2026年1月4日 嘉田由紀子びわ湖便り。1月4日、長い連休の方も明日からは仕事はじめでしょうか。お正月、埼玉県本庄市の実家でお墓まいり帰省をして帰路、東海道新幹線では、米原から滋賀県にはいったとたん雪です。今回の雪は東近江市の愛知川まで降っていて、日野川ではうっすら、三上山、野洲川では全く雪がみられません。昔から「川一本すぎるとそこは雪国!」と言います。「トンネルを抜けると」ではなく、平野部に降雪境界があるのも、滋賀県、近江平野の特色です。改めて、琵琶湖集水域の水資源供給について、解説させてください。1100文字です。

1980年代初頭から滋賀県琵琶湖研究所(現在の琵琶湖環境科学研究センターの前身)で「滋賀県地域環境アトラス」という滋賀県の自然・社会関係のデジタル地図化を行いました。その時に気づきましたが、琵琶湖周辺の集水域は、夏雨と冬雪の両方が巨大な琵琶湖の水源を養っていて、水資源としては年中安定的な水源がある「奇跡の湖」だということです。当時の大西行雄主任研究員が工夫をしてメッシュ毎の月別降水量を地図化したものがあります。少し古いですが降雨量構造は大きく変わってはいないでしょう。


これをみていただきますと、湖北では年間2400ミリ以上のメッシュが多くなっています。しかも月別降雨量は年間平均しています。一方、南部地域では年間降雨量は1600ミリ以下です。これらの降雨が琵琶湖に注ぐ一級河川118本、小さな小溝までいれたら400本近くの水として琵琶湖に流れこみます。またその琵琶湖水は京都、大阪、兵庫県まで1450万人の皆さまの「命の水源」となっています。関西空港でも兵庫の有馬温泉でも琵琶湖水が供給されています。日本だけでなく、国際的にみてもその水源としての安定性と広範性は他に追随させない水資源と言えるでしょう。

日本で最も深い雪の記録は滋賀県伊吹山です。湖北ではたとえば昭和56年豪雪では余呉町では屋根まで深い雪に埋もれて多雪災害でした。その時の写真を、滋賀県知事時代、大阪府の橋下知事や兵庫県の井戸知事にお持ちして、造林公社の借金返納負担に協力いただきました。実は水源保全のために滋賀県は二つの造林公社をつくり水源林づくりに予算を投じて1050憶円の借金となっていました。知事時代の大きな課題でした。下流の皆さんのおかげで借金総額の減額はできたのですが、まだまだ滋賀県では水源林保全の借金は残されたままです。これからの課題です。
実は昭和40年代、国の指導で針葉樹林の方が水源保全機能が高いという論文が都道府県にだされ、当時の担当者に聴くと国の指導に従ったということです。今では逆の「科学的データ」が日本の森林政策と水資源涵養政策の道を誤らせてしまいました。大きな反省です。