Facebook 2014年8月30日

スイスのエネルギー政策、水辺環境と原発( 5) ミューレベルク原発廃炉をめぐる二人のキーパーソン。「即廃炉」を主張するキュー二・マルクスさん。

キュー二さん(40代半ば?) は現在30人の従業員をかかえるソフトづくり会社の経営者です。この5月のミューレベルク原発即廃止を主張し、住民イニシャティブをつくった当事者です。

ベルン市街を見渡すことができる「バラ園」で昼食をし、その後、ミューレベルク原発周辺を半日かけてご案内いただきました。

アーレ川に馬蹄形に囲まれた中世の町並み。雨に煙っていましたが、大聖堂を中心として国会議事堂のある美しい町並みを眺めながら、キュー二さんは「ミューレベルク原発はここからたった12キロです。福島では50キロ以上もの地域が人が住めなくなっている。原発の研究をしていると、居ても立っても居られなくて、即廃炉の提案をしました」という。

「いつから?なぜ?」 という質問に、原発のリスクについてくわしく勉強しはじめたのは福島事故以降だが、子ども時代から両親が教師で、生き物や生態学のことを大事に思ってきた、という。

まず、ミューレベルク原発の直上流にある水力発電所を上から見学。100年近く経っているがコンクリートの強靭性について自分は政府の評価を信じていないという。

その後、原発を左岸から見物。定期検診中で煙は出ていない。そこで50ページほどにまとめた英語の「福島とミューレベルク原発」という絵本的資料を基に詳しく説明してくれた。今日のために英語に翻訳してつくってくれた、という。

IAEAの「多重防護」の考え方からすると、ミューレベルクはその基準に達していない。特に、冷却水取り入れに不安がある。今、気候が不安定で今年も大雨が多かった。もし洪水で直上流の水力発電ダムがあふれたら、たちまち水位があがる。50センチあがるともう冷却作業ができなくなる、と図示してくれました。

その後、原発から300mほどはなれた別の丘の上には中世の見事な古民家が建ち、蒔がきれいにつまれていました。原発近隣地区では太陽光など再生可能エネルギーへの関心が高いということ。

滝川さんの旦那さんのフリッツの知り合いのザルツマン家も訪問しました。屋根一体型の太陽光、木材チップなど、バイオマスも見事に利用されていました。息子さんも跡取りをしてくれる約束で、羊放牧や野菜づくりなど多角経営に励んでおられます。

スイス農村には確実に、蒔のような伝統的ライフスタイルと太陽光など新技術を活用した再生可能エネルギー社会が育っています。

( 写真 ① キュー二さんと昼食しながらベルン市街をのぞむ 、 ② アーレ川に囲まれた世界遺産地域、 ③ ミューレベルク原発をみながら説明 、④「福島とミューレベルク」説明資料 、⑤ 別方向の丘の上から、⑥ 道路の反対側には蒔をつんだ中世風も古民家、 ⑦ 太陽光設置の農家、ザルツマン家、 ⑧ バイオマスも使われている。

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