Facebook 2016年3月10日

近畿1450万人の命の水源である琵琶湖を抱え、未来にむけて命・暮らし・環境を守りたいという滋賀県民の思いが届いた画期的判決!大津地裁が高浜原発3、4号機の運転停止を命令。3月9日(長いです)。

福島第1原発事故から5年がたとうとする今も、国民の不安が払拭(ふっしょく)されていない現状を司法が代弁したともいえます。政府は司法の警告に真摯(しんし)に応える責務があります。

なぜ福井県にある高浜原発3、4号機について、滋賀県内の住民が提訴したのか?滋賀県は高浜原発から30キロから70キロ圏内。立地地元ではないが「被害地元」です。

その上関西圏1450万人の命の水源である琵琶湖も、福島並みの事故がおきれば、浄水場の機能にもよりますが、飲用水としての利用が一定期間困難になる、という調査結果も滋賀県から出されています。

運転停止の最大の理由は安全性の担保ができていないこと。「関西電力が原発の周辺で行った断層の調査は、周辺のすべてで徹底的に行われたわけではないうえ、地震の最大の揺れを評価する方法はサンプルが少なく科学的に異論のない方法と考えることはできない」と指摘。

その上で、「福島の原発事故を踏まえた事故対策や津波対策、避難計画についても疑問が残る。住民の生命や財産が脅かされるおそれが高いにもかかわらず、関西電力は安全性の確保について説明を尽くしていない」と避難計画の不備にも言及。

「福島の事故の大きさに真摯(しんし)に向き合って同じような事故を防ぐためには、原因の究明を徹底的に行うことが不可欠だが、この点についての会社の説明は不十分だ。もし会社などが原因究明を重視しないという姿勢であれば非常に不安を覚える」とも指摘。5年たっても原因究明が不徹底な東電・国の姿勢も批判。

私自身、滋賀県知事として避難計画づくりに心をくだき、全力で組織的対応をしてきた立場からすると、今回の判決では、避難計画についても「国が主導し、具体的な計画が早急に策定されるべきだ」と指摘した点は大きく評価できる。今のままでは実効性のある計画は作れません。その自治体の本気の悩みに司法が応えてくれたことにもなります。

また一方で、関西電力は「高浜原発なしでは電力料金を値上げせざるをえない」と経営問題をもちだしています。そもそも関電は、事故の危険性と将来的な経営の危険性を内包しながらいつまで原発頼みの経営をつづけるのか。福島事故から学ぶことはないのか?原発なしで必要な電力を守り、関電の経営も成り立つような中長期的な経営計画を、国の支援の中でつくるべきです。

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