Facebook 2019年9月26日 伊勢湾台風からちょうど60年目

今日、2019年9月26日は、1959年9月26日の伊勢湾台風からちょうど60年目になります。愛知県を中心に犠牲者が5,098人にものぼる戦後最悪の水害でした。滋賀県内でも16名もの死者がでて、床上浸水だけでも5920棟となりました。この時の浸水地域の記録写真を私自身が記憶していたことから、2006年の野洲養護学校建設時に敷地の緊急かさ上げをして、大きな浸水が避けられています。9月26日。

2006年7月に滋賀県知事に就任して直後の8月のある日、県の教育委員会から野洲養護学校新設場所の知事説明があり、その場所を見て私自身びっくりしました。昭和34年の伊勢湾台風で水についた地域であることを、それまでの水害被害調査で知っていたからです。この調査の担当は当時の子ども流域文化研究所の北井香さんです。「ここは伊勢湾台風時の浸水被害があったのを知っている?」と教育委員会の担当者に聞いても「知りません」という。無理もない。当時浸水ハザードマップはほとんどつくられず、また広がっていなかった。

即座に県の河川部局と教育委員会の担当者といっしょに現場調査をした。学校建設予定地は光善寺川と日野川に囲まれた水田地域だ。伊勢湾台風直撃の翌日、9月27日に国鉄線路から、岡野征郎さんがこの地域を写した写真を担当者に見せた。またすぐ横の小南地域で私たちが行った水害の聞き取り調査の結果も見せて、「かさ上げせずにこのまま養護学校を建設することはまかりならない」と知事方針をだした。河川課と教育委員会が協力をしてすぐに敷地のかさ上げ予算を追加して建設にかかった。結果、2013年9月の台風18号の時、周辺の水田は水についたが、養護学校は浸水をまぬがれた。

このことは、知事として自慢話をしているようではばかられたので、これまでほとんど口外しなかったのですが、今となっては立場もより自由になったので、あえて公開させていただきます。というのも、日本中、各地で福祉施設や新興住宅地が、水害常襲地に建設されている事例が今だにたくさん見られるからです。国会で働かせていただく立場からも公表して予防措置を全国に広げたいと思います。

それにしても地元の人ならすぐにわかる浸水地域の土地をなぜ、県の養護学校建設予定地として、地元の地権者が販売したのか、誰がその世話をしたのか、当時の具体的なやりとりを知る職員が発見できず、真相は不明だ。地元政治家が絡んでいたのかどうかも不明だ。

その後、滋賀県知事として、浸水地図を「地先の安全度マップ」として公表をして、8年かけて「流域治水推進条例」を制定したのも、このような出来事がひとつの理由である。条例下では、不動産取引時の重要事項説明を努力義務としたが、最近の滋賀県内の調査では、9割を超える取引業者が地先の安全度マップを活用して浸水被害の説明をしているという。うれしい政策結果だ。

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