Facebook 2014年8月29日

スイスのエネルギー政策、水辺環境と原発(4) ミューレベルク原発廃炉をめぐる二人のキーパーソン。ウルリッヒ ベルン州エネルギー環境庁代表。

ベルン州エネルギー環境庁代表のウルリッヒさんと、ミューレベルク原発問題の研究者であり、企業経営者かつ廃炉即時運動家のキューニさんの今の立場など、伺いました。

ウルリッヒさん(50歳)は、もともと生物学、化学、工学、そしてエネルギー論を修めた研究肌の行政マンです。今の仕事に就いて11年。州のエネルギー計画については第一人者であり、全国的にもリーダーシップをとっておられるようです。

彼が一貫して強調していたのは、ベルン州のエネルギー計画は2006年に基本計画をつくり、この計画は、社会的条件など、時々の情勢を反映して4年ごとに見直しをかける、いわゆる「順応的管理」になっているということ。

そして時々の政治家とシナリオづくりをすすめてきた。原発があろうがなかろうが、温暖化対策をすすめ、石油や原子力に頼らない「持続可能な社会づくり」が目的で、具体的には「エネルギー効率を高め」「省エネ」を進め、電力会社の経営を健全に保つことは必須条件という。

そのために市町村でエネルギー専門職員を育て、増やすよう州政府は地道な支援(人的、財政的)を行い、市町村の街区計画に省エネ建築や地域熱暖房などの計画をいれ、実践してきたという。

今回の5月の住民投票で2019年に原発廃炉という判断がでて、それを実現できるのかと市民からの疑問もあるが、ミューレベルク原発は福島1号機と同種で長期間の安全確保に巨額の費用がかかり(360ー600億円 単位ちがう?)、経済的ではないという。しかし今後4年の稼働ならばその20分の1くらいの投資ですむ、という。

それゆえ、電力経営側には「期限をを決めて原発を止める判断をして欲しい」、しかしこれには「精神の入れ替え」が必要である。人が変わらないと中身も変わらない。今、州政府のエネルギー大臣はバーバラ・エッガーさん(女性)で、彼女が州政府の代表(知事役)もしている。また最近、ベルン電力会社のCEOも女性のスーザン・トマスさんになった。スーザンは、確実に期限を切って原発廃炉をしようとしている。

女性の原発に対する意識は大変繊細で、子ども、命への配慮が高い。また権力闘争に関わらない。(日本もそうだ、というと)、いずれにしろ組織は男女半々ではじめてバランスのとれた判断ができる。自分の役所も基本的には男女半々の登用をしている。自分は元々山岳案内をしてきたアルピニストだが、山登りも同じだ。

ということで、ベルン州政府としては、2019年を「脱原発」年といちづけたようです。

しかし、環境運動家のキュー二さんは「即はいろ」を主張しています。

(写真 ① ウルリッヒさんと 2006年エネルギー計画、②話し合いの場、③2035年までのエネルギー構成計画、④順応的管理図、⑤ エネルギー効率化の目標(最終的に生産するプラスに施設に)

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