Facebook 2016年4月30日

連休二日目!♪ 大津・びわ湖ホールの「ラ・フォル・ジュルネびわ湖」!好天に恵まれ朝から大変な人だかり!「聴く」「体験する」「食べる・買う」三拍子そろった連休の楽しみ。明日が三日目、まだまだチケットはあります。琵琶湖畔におこし下さい!4月30日。(相変わらず長いです^_^)

2010年から始まった「ラ・フォル・ジュルネびわ湖」、今年で7年目に入り随分進化しました!今日は「今だからトーク」でびわ湖ホール関連の滋賀県政を少し振り返ってみます。

時は平成20年(2008年)3月。2006年に知事就任して2回目の予算編成時です。「嘉田は栗東新駅など公共事業がもったいないと言うなら、びわ湖ホールはもっともったいない」と内々思う滋賀県議会議員の一部の人たちが、表向きは「乳幼児医療費の県負担増額」のための財源として、びわ湖ホールの大幅な予算削減を提案してきました。12億円の予算のうち三分の一の4億円の予算削減で、半年間休館すべきという提案です。知事としてまさに板挾み。県議会の承認なしに予算執行は出来ません。

そんな審議内容を聞きつけて、自主的に全国からびわ湖ホール応援の署名が1週間で3万人以上集まりました。滋賀県として、文化事業の重要性を強調したい私としてはこの動きに感謝しながら、滋賀県内からの応援がよわい事が気がかりでした。「びわ湖ホールは敷居が高い」という声もちょくちょく。びわ湖ホールが県民のものになっていないのでは・・・。

そんな時にクラシック音楽を安価に広く楽しもうという「ラ・フォル・ジュルネびわ湖」の提案を、すでに東京や新潟ですすめていたグループからいただき、即座に飛びつきました。これこそ、県民のためのホールづくりにぴったりではないかと。1年間の準備期間を経て2010年4月に第一回を開催。アーティスティック・ディレクターのルネ・マルタンさん(フランス、ナント市で活躍)は、びわ湖ホールを「琵琶湖湖畔の景色は美しく、水辺の風景としてウィーンやプラハに共通するものがある」と絶賛して下さいました。

その時に私から提案したのが「びわ湖ホール田植え」です。連休時の滋賀県は、田植えシーズン。泥にまみれて田植えをしなければならない人たちにとっては「音楽で遊んでいる」という抵抗感もあり、ホールへの反感の一端ともなっていました。そこでまさにカルチャーの原義、農業に敬意を表すためにホールでの田植えを提案しました。

2010年はモーツアルトがテーマだったと記憶していますが、前述のルネ・マルタンさんに田植えのことを説明したら、「モーツアルトの音楽を聞いて育つお米、きっと美味しいでしょう!」とこの企画に賛同下さいました。そうでなくとも忙しいホールの職員、今年も「ホール田植え」を続けていただき感謝です。水やりや肥培管理にはご近所のJAレーク大津の皆さんが協力してくれています。

その後、2012年からは「ゼロ歳からのコンサート」を子育て中のお父さんやお母さんに気軽に音楽をたのしみながら息抜きをしてもらおうという狙いではじめました。私自身、子育て中、10年以上もコンサートにはいけませんでした。最初の挨拶で「子どもさんの泣き声も音を楽しむ“音楽”のひとつと思って、心おきなく楽しんでください」と言わせていただきました。私自身の心からの言葉だったので今もその挨拶をよく覚えております。

今年の「ラ・フォル・ジュルネびわ湖」のテーマは「ナチュール:自然と音楽」という琵琶湖ならではの奥深いテーマです。「自然はいつのときも、作曲家たちの霊感(インスピレーション)の源泉であり続けてきました。・・・鳥のさえずり、波のリズム、葉叢(はむら)をわたる風、雷のとどろき、太古の人々は自らを取り巻く果てしない音の世界に心惹かれたはずです」とルネ・マルタンさんは、今回の記念出版物に書かれています。

ビバルディやスメタナなど、私の大好きな作曲家の作品も目白押し。二日目の今日はまず滋賀県内の高校生たちの軽音楽部を束ねてくれている村田先生たちに出会いに、ホール横キオスクでの「軽音楽祭」を聴かせていただき、その後「大道芸人」の奥村さんのジャグリングをみせてもらい、中谷満さんたちのパーカッショングループ企画の「ゼロ歳からの音楽祭」へ。まさに今ゼロ歳の孫の淳平は、パーカッションにあわせて手を叩いている!びっくりのノリでした。3歳、6歳の孫たちもがやがやしながらも楽しんでいました。

夕方は琵琶湖に出て、ミシガン船上で、ハープ演奏のスメタナ作曲「モルダウ」を聴かせていただきました。オーケストラのあの水滴の一滴を表現するフルートの繊細さ、その後だんだんに下流に流れながらのモルダウ川の雄大な風景をイメージさせる重層性、ポーリーヌ・ハースさんのハープ1台で見事に表現されていました。

2004年にモルダウ川の水害被害の調査に行った時、ボヘミヤの農村を流れるモルダウ川に堤防がほとんどない。「なぜ?」と尋ねる日本から連れていった小学生たちに、地元の人たちが、「川が見えなくなる堤防のような障壁はつくらない。水害がおきた時には逃げて命を守る。川は日々眺めてこその川なのだ」と迷わず言っていたことが思いおこされます。

「モルダウ」の曲が「わが祖国」というタイトルを付した意味がここにあるようです。モルダウ川には国の精神を具現する妖精が住んでいる、その水の精はルサルカという。さしずめ琵琶湖であるなら天台薬師の池の水の仏精、薬師如来さまでしょうか。そんな想像をしながら、琵琶湖上のハープ演奏の「モルダウ」を楽しませていただきました。孫たちとともにすごした美しき、楽しき日でした。

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