「秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ わが衣手は 露に濡れつつ」(天智天皇)。かるたの「聖地」、大津市の近江神宮で開催された小倉百人一首競技かるたの日本一を決める「第66期名人位・第64期クイーン位決定戦」の開会式に参加。川端達夫元衆議院副議長ともども歓迎の挨拶をさせていただきました。1月11日。
対戦の結果が後からニュースで流れましたが、クイーン戦では、挑戦者で地元の「大津あきのた会」に所属する本多恭子さんが、東京明静会の山下恵令さんを破り、初のクイーンの座に輝いたということ。名人・クイーンとも滋賀県勢の「日本一」ははじめてということ。おめでとうございます。男性で争われた名人位は、京都大学グループの粂原圭太郎さんが初防衛を果たしたということです。
開会式の後、ひさかたぶりに近江神宮の森を歩きました。近江神宮は昭和15年(1940年)の御鎮座から今年(2020年)満80年を迎えます。この間、神宮の森は大きく成長しました。 滋賀植物同好会の皆さんが1990年代に調べた記録が出版されています(『近江の鎮守の森―歴史と自然』サンライズ出版、2000年)。造営直前は棚田であったようで、当時の写真があります。造営時に全国から数千本の献木をしてもらって、針葉樹、落葉広葉樹、常緑広葉樹、など高木と低層木を組み合わせて植林されたということです。
この報告書で懐かしい写真に出会いました。近江神宮正面の大鳥居用の木材が搬出される写真です。1990年代、私自身、琵琶湖博物館の開設準備をしていた学芸員時代、滋賀県各地で生活古写真を探しまわりました。その時、西浅井町(現在の長浜市)小山の丹治義三さんのお宅で「近江神宮御用材」と記された写真に出会いました。
丹治さん所有の山林から切り出された根元の直径が5尺(152㎝)もある杉の巨木で、丹治さんのお話では、小山から大浦港まで木馬で運び、そこから琵琶湖上を筏に組んで大津柳ケ崎まで運んだということ。今日、大鳥居の前で写真をとりました。まさに80年、たたずんできた大鳥居に深い感慨を覚えました。写真のシャッターは川端さんが押してくださいました。ありがとうございました。
新年あらたかな思いで神宮の森が刻んできた80年の歴史が、百人一首の1000年の歴史に重なり、大津が担う文化的価値を改めて感じ入る時間でした。この11月の御鎮座80周年の行事には、森林の成長や、森があることで育つ貴重な冬虫夏草などの生き物の生態についても広く伝える場になれば、と期待しています。
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