Facebook 2014年9月2日

スイスのエネルギー政策、水辺環境と原発(6) 水辺の自然と風景・文化を大切に保全、再生する意識と制度。

日本中の川や堤防が洪水被害を防ぐ目的でコンクリート化され、大きく川の姿をかえた昭和40年代以降の河川政策に反省が出始め、もっと本来の川の自然への配慮が必要では、と問題提起されたのが平成にはいってからです。

国や自治体、住民、関係者の意見を反映して、河川政策の目的に、「治水」「利水」に加えて「環境保全」が明記されたのが、平成9年の河川法改正です。私自身はこの河川法改正の審議会に琵琶湖博物館の学芸員として参加をして、水辺の文化の大切さを訴えました。

明治29年の「治水河川法」、昭和39年の「利水河川法」についで、平成9年は「環境河川法」といわれてきました。

そして、日本の平成河川法改正に大きな影響を与えたのが、スイスにおける「自然再生型河川政策」です。

今回滝川さんとフリッツさんたちが案内してくれたアーレベルグ市の市街を流れるアーレ川支流はまさに、まっすぐの川に蛇行を加えて、ヨシなどにより水辺を再生しています。夏にはこの川で子どもたちが遊んでいるということ。

カモも川べりで巣作りをしていて、なんともほほえましいです。しかもこの川を見下ろす橋は、19世紀につくられた「屋根付き橋」(カバードブリッジ)で、その橋の建設も見事な栗材を使った頑丈で美しいものです。当時の掲示には、「馬は跳ねてはいけない」と注意書きがあるとのこと。

今もこの橋は幅が狭いので、一方通行で残されています。住民からは不便だと不満も出そうですが、橋を残す決断を住民が行い、1973年に補強工事も行い、苦情はないようです。

この橋のすぐ横が街の広場になっていてそこにも19世紀のものとおもわれ大きな湧き水がのこされていました。赤いゼラニュームの花に飾られ、二段になっていて、下の水槽は馬用だろうとはフリッツの推測です。

この旅の最後に湧き水についての報告をまとめます。

( 写真 ① アーレベルグ市中心部の自然再生河川、② カモも遊ぶ、 ③ 屋根付き橋から、④ 屋根付き橋の強固なつくり、 ⑤ 車も一方通行で、⑥ 街中には湧き水も、⑦ そのまま飲めます、 ⑧ 下の水槽は馬用か? )

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