2025年6月3日【国土交通委員会】確定稿

○嘉田由紀子君

ありがとうございます。日本維新の会、嘉田由紀子でございます。
今、日本が直面している三大困難、人口減少、インフラの老朽化、そして財政難。こういうときに国土交通政策はどうあるべきかということで、今日は、是非マクロな視点から、国土交通大臣、それから財務政務官もお越しでございますので、マクロな視点から、今、トラックの問題もありますけど、大きく日本が曲がり角にあるわけです。その角をうまく曲がれるかどうか、一つのダムの例を中心に今日質問させていただきます。
長崎県に石木ダムという県営のダムがございます。ここは、利水、治水、多目的ダムなんですけれども、国の事業認可を出しておりますので、国も責任のあるダムです。
このダムのこれまでの経過を、質問ではできるだけ詳しくとお伺いしているんですが、時間がありませんので短めに御答弁いただけますか。

○政府参考人(藤巻浩之君)

では、お答えを申し上げます。
委員御指摘の石木ダム建設事業でございますが、御指摘のありましたとおり、川棚町の洪水被害の軽減、流水の正常な機能の維持、そして佐世保市への水道用水の供給を目的としまして、昭和四十八年度に実施計画調査に着手された長崎県の事業でございます。
ダムの計画といたしましては、国が昭和五十一年に石木ダムの全体計画を認可しておりまして、その後、この全体計画は五回の変更が行われているところでございます。また、全体計画における総事業費につきましては、昭和五十一年当時は約百六十億円でございましたが、その後、平成十六年三月、平成十九年六月の変更を経まして、二百八十五億円に見直されているところでございます。
この間、事業の目的は変更されておりませんが、事業費のほか、工期、ダムの構造や水道供給量が変更されているところでございます。
以上でございます。

○嘉田由紀子君

昭和四十七年、中野国交大臣お生まれになるより先に計画されております。それくらい長い、五十年以上、六十年近くの計画だということをまず頭に入れていただいて、そして、この事業認可を国が出している、それも五回も六回も変わっているということを頭に入れていただきたいと思います。
そして、ここの財政ですけれども、本日はそれこそ平成生まれの三十五歳の財務政務官にお越しいただいておりますが、財政法四条では、国の歳出は公債あるいは借入金以外の歳入を財源としなければいけないとありまして、赤字国債は禁止されておりました。これが、あるときからインフラ整備は建設国債オーケーということになったんですけど、将来世代に建設国債は負債を先回しします。六十年ですね、今おぎゃあと生まれた子供さんが六十歳になるまで借金を背負ってもらうわけです。
という中で、今、日本国で建設国債の未払残高は何兆円でしょうか。そして、いつからこの建設国債が発行され、国土強靱化でどれくらいの国債を発行する見通しなのか。将来世代にできる限りツケ回しをしないと、この辺りを含めて、財務政務官、お願いできますか。

○大臣政務官(土田慎君)

御質問賜りまして、ありがとうございます。
先生がおっしゃっていただいた問題意識は、我々も完全に共有しているところでございます。
その上で、建設国債は昭和四十一年度から発行されておりまして、令和七年三月末時点の残高は三百三・九兆円となっております。その上で、一般論として申し上げます。三百三・九兆円です、はい。一般論として申し上げますれば、委員御指摘のとおり、建設国債にせよ特例国債にせよ、公債に依存した財政運営は、財政の硬直化による政策の自由度の減少、そして国債や通貨の信認の低下など、リスクの増大を招き得るものと考えております。
また、国土強靱化につきましては、五か年加速化対策に続く計画として、六月を目途に策定する第一次国土強靱化実施中期計画の素案において、推進が特に必要となる施策の事業規模を今後五年間でおおむね二十兆円程度、二十兆円強程度としております。各年度における取扱いにおいては予算編成過程で検討することとされており、財源についても時々の状況を踏まえて適切に措置していくことが重要であるというふうに考えております。

