Facebook 2018年11月23日

NPO法(正式には「特定非営利活動促進法案」)が1998年に施行されて20周年。東京での日本NPOセンター主催の記念シンポ「これまでの20年とこれからの20年」に参加。全国から150名ほどの参加者があり、ここ20年の歩みを振り返り、これからの20年を見通すミニ講演とディスカッション、そして懇親会。お金と人と経験の「ストックづくり」が今こそ必要、と共鳴。懇親会には「NPO議連」の、自民党、国民民主党、立憲民主党、公明党、と多彩な政治家の方が見えました。NPO法のすそ野の広さを感じる会合でした。11月22日。(1800文字、また長いです)。

「行政主導の社会を市民主導に切り替えるための装置としてのNPO法」。振り返ってみると、平成時代の発足とともに起きた1989年の東西ドイツ統合に象徴される冷戦構造の転換とEU発足、92年のリオでの地球環境サミット、政治的には自民党一党支配から自社さ政権の成立と政権交代可能な小選挙区制の導入。そして高度経済成長の時代には幸運にも牙をむかなかった災害列島日本の大地震が勃発した阪神淡路大震災。中央集権から地方分権・地域主権へ。

1990年代の世界規模の変革を日本社会として受け止めた社会変革の仕組みがNPO法だったと思います。この春から仙台や大阪など日本全国でミニシンポを積み重ね、そのシンポのまとめの会合でもありました。

ミニ講演では、まず私は地方自治の経験と地域社会学の歴史理論から、「市民活動というアソシエーション的結合を、生活共同体であるコミュニティ的地縁社会の人的ストックにつなぐ」事で「新しい公共」に「懐かしい公共」で強化できるのでは、と提案しました。滋賀県はまさに、淡海ネットワークセンターがプラットホームとなり、歴史的に積み上げられた「惣村的なコミュニティ自治」に「新しい公共」がつながり、環境・福祉・まちづくりにむけて594ものNPOが生まれ活動していることを紹介しました。

時代をさかのぼると、伝教大師・最澄が、日本に仏教を広めようとした時に、土着の自然信仰への敬意をはらい神仏習合を説いた戦略が今も活かせるのではという提案です。伝統への敬意が「山川草木悉有仏性」という日本の人びとの間に生きていた自然信仰につながったことも紹介しました。このような提案は、全国でNPO活動する若い人たちには意外だったようです。どこまで伝わったかは未知数?(微笑)。

ミニ講演はほかに近代日本で最初の銀行をつくった渋沢栄一さんの子孫でもある渋沢健さんが、明治資本主義の原点は「滴(しずく)」をあつめて「大河(たいが)」をつくり日本最初の銀行をつくり資本主義を育てたという歴史から、NPOもお金のストックをつくろうと呼びかけました。国際政治学者の中央大学の目加田説子さんは、90年代以降のグローバル化が進む中で、9・11に象徴されるような不安の増大がすすみ、今こそNPOが地球規模で新しい価値づくりを提案すべきと主張して下さいました。

今回主催者の企画で面白かったのが「sli.do」(スライ・ドゥ)という手法です。イベント参加者が講演者からのキーワードをフォローしながら、フォロワーが多いと文字が大きくなり、そこに質問も投げかけることができるという仕組みです。ともすれば一方的になりがちなシンポジウムに双方向性と参加性を担保しようというものです。その結果、ミニ講演のキーワードは「ストックづくり」となり、次いで「懐かしい公共」「参加型社会」「連帯革命」などが中心にきました。写真添付します。

滋賀県から参加した東近江市の遠藤恵子さん、県の県民活動・協働推進室室長の板倉成子さん、また滋賀県立大学出身で今、新潟NPO協会の事務局長をしている石本貴之さんと記念写真。

懇親会では政党の枠をこえて、NPO議連にかかわる衆議院議員、参議院議員が次々と現れて挨拶を下さいました。事務局長で国民民主の岸本周平さん、自民党の逢沢一郎さん、西村康稔さん、中谷元さん、立憲民主の川田龍平さん、公明党の谷合正明さんでした。法律の制定過程は1990年代初頭から10年近くの経過があります。そもそも法律の名称に「市民活動」という文言をいれることに抵抗が強く、「市民活動促進法案」が、参議院自民党で「非営利活動促進法案」と名称が変更され、最後に「特定非営利活動促進法案」として全会一致で成立したのが98年の3月でした。

名称のわかりにくさが今も尾を引きずっているようですが、この20年に全国に5万をこえるNPOが生まれ、まちづくりや福祉、環境、高齢者や子育て支援などの領域で多彩に活動している、そのうごめきに期待です。旧来の地域コミュニティ組織ではできないビジネスモデルや、女性・若者参画に今後も大きな期待をもちたいです。

 

先頭に戻る