Facebook 2014年9月7日

未来政治塾 南相馬フィールドワーク 被災地に学ぶ (1)

9月6日 未来政治塾有志と、地震・津波・原発の多重災害を受けて3年半の被災地、南相馬市を訪問。

まず仙台空港から車で南下。このあたりは津波に集落もろとも流されてしまった地域もあり、真新しい墓などに心が痛みます。水田の作付けもまだなされていない地域が多い。

途中、常磐線新地駅あたりをさがして訪問。乗務員が列車から乗客を促して必死で避難した駅です。列車はつぶれ、駅の階段部だけがのこされていた写真を多くの方はご記憶と思います。今は元の線路もわからないほど新設の高架線路工事が進んでいます。

相馬市の松川浦は2012年5月、知事時代に、流れてしまった松林を復興するため滋賀県内の松の種を寄贈させてもらいました。当時から比べるとかなり復興していますが、県外ナンバーの車も目立ちました。

南相馬市では「いちばん星 南相馬プロジェクト」の星巌理事長と奥様が運営する農家民宿に宿を求めました。150年前の母屋を改築したどっしりと建物、黒光りする天井が見事です。

星さんに、塾生が疑問に思っていたことなど質問させていただきました。少し長くなりますが大変貴重なご経験談です。ご本人の了解をいただき、少しでも共有させていただきたく紹介します。(ご本人の一人称で紹介します)。

(1) 地震、津波被害はどうだったか?

地震では母屋が少し傾いたが、昔の家は石の上にのっているだけなので本体は強かった。納屋はぜんたい崩れたので取り壊した。蔵はもったいないので今後修復したい。

津波については、2ヘクタールの所有農地のうち4反歩が津波をかぶった。3年目の今年、ようやく作付けできることになったがしていない。問題は田んぼの担い手がいないこと。津波で農業機械もながされた。米の値段も安い。ただ相馬の米は先祖からの土地なのでどうにかしたい。

今ふたつの集落が共同で70戸80haの圃場整備事業をしている。国の補助事業で1ha区画になれば、全体の農地を3人いればこなせるが、問題は水管理とあぜの整備など。高齢化で草刈りもできない。今後は生産プラス加工、流通など六次化が必要と今いろいろ計画している。

(2) 原発被害はどうでしたか?

2011年3月11日当時は市役所職員だった。小高区の税務課長だった。地震でパソコンおちて仕事できず閉鎖。本庁へ帰る途中、お袋が元気か確認しに自宅に寄った。その時津波がきた。もし浜街道をもどっていたら津波に巻き込まれていたかもしれない。自宅に寄ったおかげで救われた。でもお袋は最近78歳で亡くなった。震災関連といえるかどうかわからないが、原発事故で自宅は(原発から)27キロ。30キロ圏内でお袋、妻、娘の三人を福島の親戚に避難させた。身内を頼ったが、お袋はいろいろ気を使ったようだ。娘は仙台の学校へ通っていたが、常磐線が不通でバスで2時間かかるので今下宿している。

(3) なぜ「いちばん星」を立ち上げたのか?

自分は市役所の職員で、震災4日目に避難所をたちあげた。避難所へは全国から応援が来て、これらの人とかかわる仕事をしたいと思い、市役所をやめて「いちばん星」の組織をたちあげた。南相馬の復興、再生を皆で何かやろう。市役所職員として応援しよう。仲間と熱く語ったその晩、11月の夕方金星のいちばん星が輝いていたので名前を「いちばん星」とした。

全国からの応援、つながった縁をつなぎつづけたい。いつかはご恩をおかえししたい。一般社団法人とした。民宿をはじめたのは、全国からのボランティアの泊まる場所がなかったから。

また農業をなんとかしようということで、今、野菜農家、少量多品目の農家と協力して震災前の価格で、「旬・直・おすすめ便」をしている。 毎月一回で、月30ー40軒あり。風評被害については線量検査して表記。

風評被害を避けるためには花卉園芸が有利だと思う。若い人がでてくるとうれしい。六次の取り組みは、加工品、切り餅、漬物などをすすめている。

復興については、考えてばかりでは足がふみだせない。ともかき動き出すことが
大切だ。

(4) 原発は人災ではないか?3年半が早いのか?やっと3年半か?どう思うか?

南相馬市の中で、鹿島、原町はもどりつつあるが、原発影響のおおきい南部の小高区はがれき撤去がようやくはじまったところ。3年半をどうおもうか?、再稼働、こんなことがおきていまだ収束していないのに、原発再稼働はありえない。今、こんな状態で再稼働はとんでもないと、私たちは仲間と話している。原発はいらないと。たしかにそこで働いていた人は、動かないと自分の生活なりたたないという。でも、シーベルトを気にして、命がけ働くという必要はないのではないか。

経済ないとなりたたないという暮らしぶりをみるのは辛い。特に子どもたちへの影響はとても気になる。

南相馬市全体のことで一番大事なのは子どもが減っているということ。線量の高い、低いで幼稚園の入園者数もバランスがくずれている。子どもがいなければ町ではない。子どもがもどってくれる町。そういう町をめざしたい。

これ以外にもいろいろお話をうかがいました。星さん、奥様、明日、あさってとお世話になります。

今日、私も「旬・直・おすすめ便」申し込みました。皆さんも申し込んでみてください。私はホワイトセロリとアスパラガスなど、香味野菜を 期待しています。

(写真、① 仙台から相馬市へ 真新しいお墓、② 津波浸水区域表示 、 ③ 新地駅あたりでは常磐線高架化工事が進む、④ 新地駅地域で記念撮影、⑤ 復興の槌音、 ⑥ 「いちばん星」前で、⑦ 星理事長からお話しを伺う、 ⑧ 星さんご夫妻とお嬢さんの似顔絵入りのバッジ、⑨ 黒光りする天井、10、 「旬・ 直・おすすめ便」)

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