Facebook 2014年7月6日

日本自治学会主催の「原発と自治」シンポジウムにパネリストとして参加、意見交換(長いです)。

7月5日(土)朝から東京に出張。日本自治学会主催の「原発と自治」をテーマとしたシンポジウムにパネリストとして参加。

他のパネリストとして、泉田裕彦 新潟県知事、井戸謙一 弁護士、首藤重幸 早稲田大学法学学術院教授、村上達也 前東海村長が参加され、司会はNHK解説副委員長の城本勝さんです。

第一部は、各パネリストから10分程度で論点提示。私からは「被害地元としての苦闘~原発災害(環境への影響も含め)と隣接県の対応~」と題して、3.11以降の過去3年にわたるこれまでの滋賀県の「被害地元」としての、リスクを正しく「知り」「備える」仕組みづくりについて具体的に紹介。

特に県民の皆さんの命と財産を守り、近畿1450万人の命の水源である琵琶湖を預かる知事として、滋賀県として、福井の原子力発電所の存在は大きな懸念材料であること。

福井県の皆さんによる安全性の確保への努力に感謝しながら、「被害地元」という概念を明確化して、災害が発生した場合の大気・琵琶湖へのシミュレーション予測の実行、広域避難計画の策定、電力事業者と関係団体との「原子力安全協定」の運用など、これまで取り組んできた原子力防災対策をお話しました。

また、原子力災害は環境汚染であり「汚染者負担原則」が働くべきではないか。それゆえ事業者の責任がもっとはっきりなされるべきこと。さらには、立地自治体と同様に被害を受ける恐れがある中で、周辺自治体の原子力政策に関する権限が非常に限られている現状などを、問題提起させていただきました。

第二部では、①「原発再稼働の動きをどう見るか」、②「“国策”としての原発行政と地方自治」、③「原発と自治の今後をどう考えるか」といった論点でパネルディスカッション。

泉田知事は立地自治体として、私は周辺自治体として、村上さんは東海村JCO臨界事故の対応にあたった経験から、井戸弁護士と首藤教授からは法的・学術的な側面から意見を交わしました。

「まずは福島原発事故の検証と総括を確実に行うべき。安全基準はその経験を踏まえたものであるべき」「災害時のリスクを住民に提示し、正しく知って、正しく備え、皆で命を守っていくことが大切。そのための首長のリーダーシップが求められる」ことなどで共通の認識を図ることができました。

一方で、原子力政策では利害関係者以外の声が反映されにくい現状や、実際に避難する場合の具体的担当(たとえば、バスや運転手)の確保が困難な点など、単独の自治体で対応する限界も見えてきました。

私自身、東日本大震災以降、「被害地元」という概念を自ら提示して、県民の皆さんの安全・安心と近畿の命の水源である琵琶湖を守るため、原子力防災対策に力を入れてきました。

これまでの苦闘を振り返りつつ、原子力政策に関して自治体として求められる役割や限界について考える良い機会となりました。この点について、県民の皆さんが、7月13日に選んでいただいた次の知事に引き継いでいきたいと思っております。

先頭に戻る