Facebook 2017年11月19日

ブータンから滋賀県を訪問してくれた「持続可能コミュニティ」運動の指導者、ネテン・ザンモさんを、ブータンと風土や文化、人びとの気質が似通っていると言われる米原・長浜地域をご案内。伊吹山から姉川を下りたどって琵琶湖河口部まで、ナマケモノ倶楽部の辻信一さん、滋賀県立大学の上田洋平さんとご一緒にご案内しました。11月15日。(また長いです:微笑)

まずは米原の木彫の里、上丹生の森哲荘さんの工房を訪問。祇園祭りの山車を飾る「龍頭」(りゅうとう)の制作現場をみられて感動。「今後コンピュータが仕事を奪うと心配されているけれどこういう仕事は永遠に続く」と一同の感想。ネテンさんが何よりも感動したのは、木彫仕事の跡をとっておられる長男さん夫妻と同居をして、まさに仏壇と神棚の前に並ぶ3世代家族の姿でした。「若い人への家族の継承はブータンでも最大の関心事」ということ。

米原「ルッチプラザ」で開催された、村上悟さんがコーディネートした辻さんとネテンさんのトークセッションでは、30名以上の参加者もまじえての対話セッションとなりました。ネテンさんは日本での問題提起もふまえ、ブータンでも若い人の教育、特に伝統文化や環境保全意識を育む教育の重要性を強調。私も滋賀らしい、自然と寄り添った暮らしぶりを次世代につなごう、と訴えました。

夕食は米原で、「暮らシフト研究所」を主催し、有機農業で食材を生産し、自ら健康料理を工夫する藤田知丈ご夫妻による、手料理をいただきました。報恩講のお講汁風に炊いた大根と厚揚げ。玄米のおにぎり、自家製みそのおみそ汁、赤こんにゃくの炊いたん、などおいしくいただきました。レシピもいっしょに提供いただきました。

宿泊は、米原市柏原駅前の「渡部建具店」という民泊。元は建具屋さんだったということですが、今は建具はつくらず、広い家を外国からの旅行客に「B$B」として提供。埼玉県生まれの奥様が旦那さまのふるさとに帰り、農業をしながら、つむぎちゃんという3歳の子どもさんを育てておられます。つむぎちゃんのコーヒの豆挽きの手際が見事で一同感動。

その後、大阪から伊吹に移住なさり、棚田を開いて、「水と食料とエネルギーの自立」をめざす「伊吹山スロービレッジ」を主催する嶋野さんご夫妻を訪問。耕作放棄地を水田に開発なさった苦労、特に獣害対策が大変ということ。何よりも「食料の自給が安心の源」と米や野菜、食料のほぼ半分は自給しているということ。今後、小水力やソーラーシェアリング(農地の上で太陽光発電)もはじめるということ。ネテンさんは日本でのこのような挑戦に感動。

このあと、姉川沿いの細い砂利道を上田さんの運転でたどりながら、姉川河口部までご案内。途中で、農業用水の取水方法や、姉川でのヤナ漁業などの現場をご案内。水は小さな村落での共同利用が主体だったが、漁業資源は誰がどう活用するのか、古代から漁業の権利争奪が住民の間でおきていて、時の権力者の後ろ盾が必要だった、という私の環境社会学研究を披露しました。最後には、ネテンさんは、姉川の河口部から琵琶湖を眺め、そのあと野鳥センターで琵琶湖の広さに感動しておられました。

今回、ナマケモノ倶楽部の辻信一さんが東京からネテンさんをお連れくださったのは、「幸せの経済」国際シンポが終わっての関連プログラムです。私自身は、ずっと気になっていたブータンの暮らしの場での幸せの作り方、つっこんでの学びができました。琵琶湖・滋賀らしいくらしぶりとブータンの比較。

「幸せの経済」とは、今、金銭的経済成長だけに翻弄される国際的なグローバルな流れに対抗的思想を提示する運動で、ナマケモノ倶楽部の辻信一さんたちが主導しています。滋賀らしい「自然に寄り添った暮らしぶり」は、「幸せの経済」と切り結ぶことが可能です。滋賀県としてすすめている「SDGs(持続可能な社会づくり)運動」ともつなげていきたいですね。

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