○嘉田由紀子君
ありがとうございます。日本維新の会、嘉田由紀子でございます。質問時間いただいて、ありがとうございます。
六月三日にもお伺いしましたけれども、今、財政難の時代、人口減少、そして施設の老朽化、この三大国難の時代に公共事業どうあるべきかということで、私のライフワークでもあります河川政策、今回は球磨川の川辺川ダムについてお伺いいたします。
三日の、土田慎財務大臣政務官が、今の建設国債の残高三百三・九兆円と、全体千二百兆円の残高の中で四分の一ほどが建設国債だということでございまして、この費用便益分析を行うと、一・〇以上ないと公共事業をやるべきではないという原則があったと思うんですが、この川辺川ダム問題について、資料一に、球磨川というのはいわゆる肋骨型河川と、もう小さい川がたくさん集まるというところで、この最上流に川辺川ダムが昭和四十四年に計画されております。二〇二二年十一月八日に国交大臣が、ここでのBバイCを全体〇・四と。〇・四だと一・〇ないから事業は中止かと思いきや、残事業が一・九あるから、それでこれは続けるんだということを判断なさいました。
昨日、党首討論で石破総理は、税収は自民党、与党のものではないと、国民のために使うと。これ、果たして、自民党、与党のための事業ではないんでしょうか。本当に国民のためになるんでしょうか。国交大臣、まずお願いいたします。
○国務大臣(中野洋昌君)
嘉田委員にお答えを申し上げます。
事業継続、公共事業の事業継続の判断につきましては、これは有識者による検討を踏まえて策定をいたしました公共事業評価の費用便益分析に関する技術指針というものがございます。ここにおきましては、事業を再評価をした時点における残事業の投資効率性が基準値以上でありますれば事業全体の投資効率性が基準値未満であっても基本的に事業を継続をすることとしているところでございます。
九州地方整備局におきまして、このことを踏まえたBバイCの分析に加えまして、事業完了による想定死者数の低減効果なども算出をし、熊本県知事からも御意見をお伺いするとともに、球磨川水系学識者懇談会におきまして総合的に御審議をいただいた結果を踏まえまして、国土交通省として事業継続を決定をしたものでございます。
国土交通省としましては、引き続き事業再評価を適切に実施をするとともに、事業への理解や協力が得られるよう、ダムの効果などを地元住民の方々に丁寧に説明をしてまいりたいと思います。
○嘉田由紀子君
様々な評価委員会、あるいは熊本の地元、私はほとんどの研究者の方知っておりますけれども、残念ながらお手盛りの部分が大変多うございます。ですから、地元でも、まずはアユに関わる漁師さんたちがこのダムについて、本当にアユが生息できるのか心配しております。
質問二ですけれども、穴空きダムだから通じて、そしてアユの影響ないんだということ、これもやはり二〇二二年十一月八日、斉藤国交大臣が答弁なさったんですけど、地元のアユ漁師さん、一昨日も電話しました。本当に困っているということで、球磨川のアユはもう日本でも最大の清流のアユと言われているんですが、アユの一番いい漁場がダム建設予定地なんだと。
このことについて、国交大臣、技術的な問題かもしれませんが、御意見をお願いいたします。
○国務大臣(中野洋昌君)
お答え申し上げます。
川辺川の流水型ダムの整備に当たりましては、計画上必要となる治水機能の確保と事業実施に伴う環境への影響の最小化の両立を目指しております。
具体的には、川辺川ダムが環境に与える影響の低減を図るために、通常時は水をためない流水型ダム、先ほど御指摘ありました、流水型ダムを採用するとともに、環境大臣や熊本県知事、学識者などから御意見をいただくなど、環境影響評価法に基づくものと同等の環境影響評価を行い、そして、水質や動植物、生態系、景観などに与える影響やその環境保全措置等について取りまとめておりまして、ダムの完成後もアユの餌場や産卵場となる平瀬はダム建設前と比べほぼ同程度残ると予測をしております。
また、ダム本体の設計に当たりましては、可能な限り現状の水面幅や河床の状態を再現できるように、高さの違う河床部の放流設備を三門設置をし、さらに、放流設備の下流側には通常設ける副ダムを設置をしないこととするなど、アユなどの魚類を始め多くの生き物の移動経路が確保できる構造としております。
