Facebook 2018年11月25日

「信頼資本財団」という不思議な財団があります。熊野英介さんという個性的なリーダーが、人間同士の「信頼が資本となる社会の実現を目指して、社会事業家の育成や環境整備、市民の社会参加の促進」をすすめています。「お金ではなく信頼が資本」。この財団と京都造形芸術大学共催の「核と鎮魂・市民会議」に参加、4時間を超える熱い車座型討論の結果は、①核廃棄物をこれ以上増やさない、②すでにつくってしまった核廃棄物は「古墳」のように神聖性を付与して1万年・10万年と次世代に送り届ける工夫を生み出すという出口でした。11月25日、(また長いです:1900文字)

今年で二回目。昨年は「愚行に無関心なことが、一番の愚行である」というメッセージを投げかけたということ。今年は「文明の終わりと始まり」を掲げ、生命を脅かす環境問題と平和問題をつくり出した近代文明産物の核について掘り下げました。原子力・核について4名の話題提供、そのあと10名のフォロワー、会場ふくめ全体での語り合い、持続可能な社会と新たな文明に向け、対話がすすみました。

こんな大勢で対話がなりたつのか最初は懐疑的でしたが、本間正人さん(京都造形芸術大学副学長)の見事なコーディネーションで、刺激的な出口が見えてきました。対話空間の持ち方も勉強になりました。「春秋座」という歌舞伎可能な舞台演出も効果的でした。

まず、長崎大学核兵器廃絶研究センター長教授の鈴木 達治郎さんから、原子力工学者の立場から、核兵器と戦争の根絶を目指す科学者集団「パグウォッシュ会議」評議員としての活動を中心に、核開発にかかわった戦前からの世界の科学者の系譜を紹介しながら、科学者の責任として「人間性」を失ってはいけないとまとめて下さいました。鈴木さん自身、日本の原子力政策づくりの中にいて福島事故を防げなかったことを深く反省しておられる、ということです。

私からは、「眼の前の安心、背中の不安―琵琶湖原人として思う事」として、1450万人の命の水源である琵琶湖への最大のリスクは、若狭湾岸の原発事故であること、「電源の代わりはあっても琵琶湖の代わりはない」ことを知事時代から訴え、その延長で、今琵琶湖辺に住み「琵琶湖原人」として、日々琵琶湖水を飲み、琵琶湖のアユやビワマスなど魚になったつもりで、工学技術で除去できない核の危険性を訴え、人類としての出口を探っていることを問題提起。

末吉里花さんは「エシカル協会代表理事」です。TV「世界不思議発見」のミステリーハンターとして世界75ケ国を訪問してきた経験から、美しい自然や立場の弱い人たちが犠牲になっている現場をみて、私たちの暮らしの物やサービスいかに生産、供給されているのかが見えなくなっている、その壁を取り除き、世界での生産や供給現場を見て、知り、そして消費者として選ぶ中で「エシカル=倫理性」を根拠にして、小・中・高での講演内容を紹介下さいました。

鬼丸 昌也さんは「テラ・ルネッサンス」の創設者で理事です。アフリカのコンゴを中心に、子ども兵や平和問題を伝える講演活動を立命館大学の学生時代から始めて17年。遠い国の話を身近に感じてもらい、一人ひとりに未来をつくる能力があると訴えかけ、今回はコンゴでウランが採掘される現場での問題を提起。採掘者たちは貧しさに耐えながら裸足でツルハシを振り上げ、ウランを採掘している。一人ひとりは「微力であっても無力ではない」という名言を今日も発信。

10名のフォロワーの発言も迫力ありました。内容は紹介しきれず、お名前だけ列記させていただきます。関 恵さん(「発酵食堂カモシカ代表」)、田口一成さん(「ボーダレスジャパン代表取締役」)、田中勝さん(京都造形芸術大学文明哲学研究所准教授)、田中優さん(未来バンク事業理事長)、谷崎 テトラさん(ワールドシフト・ネットワーク・ジャパン代表理事)、中村菜穂さん(京都ジェンヌの会代表理事)、ハッカライネン・ニーナ さん(外国人女性の会パルヨン代表理事)、林篤志さん(Next Commons Lab理事)、春山慶彦さん(ヤマップ代表取締役)、星川淳さん(アクト・ビョンド・トラスト代表理事・作家)。

コーディネイターは、本間 正人さん(京都造形芸術大学副学長、教育学・学習学)でした。

最後に主催者の大野木 啓人さん(瓜生山学園常務理事)と熊野英介さんの挨拶。広島・長崎に核が落とされた人類最初の最悪の被害から100年後の2045年に「核をゼロにしよう」という力強いメッセージで終わりました。来年の3回目も企画なさるということ、期待したいです。

旧友の八木マリヨさんが参加してくれていて、芸術劇場「春秋塾座」から見える京都の夜景をバックに中村菜穂さんと写真。懇親会も含めて、熊野さん、本間さんたちの「信頼の輪」にいれていただき、新しい人と人の出会いをいただきました。主催・計画された皆さん、お世話になりました。

 

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