Facebook 2014年4月1日

糸賀一雄生誕100年記念行事で、大江健三郎さんの『次の時代への本質的な(エサンシエル)なモラル』の感動的な記念講演をいただきました。

3月30日(日)午後、大江健三郎氏から『次の時代への、本質的な(エサンシエル)なモラル』と題して、記念講演をいただきました。

実は、大江先生の奥さんのお父さんである伊丹万作さんが、近江学園校歌の作詞を昭和19年頃にされており、大江さんご自身が昭和38年(1963年)に生まれた知的障害を持つお子さんに「光」という名前を付けられたことと糸賀一雄氏の「この子らを世の光に」という言葉との不思議なつながりについてお話されました。

この子らが「光」ということには、家族にとっても「光」であるし、社会全体を照らす「光」でもあるという二つの意味を挙げながら、この「光」という言葉が社会に広がり、倫理観への共通した光となっていると指摘されました。

言葉のもつ力、という意味で、大江さんが知的障害をもたれるお子さまに名づけた「光」と、糸賀さんが表現した「光」の中で共通の意味の糸をたぐり寄せられたようで、1960年代に、もし大江さんと糸賀さんが直接に出会っていたらどんな共鳴と共感が生まれただろう、と刺激的な想像をいただきました。

また大江さんは、糸賀一雄の影響を受けた人が次の時代へ、その実践と理念を伝えようとする今日の取組のように、私たちが今をどう生き、次の世代をどう生きていくのか、という本質的な(フランス語でエサンシエル)なモラルを今、しっかりと考える必要があると提言されました。

その中で私自身が、2012年11月27日に公表した「琵琶湖宣言」を大江さんが引用してくださり驚きました。

「福島の事故は、放射性物資を大気や水中に広げることで地球を汚した、この重い責任を感じることなく、経済性だけで原子力政策を推進することは、国家としての品格を失い、地球倫理上も許されないことである」という部分です。

何も事前の打ち合わせなく、このような引用をいただき、私としても地球レベルでの温暖化や原発の問題も含め、会場の一人ひとりに未来への責任ある態度と実践を求められた強いメッセージだと感じました。

大江さんから署名入り最新著作をいただき、うれしく思いました。実は1968年、私自身高校3年生の時、『万延元年のフットボール』に感動したこともお伝えできて嬉しかったです。

先頭に戻る