また、更なる環境影響の最小化、環境創出に向けまして、環境保全措置等の実施に向けた計画の具体化や、現地調査や現地での試行、実証、数値解析や実験による技術的検討への助言等をいただくことを目的としました有識者から成る川辺川の流水型ダムに係る環境保全対策アドバイザリー会議を設置をいたしまして、第一回を六月の十三日に開催をすることとしているところでございます。
今後とも、このような場も活用しながら、環境影響の更なる低減や、並びに環境再生、創出に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
○嘉田由紀子君
五千ページの報告書出しているんですよね。私たち、仲間と一緒に見てきましたけど、アユのことはアユに聞けということで、この五千ページ、どんなに御託を並べようが地元の漁師は納得しておりません。
同じようなところで、質問三です。
これは技術的な問題ですけれども、地形、地質が大変不安だということがございます。こちらの方はどうでしょうか。できるだけコンパクトな答弁お願いいたします。
○政府参考人(藤巻浩之君)
お答えをいたします。
川辺川の建設予定地につきましては、これまで地形、地質に関する調査を行いまして、非常に堅固な地質でございまして、ダム建設に必要な地盤強度やダム基礎地盤としての安定性を有していることを確認しておるところでございます。
また、あわせまして、ダム本体を施工する際には、ダムの基礎地盤として適さない堆積物や岩盤の表面の風化した部分、これは掘削によりましてあらかじめ除去いたしまして、堅固な岩盤上に本体コンクリートを打設することといたしております。
また、ダムの上流側の貯水池内の斜面でございますけれども、これにつきましては、洪水調節によって貯水位が上昇することによりまして、斜面内に水が浸透いたします。その後、貯水位が低下した際に斜面内に浸透した水の影響により地すべりが発生する可能性がございますので、ダム上流の斜面につきまして、文献調査でございますとか、地形図、航空写真による判読ですとか、現地に実際足を踏み入れて踏査を行ったり、地すべり等の対策が精査が必要だと判断した箇所につきましてはボーリングなど詳細な地質調査を現在行っております。安全性が確保できないと考えられる箇所がありましたら、必要な地すべり対策を実施し、安全性を確保してまいります。
さらに、ダムを完成する前には一回水を試験的にためます。斜面の挙動について綿密な計測、監視を行いまして安全性の最終確認を行うこととしておりますので、引き続き、そういったことを御地元の方々にも御理解いただけるよう、これら調査や対策の進捗を踏まえ丁寧な説明に努めてまいりたいと思います。
以上です。
○嘉田由紀子君
地元で本当に五十年見てきた方たちは納得をしておりません。
今日一番のテーマは、最初も国交大臣言っていました、命を守る、これが大きな課題だと、目的だと。だから、BバイCが一・〇以下でもということなんですが、これも国交大臣が、二〇二二年十一月四日で、川辺川ダムができたら百二十人から百十九人の命を救って一人になるということで、この命を守るのが大事な目的だと答弁してくださったんですけど、ここ、できるだけ手短にお願いできますか。国交大臣、御答弁お願いします。
○政府参考人(藤巻浩之君)
お答えをいたします。
今御指摘のございました水害による想定死者数を推計するに当たりましては、水害の被害指標分析の手引というものがございます。この手引に基づきまして、浸水が想定される区域内の人口を基にいたしまして、年齢、これは六十五歳以上か六十五歳未満かといった年齢でございますとか、建物が一階建て、二階建て、あるいはそれ以上なのかといった階数、そういったものを考慮いたしました危険度ごとに人数を算出した上で、それらに避難率などを乗じまして想定死者数を推計することといたしております。
川辺川の流水型ダムの効果につきましても、同じような考え方に基づきまして、今のところ、ダムが完成する時点、これは令和十七年度を想定しておりますけれども、その時点での川の河道の状態におきまして河川整備計画の目標とする洪水が発生したと仮定して、川辺川ダムがある場合、そしてない場合のそれぞれの浸水区域や浸水の深さ、これをシミュレーションで算出した上で、先ほど申し上げた手法を用いて想定死者数を推計したところでございます。