○嘉田由紀子君

年間七十万人しか生まれない、その子供たちに、六十年後といったら人口半減、その子供たちにこれ以上借金を私たちはツケ回してはいけないと、これは私たちの世代の責任だと思います。御答弁いただきました。
そういう中で、今、石木ダムの建設費、最新幾らとなっているか、国の補助金、また長崎県の負担。そして、これは佐世保市の水道料金に利水はオンされるわけでございます。佐世保市水道についても、将来どれくらいの水道料金になるのか、水道使用量のトン単価で示していただけますか。

○政府参考人(藤巻浩之君)

ありがとうございます。
私の方からは治水分についてお答えをさせていただければと存じます。
最新の建設費の総額というお尋ねでございましたが、昨年八月に開催されました長崎県の公共事業評価監視委員会におきまして、石木ダムの最新の総事業費は約四百二十億円に変更されるとされております。この四百二十億円のうち、治水分の国土交通省からの補助金並びに長崎県の支出はいずれも約百三十六・五億円となっております。
また、これまでに国が認可等をいたしました全体計画の総事業費に対する治水分の同じく国土交通省からの補助金並びに長崎県の支出は、いずれも昭和五十一年当初は約五十一・七億円、平成十六年には約九十五・九億円、平成十九年には約九十二・六億円となっております。
令和六年に実施されました、先ほど申し上げました事業再評価に基づきまして、今後、石木ダムの全体計画における総事業費が四百二十億円に見直されるものだと考えております。
以上でございます。

○政府参考人(松原誠君)

お答えいたします。
水道の関係につきまして、ただいま答弁ございましたように、石木ダムの最新の総事業費、約四百二十億円に変更されるとされておりますが、この四百二十億円ベースで利水負担分は約百四十七億円であり、内訳としては、厚生労働省、国土交通省の補助金が約六十五億円、佐世保市の負担が約八十二億円となっております。
総事業費に対する利水負担分の変遷につきましては、昭和五十一年当初約五十六・六億円、平成十六年に約百五・一億円、平成十九年に約九十九・八億円に変更され、最新で百四十七億円となるものと認識をしております。
なお、佐世保市の水道料金として水道利用者が負担する額につきましては、一般会計からの繰り出し、起債などの状況によって変わるとともに、水道事業の経営に要する他の経費も考慮した上で佐世保市において判断されるものであるため、国土交通省としてはお答えすることは困難であると考えております。

○嘉田由紀子君

ありがとうございます。
佐世保市において判断と言いながら、佐世保市も市民にこのダムの賦課金がどれだけ水道料オンされるのかとはっきりと示していない、そしてダムが必要必要とだけ言っている、それは現場からの声で表明させていただきます。
ちょっと順番を変えまして、石木ダムの利水の必要性について続いてお願いできますか。質問六です。

○政府参考人(松原誠君)

お答えいたします。
佐世保市では、過去四十七年間に計二十二回の渇水への対応を実施しており、平成六年には二百六十四日間にも及ぶ時間給水制限の渇水が起きているほか、平成十七年、平成十九年にも減圧による給水制限が発生しています。このため、慢性的な水不足を抜本的に改善し、安定的に水を供給するため、石木ダム建設事業に参画しているものと承知しています。
また、令和六年度に佐世保市は、国土交通省所管公共事業の事業評価実施要領等に基づき水需要予測の見直しを含む事業再評価を行っており、事業継続が妥当とされているところです。
国土交通省としては、この再評価結果を踏まえ、早期に安定的な水源確保を図られるよう、引き続き財政的支援を行っていくこととしております。

○嘉田由紀子君

公式にそのように表明しているんですが、実は、今日、ちょっとグラフを添付しなかったんですが、一日七万トンから八万トン、水需要、そして、石木ダムができたらプラス四万トンから五万トンといって、水需要グラフがぐっと上がるんです、意図的に。信じられないグラフが公になって、それを国土交通省、厚労省の時代に認めているということも、これ世間の常識に合っていないということだけ指摘させていただきます。
それで、次ですけれども、地元の皆さんが、石木ダムの建設予定地、行政代執行をされております、住宅あるいは農地ですね。私有財産を行政代執行する、このダムの大義名分は何でしょうか。これ国土交通省さんにお願いします。

