に向けて、文化庁さんあるいは国土交通省さん、どのように連携して対応していけるでしょうか。それぞれ、自治体文化財保護施策にも生かしていただきたいと思いますけれども、御回答お願いいたします。
○政府参考人(小林万里子君) お答え申し上げます。
国宝、重要文化財の防災対策につきましては、政府一丸となって強靱な国づくりを計画的に進めます国土強靱化基本計画におきまして地域の貴重な文化財を守る防災対策として記載されているところでございまして、文化庁としてはこの計画などに基づきまして関係省庁と連携しながら取組を進めています。
議員の方からも御紹介ございましたけれども、奈良文化財研究所で作成、公開しています文化財総覧WebGISにつきましては、全国の文化財の位置情報を地図上に表示し、ハザードマップなどの情報を重ね合わせることができるウェブサイトであると承知しております。全国津々浦々に存在する文化財の災害リスクを把握する上で有用と考えておりまして、実際、奈文研でも自治体担当者向けの研修等におきまして周知、活用していると承知しております。
自然災害が頻発、激甚化する中で、文化財は一度失われたら元には戻らないものでありますので、文化庁としては、今般の経済対策にも地域の貴重な文化財を守る修理、防災対策を盛り込んだところでございまして、文化財総覧WebGISの情報も参考にしながら、水害を含む各種の防災対策を力強く進めてまいります。
○政府参考人(廣瀬昌由君) お答えいたします。
文化庁との連携に当たりましては、先ほど文化庁からあったとおりしっかり進めてまいりたいと思いますが、国土交通省としては、地域の浸水、土砂災害リスクの低減に向けて、文化財行政も担う自治体等と連携を図りながら流域治水の取組を進めているところであり、国宝、重要文化財についても、管理者が適切な対応ができるように必要な情報の提供に努めてまいります。
また、河川整備計画等の作成や事業の実施に当たっては、文化財等の情報も入手し、災害リスクの低減策を総合的に検討しており、引き続き関係機関と連携して取り組んでまいります。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
先ほどの福祉施設の電源の配置などはかなりポイントで対応できるんですけれども、この文化財は丸ごと建物を止水板で囲うわけにもいかないでしょうし、そういう意味では、国土交通省の河川整備計画で、文化財があるところはリスクを低減できるような、まさに流域治水の水の流れを配慮していただくということで、国土交通省と文化庁と是非とも協力を進めていただけたらと思います。ありがとうございました。
次に、三点目の小型船舶に関する規制強化についてお伺いいたします。
資料四で写真を出しているんですけれども、今年の八月二十六日です。この夏です。午後二時五十分頃、琵琶湖で泳いでいた小学生二人に水上バイクが接触する事故が起こりまして、警察が駆け付けたところ、水上バイクを運転していた大阪府箕面市のYさん、三十五歳、男性です。無免許で人身事故を起こしたわけです。そして、呼気を検査しましたらアルコールが入っていました。
子供二人は病院に搬送されて、男の子は後頭部をけが、縫うけがですね、女の子はおでこに擦り傷。二人とも幸い命に別状はなかったんですが、せっかく大阪から琵琶湖に遊びに来て、夏休みの最後ですよね、多分家族と楽しい時間を過ごしていたと思うんですが、そのときにこんな事故を起こしてしまったら、もう二度と琵琶湖に行くの嫌だとか思ってしまわれたら残念です。ですから、琵琶湖は安全に楽しく遊んでいただきたいと思っております。
ちょうど二十六日の翌日、その日はちょっと私出張で、実はこの写真は我が家の家の目の前なんです。それで、二十七日の朝一番に現場を聞き取りをして、それで、なぜ事故が起きたのかということも伺いました。
実はここは、琵琶湖レジャー利用条例で航行禁止区域なんです。航行禁止というのは、横走りが禁止です。沖合三百五十メートルから沖合に出て走るのはいいけど、そこまでは静かに真っすぐ走りなさいと、これは県の条例で決めているんですけど。皆さん、これ見てください。浜に人がいて、やっぱり横走りして、ばんばんばんと水を跳ねて、ひゃあひゃあひゃあと。ごめんなさい、リアルな、いつも目の前で見ているものですから、それでええ格好したいんですね。そういう中で起きた事故なんです。
20231109【配付資料4】国土交通委員会(水上バイク2)