このように、広く一般的に用いられている手引に沿った手法により推計しているところでございます。 以上です。
○嘉田由紀子君
その広く一般的に用いられているフォーミュラというのは、皆さん知ってほしいんです。二〇〇四年のハリケーン・カトリーナが襲ったニューオーリンズの例なんです。私はこの元のフォーミュラを見てびっくりしました。ニューオーリンズはゼロメートル地帯です。ですから、ハザードマップに対して、一階家なのか二階家なのか、そしてどれだけの避難率かということで、この百二十人から百十九人救えるということを国交大臣が言ったわけですが。
ちょっと、もうあと数分しかないので、資料三、四。まず、三は、この球磨川は大変な山です。どちらかというと、縫いぐるみのくまモンはいても熊はいません。昭和三十年代に広葉樹をほぼ絶滅させてしまって、熊が絶滅しました。それが資料三です。資料四。溺死者を調べるときには、こういう総合的な調査が必要です。
資料五ですが、幸い、熊本県が、二〇二〇年七月四日、五十人の溺死者の個人情報を出してくださったので、私は地元の皆さんと一緒に一人ずつが何時何分どこで亡くなったのかということを調べて、それが資料六です。
資料七。八代市坂本、最下流です。それから人吉市。ダムができた場合のダムの水位低減効果というのは大体、坂本ですと、それこそ一時、二時。それから、人吉ですと十時。そのはるか前に亡くなっているんです。
資料八を御覧ください。人吉市で二十名亡くなっているんですが、川辺川ダムを造ったら水位が低下するという図がこの元図です。それに対して、それぞれの人が亡くなった時間を入れさせていただきました。十八人はもう七時から八時。ですから、ダムができても命は救えない。
資料九が、七月四日の午後。これ見ると、あっ、そうか、ダムで水位下がったら命が救えるのかと思うかもしれませんが、資料十、御覧ください。このあふれたのは山から、支流からなんです。
ということで、あと二分しかないのでまとめさせていただきますが、個別の地域ごとに溺死者を調べてほしいと熊本の蒲島知事にも申入れをいたしました。それから、国交省にも申入れをいたしました。
それで、この川辺川ダムというのは、あいにく梅雨末期の東シナ海から来る豪雨、それから台風は南からです。この川辺川ダムは最上流にありますから、どちらにしろ、いろんな豪雨のパターンがありますが、ダムが効果発揮しにくい地勢的なところにあるんです。それを、あえて百二十人のうち百十九人救えると、ニューオーリンズのデータで国交大臣が公式に説明する、これ、国民をだましていませんか。
私は、この川辺川ダムは三方悪しだと思っております。命を救う効果が極めて少ない、そして生態系破壊、それから最後には税金の無駄遣い。ここのところを、国交大臣、まとめて答弁いただけますか。
○国務大臣(中野洋昌君)
球磨川水系におきまして、令和三年三月に公表した球磨川水系の流域治水のプロジェクトというのがございます。そこでは、保水力の維持向上のため森林の整備と保全も行う、そして、中上流部では、川辺川ダムや市房ダム、遊水地、田んぼダムなど、できるだけ貯留をする対策も実施をすると。中下流部では、河道掘削等の河川の整備、宅地かさ上げや家屋移転などの町づくりなどを行うとともに、関係機関と連携をして必要な避難体制を確保するというところでございます。
そういう意味では、国土交通省としましては、球磨川水域のこの流域治水のプロジェクト、しっかり推進をしていくということでございますので、様々な関係者の方があらゆる対策を総動員をしてしっかり流域治水ということで取組が推進をされるように、責任を持って取り組んでまいりたいと考えております。
○委員長(小西洋之君)
時間来ておりますが。簡潔に一言だけ。
○嘉田由紀子君
はい。
流域治水をゼロから積み上げてきた研究者、そして、滋賀県で全国で初めて推進条例作りました。その当事者として、今国が言っている流域治水は残念ながらまがいものだということを最後に言わせていただきます。
以上です。