○政府参考人(藤巻浩之君)

お答えをいたします。
委員御指摘の土地収用法に基づく行政代執行でございますが、これは、都道府県知事が各起業者の請求によりまして、行政代執行法の定めに、手続に従いまして実施するものでございます。公共事業を実施するために必要な土地の取得が困難で事業自体の実施が困難となれば、社会全体にとって大きな損失になる場合もありますので、土地収用制度におきまして、適正な手続と正当な補償の下、土地等の引渡しを求めることが認められておると承知しているところでございます。
以上でございます。

○嘉田由紀子君

大きな損失があると、ダムができなければ大きな損失があるということで、それこそ何百年住んできた人たちは、実は六十七世帯計画予定地に住んでいらしたんですけど、五十四世帯は退去しましたが、今、十三世帯五十人はこの行政代執行対象の土地に住み続け、そして座込みをずっとしております。
もう時間がないのでこちらから、座込みの日数を教えてくださいと質問しているんですが、二千日です。二千日座込み、月曜から金曜まで。
私も何度もその現場に行っておりますけれども、本当に何でそこまでダムに反対しているのか、理由は分かりますか。打開策ありますか。国土交通省さん、お答えください。

○政府参考人(藤巻浩之君)

お答えをいたします。
委員御指摘のとおり、十三世帯五十名の方が収用地内で現在も生活されていることは承知しております。
先ほど日数もおっしゃっておられましたが、座込みをされてダム事業に反対されている理由として伺っているところでは、例えば、十三世帯の皆様に事業の必要性について理解をいただけておりませんで、ふるさとに住み続けたいという強い思いがある、そういったこともあるのではないかと長崎県の方から伺っているところでございます。
事業主体の長崎県におきましては、引き続き、地元住民の皆様との関係を構築することが大切であるとの考え方の下、一昨日、一日にも地元説明会を行ったと伺っておりますが、説明会や戸別訪問、生活相談も数多く開催しながら、今後とも御理解と御協力を得られるよう努力していくと伺っているところでございます。
以上でございます。

○嘉田由紀子君

長崎県の説明は半分しか言っていません。利水、治水の必要性が分からないということと併せて、実は昭和四十七年に当時の久保知事が地元の皆さんと覚書を交わしているんです。その覚書には地元の了解を得なかったら工事始めないと言っているんですけど、この覚書を県が言わば無視したということで、信頼関係が完全に崩れて六十年です。
そして、今日の一番のポイントですけれども、五十年前の石木ダム計画ですが、近年の温暖化対応を入れることを国から是非指導してください。ここは実は、一昨日の説明会でも、住民の方が県に問いただすと、五十年前の雨量、しかも佐世保市の雨量を川棚川に持ってくる。川棚川の地元の雨量で計算していないんですよ。
その上に、実は今、温暖化の問題で河川整備基本方針が令和五年に変わっております。国土交通省水管理・国土保全局、まさに藤巻局長さんのところですね。それで、基本方針が変わって、温暖化で水量が増えるから、それを埋め込んで計画を作りなさいと言っているんですけれども、ある意味では、私、この河川計画専門で、研究者としても、また知事としてもやってまいりました。ある意味で憲法が変わっているんです。
ところが、長崎県はこれを完全に無視して、そして五十年前の古いデータを使っているんですけれども、ここは、藤巻局長さん、どうでしょうか。長崎県に、温暖化対策も含めて石木ダム計画について国との相談を行うと六月一日も言っていたので、ここは技術的指導、是非お願いします。

○政府参考人(藤巻浩之君)

