Facebook 2018年10月10日

「船の中で寝るんだよ!」「他の学校の子たちといっしょなんだ!」「うみのこカレーはお父さんも食べたって!」「近江牛ステーキもでるんだ!」「ビワマスの塩焼きとかエビ豆とかびわ湖のご馳走も!」「船の上から見る夕焼けはきれいだったよ!」、滋賀県だけのユニークな琵琶湖上での宿泊環境学習船「うみのこ」の新しい船を見学させてもらいました。10月8日。また長いです(スミマセン)。

初代「うみのこ」は今から35年前の1983年(昭和58年)に滋賀県内の小学校5年生全員が1泊2日の船上学習をするために就航。武村知事の時代、琵琶湖研究所(1982年)、世界湖沼会議(1984年)など数々の新しい、滋賀県ならではの琵琶湖政策を打ち出した、その一環でした。

制度は「びわ湖フローティングスクール」と名付けられ、これまでに54万人が乗船。滋賀県民141万人のうち約3人に一人が乗船したことになります。1972年以降生まれの若い世代は全員、多くの家族は親子二代に受け継がれる。小学校卒業時の感想文では「修学旅行」「うみのこ」体験が小学校時代の記憶に残るふたつのイベントとなっています。我が家も二人の息子、孫3人がすでに体験しています。

実は知事就任後の2006年から2007年当時、滋賀県の財政状況の厳しさを受けて「うみのこ」廃止の提案が担当部局から出されました。確かに老朽化しており新造船には数十億円かかるという。知事が新幹線新駅やダムなど公共事業の見直しを掲げる以上、ここもカットしなければ、という意見もありました。子どもたちの個人負担は1泊2日の食事代金2000円程度。船の建造から運行、教員人件費などで年間約3億円かかり、児童一人あたり2万円近くの県民の税金負担になります。

しかし、私自身は滋賀県ならではの子どもたちに思い出深い「うみのこ」事業であり、琵琶湖上での宿泊経験は、琵琶湖愛を育み一生の宝になる。続けるべきと判断しました。確かに老朽化しており、年間の運営費に加えて新造船の予算捻出も難しい。当時「うみのこ基金」という項目はありましたが少額しか積み上がっていません。そこでまず企業の皆さんに折に触れてよびかけ、最初に大金を寄付してくださったのが、滋賀県に本社があるN硝子株式会社さんでした。60周年記念としてご寄付下さいました。そこから弾みがつき約10年かけて、多くの県民や企業の皆さんの寄付で約10億円を積み上げることができました。

そして、三日月知事になって2016年には二代目「うみのこ」が起工され、今年の3月に竣工。6月からは新船での一般航海が始まりました。ただ、途中経過は苦労の連続だったようです。入札不調や施設整備など、建造や運行開始にご努力いただいた皆さん、ありがとうございました。

10月8日、心待ちにしていた新船見学会に伺いました。まずは最初にご寄付いただいた企業の元社長の有岡さんとお孫さんたちにお会いして、改めてお礼を申し上げました。また船内はこの4月からフローティングスクールの日々の運営責任を負っておられる小野澤稔香所長さんにご案内いただきました。また初代所長の里見さんにもお会いできました。

初代「うみのこ」では実現できなかった施設など、細部まで見事に工夫をされております。まず子どもたちが一番関心をもつ食堂。テーブルなど県産木材をつかって落ち着いた雰囲気。何よりもメニューが見事。乗船した昼食、夕食、翌日の朝食と昼食と4食を船の中でいただくのですが、すべてのメニューに滋賀県産食材がふんだんに使われ「おいしが・うれしが」の精神が活かされています。近江牛ステーキや琵琶湖のビワマスやスジエビ、ゴリ、赤こんにゃくまで取り入れられています。確実に「食育」機会となっています。

また琵琶湖の観察施設も大幅に改善。これまでは船から湖底は見られなかったのですが、新船には、長さ100メートルのケーブルをつないで湖底の様子を撮影できる水中カメラが搭載されています。また電子顕微鏡にはタブレット端末がつながり、それも35台設置されているので、皆で画像を共有できます。またネットで、琵琶湖博物館の学芸からのレクチャーなども受けられるということ、学習環境も進化しています。船全体もゆったりしていて、災害時の防災船としての活用もできるように、湖水浄化装置や防災備品室も整備されています。

県が公的に進める水上宿泊でもっとも気を使うのは「安全管理」です。これまで54万人の子どもたちの宿泊学習で、一度も事故を起こしていないことに深く感謝です。小野澤所長さんはその秘訣は「三つの“あ”」と言っておられました。「安全・挨拶・後始末」です。なるほど、始めてあった子どもたちが親しくなり、そこで約束事を確実に守ることで、安全が担保される、ということです。

これからも新たな船で、新たな航海で子どもたちの琵琶湖愛を育んでいただきたいと思います。なお、年間計画の中で、下流の近畿圏の子どもたちに乗ってもらう企画もあります。また「うみのこ1号」はまだまだ活用可能です。公的機関で活用でされない場合には民間での活用も視野に募集中ということです。関心がおありの方はどうぞ、滋賀県教育委員会に問い合わせて見て下さい。

 

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