Facebook 2015年8月17日

「水と文化研究会・つなぎの会」 琵琶湖畔で今後の新たな活動再開の門出の会合を開催。2015年8月17日。(長いです)。

今から27年前の平成元年に滋賀県・琵琶湖辺で産声をあげた「水と文化研究会」。水環境と人間のかかわりの変化を住民の住民自身の手で調べ・発信し・地域政策や環境保全への提言をしていこうと各種の住民参加型調査を行い、琵琶湖博物館の運営や展示、滋賀県政への提案を行ってきました。

生活文化としての「カバタ文化」や「ホタル保全」、「魚のゆりかご水田」や水害・減災をめざした「流域治水条例」など、「水と文化研究会」の価値観とノウハウは各種の政策にも活用されました。平成17年には「日本水大賞」をいただきました。

あれから27年。3.11の大震災や人口減少社会を目前に、改めてこれからの時代、日本の地域ごとの水文化の重要性が高まってきています。上下水道などのライフラインは利便性や衛生確保という面で重要な技術ではありますが、いざ災害時の安心、また水とのかかわりの伝統や宗教、そして生活文化、子どもたちの心を育てる遊びなどを考えると、上下水道の管だけに水をとじこめてしまうのはいかにももったいないです。

水道管には魚はすめません!工場でも魚は生産できません!

特にこの春、琵琶湖が「祈りと暮らしの水遺産」として第一号の日本遺産に指定されました。日吉大社の神さまに守られた天台宗の総本山・比叡山の天台薬師の池である琵琶湖は、神と仏の住まう湖でもあります。

同時に湖辺には、淡水の飲める水と魚介類をあてにして縄文・弥生の時代から多くの人びとが住みつき、豊かな水文化を育んできました。その生活様式は今も琵琶湖辺の各地に受けつながれながら、生きております。それが、「水と祈り」「水と暮らし」「水と食文化」を包括した「水の文化」です。

2020年の東京オリ・パラを控え、海外に日本文化を紹介する場としても期待されます。「水と文化研究会」では、アメリカ・メンドータ湖、ヨーロッパのセーヌ川・レマン湖、アフリカ・マラウイ湖、アジアのトンレサップ湖など、各地の生活と水の文化について調査をしてきて、日本人の水への信仰と水へのこだわりは大変個性的であることがわかってきました。そのような意味から、日本人以上に、海外の人たちこそ、琵琶湖の水文化の真髄に驚きをもって接してくれるはず、と信じております。

その為には住民として伝統的な生活文化を記憶し、守ってきた人たち、対外的に琵琶湖文化を紹介する人たち、また行政や研究者など、多様な人たちが知恵を結集する必要があります。

そこで2006年、嘉田が知事に就任して以降、休眠状態だった研究会再開の会合を「水と文化・つなぎの会」として、本日、琵琶湖畔の北比良で行いました。なつかしい方、あたらしい方、若い方、子どもたちもふくめ50名ほどが集まってくださいました。

今日は特に琵琶湖辺での水道導入前の水利用の実態について、高島市旧マキノ町の小荒路集落から、湖岸の海津、旧志賀町の北比良・南比良、湖東の能登川や愛知川流域など、直接の水道導入前の湧水、湖水、川水利用を経験しておられる皆さんから、なまなましいお話を聞かせていただきました。

今後、琵琶湖に特有の「橋板(洗い場)文化を再生する協議会」を立ち上げていこう、という提案について、本日多くの方の賛同をいただきました。

またこのような経験や知識をどのように表現するのか、いろいろ工夫が必要です。京都の日本海側で「日本の源流ガイド」をまとめておられる新聞記者さんや、滋賀県内の文化を海外からの個人旅行者に丁寧にツアーをしておられる方にもご参加いただきました。

近代化の中で、暮らしの現場から「遠くなった水」を、私たちの暮らしに「近い水」として取り戻していくためにも、皆さんの暮らしの中での水との直接的なかかわりをいろいろ教えていただけるとありがたいです。

 

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