お答えを申し上げます。
委員御指摘のとおり、気候変動による降雨量が増加、これを考慮した治水計画の見直しにつきましては、国が管理する全国の一級水系では順次進めているところでございます。
あわせまして、都道府県が管理する二級水系におきましても、ほかの水系との河川整備のバランスでございますとか災害の発生状況に応じて適切に判断されるようお願いしているところでございまして、委員御指摘のありました、長崎県から御相談があれば、私どもといたしましても技術的な助言等をしっかり行ってまいりたいと考えております。
以上です。

○嘉田由紀子君

今日のこの答弁は、長崎だけではなくて全国の方が聞いてくれております。きちんと技術的指導をすると言っていただいた。局長さん、いいですね、約束ですね、長崎県から求めがあれば。
長崎県の方は住民説明会で指導を伺いたいと言っているわけですから、ここで指導してほしいと、指導するということが成り立ったと判断してよろしいでしょうか。局長さん、どうでしょう。

○政府参考人(藤巻浩之君)

お答えいたします。
多少繰り返しになることを御容赦いただければと思います。
委員御指摘のとおり、今回、事業主体であります、あるいは川棚川を管理している主体である長崎県から私どもの方に御相談があれば、私どもとしては技術的な助言などをしっかりと行ってまいりたいということを重ねて申し上げさせていただきます。

○嘉田由紀子君

資料の四の一に、元々国土交通省の専門官でした、防災課長だった宮本博司さんが、長崎県の洪水フローをずうっとフォローして、資料四の一から赤いところがあります、流量平均。四の二、ここも赤いページがあります。四の三、四の四、これを一つずつ、それこそ去年から今年にかけて専門的にチェックをしていただきました。この赤いところが全くでたらめだということです。僕が国土交通の河川の担当者だったら、こんなデータ許可出しませんということで、資料四の八にまとめがあります。フローチャートの一か所でも適正でなければ、治水計画は適正ではない、治水計画を見直さなければ住民の理解は得られないということを宮本さんが結論で言っていただいております。
そして、地元の住民の方が一番心配しているのは、資料の、ちょっと戻りますけれども、資料の二と三です。実は、この石木ダムというのは川棚川の下流に入る石木川の上流なんです。ですから、この図を見ていただきますと、本川のピークと、ダムがなければ石木川の水はさっと大村湾に流れるんですけど、ダムで水を止めてしまうのでピークが重なるおそれがあるということで、余計に危険になるということなんです。
ここのところを、最後、国土交通大臣、危険性を増すダムを五百億近く掛けて造ると、それを長崎県に許可をしたままでいいんでしょうか。最後に大臣の御決意をお願いいたします。是非ここは指導していただきたいと思います。

○国務大臣(中野洋昌君)

お答え申し上げます。
御指摘の石木ダムにつきましては、事業主体の長崎県及び利水者である佐世保市におきまして、過去の洪水や渇水の発生状況や代替案の比較検討も含めまして、治水、利水両面の事業再評価がそれぞれ行われ、事業の継続が決定をされているところであります。
長崎県として、石木ダムは治水、利水両面から必要であることから、事業を円滑に進めるため、地元住民の皆様方との関係を構築をすることが何よりも大切であるとの考え方の下、説明会や戸別訪問、生活相談も数多く開催をしており、今後とも御理解と御協力を得られるよう努力をしていくというふうに伺っているところでございます。
国土交通省としましては、引き続き、技術面、財政面から事業主体である長崎県に対し必要な支援を行ってまいりたいというふうに思います。

○嘉田由紀子君

話合いの場所はできるということで、期待をしたいと思います。
行政代執行というのはまさに生木を大地から剥がすような、私も知事時代、二回ほどやりました。とってもしんどいです。今生きて暮らしている人たちの、五十人の暮らしを、長崎県の大石知事が生木を剥がすように工事に掛かれるのか。これは人道問題です。これは是非、もう答弁はいただきません、国民の皆さんに人道問題だということで強く強く訴えさせていただきたいと思います。
以上です。ありがとうございました。

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