で、実はこの質問をすると言ったら、今朝、また地元の人から動画が届きました。この十一月の三日、四日、すごかったんだって。今年は暖かかったので、ふだんもう十一月になると水上バイク余り来ないんですけど、いっぱい。それで、動画がすぐ近所の人から届きました。どうにかしてよということなんです。
具体的には、京都新聞が、資料五に出しておりますように、この手の事故は本当にもう住民が目を覆うばかりのことがたくさんあるんです。京都新聞の記事ですと、今年の一月から九月だけでも、船舶事故四十九件中十五件が水上バイクです。残念ながら、この酒気帯び運転については滋賀県の条例には罰則規定がありません。水上バイクやプレジャーボートなどの小型船舶に関する規制が大変弱いのが実態なんです。
それで、実は私、知事時代に、この琵琶湖のレジャー利用に関しては、前の知事が条例を作り、そして私のときに水質への影響が大きいバイクを改善をし、そして研修を義務付けるということまではやったんですが、この罰則規定までは県として作れませんでした。随分水上警察とも相談したんですけれども、県の条例を受けた罰則規定はできないというんですね。
そういうことで、是非ここは、そもそも琵琶湖を利用する住民は、バイクの航行者もまた遊泳者も先ほどのように県外の方が多いんです。ですから、水上バイクなどを対象とした国の小型船舶操縦者法は、飲酒しての操船は禁止、禁じておりますが、違反をしても罰則はありません、国の方でも。ですから、道路交通法が、運転者の飲酒運転を禁止し、事故時の罰則規定も作り、公共の道路空間の安全を担保してくれております。同じように、河川や湖などの公共用水域の安全担保は、自治体の条例だけではなく、より国としての全体的な法規制が必要ではないかと思います。国土交通大臣の御見解をお伺いします。
○政府参考人(海谷厚志君) お答え申し上げます。
御指摘の酒酔い操縦でございますけれども、これは御指摘のとおり、従前より船舶職員及び小型船舶操縦者法に禁止されております。その上で、酒酔い操縦により人の死傷等が生じた海難につきましては、海難審判所審判を経て免許の取消し等の懲戒の対象となり得ることとされております。
一方で、水上オートバイに関します危険事案は、この酒酔い操縦によるものに限らず、遊泳者等と水上オートバイが混在した状況にて発生しやすいものであるというふうに考えております。これについては、遊泳区域と船舶航行可能区域を明確に分離し、遊泳区域への船舶の進入を禁止することが最も効果的だというふうに考えております。沖合から何メートル以上の間ということではなく、明確にもう完全に分離しているようなそういう条例もあるというふうに承知しております。
これらの区域の分離、設定につきましては、海洋でのレジャーの振興、水面、水域の利用状況、海上の安全の確保といった様々な事情を踏まえまして、きめ細やかな対応ができるように、各地方公共団体において条例で制定されている事例があるものと承知しております。
加えまして、水上オートバイの酒酔い操縦に関する罰則につきましても、これは各地方公共団体が必要に応じて、これは懲役刑を含むものなどもあります。これを条例において措置している例があるものと承知しております。
国土交通省としては、こうした取組について協力をするとともに、引き続き関係者と連携した安全啓発に取り組んでまいりたいと考えておりますが、その上で、様々な水上オートバイをめぐる事故の発生状況その他の事情を踏まえまして、必要があれば国としての措置の必要性につきまして検討していくことになるものと考えてございます。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
まず、区域を区切るということですけれども、この写真を見ていただいたら分かりますように、沖合三百五十メートルのところに出るのに浜から出ざるを得ないんですね、水上バイクは。ですから、やはりその三百五十メートル、民家のところを走らざるを得ない。そこ、横走りは禁止なんですけど、私もいつも家の前に出てここ禁止よと叫んでいるんですが、そんなのでも全然聞かない。ですから、区域を分けるというのは現実的には無理だろうと思います。
そういう中で、確かに兵庫県などは罰則規定も入れているんですけれども、あれは兵庫県は海なんですね。海は、海上保安庁なり、あるいはより規制が作りやすいんですけど、琵琶湖の場合に河川です。河川水面ですので規制が作りにくいということで、またこの点もう少し研究をいたしまして、滋賀県警の方でも、滋賀県議会から質問出させていただいておりますので、県警とそして国とも連携をしていただきまして、何としてもこの悲惨な事故を起こさないような方向を考えられたらと思います。
ありがとうございます。これで終わります。