<九州ダムものがたり:最新号 私たちの家と土地を水底に沈めないでください!>長崎県川棚町、石木ダム計画地はいよいよ本日、2019年11月18日かぎりで、13世帯60人が暮らす家も土地も国のものになってしまいます。ダム建設のために、今住まいしている居住者を追い出す「強制収用」は日本ではじめての、無謀で冷徹な国家権力の行使です。長崎から帰り、国会議事堂を目の前に見ながら、改めて国会議員としての役割の重大さに身が引き締まります。11月18日(また長いです、1800文字)
11月17日、長崎県川棚町公民館には700名をこえる人たちが全国からあつまり「石木ダムを断念させる全国集会」が開催されました。水源開発問題連絡会共同代表の嶋津暉之さんの「石木ダムは治水利水の両面で全く不要」という緻密なデータと将来予測に基づいた講演をうかがう。今から57年前の1962年に計画された多目的ダムが、人口減少、工場用水減少で利水の必要性はなく、治水ダムとしても、内水氾濫などはふせげない高額の税金投資のダムは不要という主張を改めて伺う。
私は「知事の裁量で見直しをすればダムは止まる」というテーマで、2006年の知事就任後、国直轄や県による6つのダムについて、それぞれの必要性や緊急性をチェックし、凍結や中止と決断した知事としての決断の背景を丁寧に説明させていただきました。そして今、日本中で問題となっている洪水に対しては、ダム治水は一定程度効果があるが、計画規模を超えるとかえって危険となり限界があること。命と財産を徹底的に守るためには、地域の自然条件や歴史的条件を踏まえた土地利用規制や建物配慮もふくめた「流域治水政策がベストである」と滋賀県の実例を基に紹介をさせていただきました。
石木ダム強制収用を許さない議員連盟も今87名になり、市議県議のみなさん、また国会議員は、初鹿明博さん、大河原雅子さん、田村貴昭さんもそれぞれに力強い挨拶がありました。
小春日和のこうばるの地から、東京の宿舎に帰り、国会議事堂を目の前に、強制収容という法律のもつ冷酷さと、時代の役目をおえてもまだ必要という石木ダム建設の不条理さに心を痛めております。今後、国会議員としてやるべきこと、仲間とすすめていきます。
下記が大会で採択された「宣言」です。石丸ほずみさんが、厳しい体と心の思いをふりしぼって、訴えてくださいました。17日朝の岩下すみ子さん、こうばるの里を訪問した大村市や長崎市の皆さん、議連の方がた、石木川沿いにテントをはって抗議の声をあげる新村安雄さんもまじえての記念写真、さらに700名が参加をした講演会場光景や18日の新聞記事、紹介させていただきます。
――――――集会宣言―――――――
今年9月19日、こうばる の13世帯の土地は全て強制収用されてしまった。
しかし、人びとはこれまで通りそこで暮らし、田畑では作物がみのっている。
家屋明渡し期限の11月18日が過ぎても、この景色はこれからも変わることはない。土地収用法を根拠としても、60人近い人びとを力づくで追い出すことなど人道上できるわけがない。
しかし、法的には不法占拠という状態におかれ、住民は様々な不利益を被ることになる。また、建設工事への抗議行動は9年以上に及び、心身ともに疲労の蓄積は限界を超えている。これほど住民を苦しめる事業が公共事業と言えるだろうか。しかも、ダムの必要性は既に失われているというのに。
石木ダム計画がここまでこじれているのは、長崎県が地域住民と取り交わした約束を守らないで強引に事業を進めてきたことが原因だ。長崎県知事が約束した覚書には「工事をするときにはちゃんと同意を得ますよ」と書かれていて、県知事と住民代表の印鑑も押されている。それでも知事は「やった者勝ちの論理」で覚書など無視してきた。
幼いころ「嘘をつくのは泥棒の始まり」と親から厳しく躾けられた、という人が多いと思う。「騙される者がバカたい」と、平気で約束を破り土地を強奪したのが知事だ。
石木ダム計画において県は、最初から「石木ダムありき」でダムを造らんがための推進姿勢であった。佐世保市も県の言いなりで、長年漏水改善等に怠慢なうえ、市の水需要予測は時代を見据えない過大な計画の継続であり、まったく根拠のない「石木ダムありきの数合わせ」をやってきた。
私たちは、この集会で石木ダムは治水利水両面で全く不要であり、知事の裁量で見直しすればダムはとまることを改めて学んだ。私たちは、一日も早く長崎県と佐世保市に石木ダム建設を断念させ、こうばる の皆さんの人権回復を実現させたいと願っている。
全国集会が、奪われた土地を取り戻す新たな闘いのスタートとなるよう、ここに集まったみんなの思いが更に全国へひろがるよう運動を広げていこう。
以上、集会の名において宣言する。
2019年11月17日
石木ダムを断念させる全国集会 in 川棚