2025年5月29日【法務委員会】確定稿

○嘉田由紀子君

ありがとうございます。日本維新の会、嘉田由紀子でございます。
まず最初に、譲渡担保契約と所有権留保契約に関する法案についてお伺いさせていただきます。
既に少し、渡辺委員、また谷合委員とダブっているところがありますけれども、まずは、渡辺委員の中で質問上がりましたけど、これまで慣習法的に判例実務で認められてきた、もう既に百年以上という答弁ございましたけれども、それをあえて今立法化する立法事実をまず教えていただきたいと思います。
そして、それによって、社会的、経済的効果、どのようなところを狙っておられるのか。特に経営破綻に直面した中小企業の債務処理の在り方や、またそこで働く労働者への保証的支払など、どのような変化が想定されるでしょうか。特にこの言葉難しいので、一般の国民の皆さんが理解できるような言葉で総括的な答弁をお願いいたします。法務大臣、お願いできますか。

○国務大臣(鈴木馨祐君)

まず、今回の立法の意味であったりとか、あるいはその立法事実ということでありますけれども、先ほども御答弁も一部したところではありますけれども、これまでの企業の資金調達、ここにおきまして、やはり、これまでは不動産あるいは保証というところで、そうした担保として多く用いられてきたと、そういったことがありました。しかし、近年、不動産を有しない企業、これが増えていたりとか、あるいは保証人の負担軽減、そういったことが必要であろうと、そういった議論もありまして、まさに資金調達手法を多様化する、そういった必要性があったということであります。
また、やはり、これまで譲渡担保あるいは所有権留保について明文のそうした規定がなかった、すなわちそれは判例によって規律をされていたということで、やはり法的な安定性、ここに欠けるところがあったということもあったと思います。また、あるいは判例においては、譲渡担保権を活用した金融実務、そうした要請に十分応えることができていないではないかと、そういった点があったのも事実であります。
そういったことの中で、今回の法案におきましては、譲渡担保及び所有権留保に関する法律関係、この明確化をする、あるいは取引の法的な安定性の確保を図る、こういったことのために、必要に応じてより合理的なルールを導入するということで提案をさせていただいておりまして、不動産担保あるいは個人保証に依存しない企業の資金調達手法、この多様化の促進、こういったことを狙いとしているところであります。
今回の法案におきましては、集合動産譲渡担保権、さらには集合債権譲渡担保権が実行された場合に、設定者において法的倒産手続が開始をされた場合には、担保権者が実行によって回収をしたうちの額のうちの一部、一定額を破産財団に組み入れなければいけないという、そういった組入れ制度、こういったことを創設をしたところであります。
まさに先ほど御質問の中でも、経営破綻に直面をした中小企業の債権処理の在り方あるいはそこの労働債権、この保証支払、どういった変化が起きるのかということでありますけれども、そういったことで申し上げれば、この組入れ制度ということにおいて組み入れられた金銭、これが倒産手続の中で労働債権者を含む一般債権者に対する配当の原資になり得るということもありますので、まさにそういった意味で、一般債権の弁済、こういったことに資するのではないかと私どもとしては考えているところであります。

○嘉田由紀子君

丁寧にありがとうございました。
社会全体がよりサービス業なりあるいは債権というところに価値を置いている時代ですので、今の時代に必要な法制度と思います。
以上でこの譲渡担保契約についての質問を終わらせていただきますけれども、二点目は、これまでの続きですけれども、特に離婚後の子の養育計画作りが大変重要だということを五月十三日、また二十五日にも質問させていただきました。
そこで、弁護士の方に是非この計画作りにサポートしていただきたいと。都会では弁護士さんが数が多いということ、これも先日申し上げましたけれども、多職種連携で子供さんあるいは離婚の父母をサポートするのに、どちらかというと、対立的に競合させるのではなくファシリテーション、調停をするということをより工夫していただいたらどうかと思うんですけれども、調停型のADRを増やす方法、あるいはその必要性など、御答弁いただけますか。

○政府参考人(竹内努君)

お答えいたします。
父母の離婚に直面する子の利益を確保するためには、父母が離婚後も適切な形で子の養育に関わり、その責任を果たしていただくことが重要であると考えておりまして、そのためには父母間の葛藤を和らげる働きかけをしていくことが重要でございます。委員御指摘の調停型のADRを活用した共同養育計画の作成も支援の在り方の一つであると考えます。
このような観点から、法務省では、既に令和四年度に実施をいたしました養育費の不払い解消等に向けた自治体における法的支援及び紛争解決支援の在り方に関する調査研究等におきまして、ADRの利活用に関する検討を行ったところでございます。その上で、本年度の調査研究では、共同養育計画の作成促進のための支援のネットワークについて検討する予定としておりまして、ADR機関等のネットワーク参加についても検討を行うことが考えられます。
いずれにしましても、委員の御指摘も踏まえながら、父母間の葛藤を和らげるための支援の在り方について引き続き検討を行うとともに、好事例については関係府省庁等と連携しながら横展開に努めてまいりたいと考えております。

○嘉田由紀子君

ありがとうございます。
キーワードは多職種連携のネットワーク、横展開ですね。是非これ、現場で広がるようにお願いしたいと思います。
そして、そのときの考え方というか哲学ですが、実は、私が先日、五月二十日に出版した書籍の中でも、裁判所が親子交流を阻んでいる、壁となっているという声が大変多く寄せられております。
そういう中で、令和六年の改正法では試行的親子交流制度が導入され、親子交流に関する家事調停では、当事者入替え制ではなく、双方向で対話型に行うべきという考え方もありますけれども、これも書籍の中で扱っているんですけど、どうしても父母対立しているから、それぞれに話を聞いて調整するというのがこれまでの調停なり裁判のやり方だったんですが、アメリカの場合には、もうファシリテーターが真ん中にいて、父母、当事者の話をその場で聞く。そうすると、相手はああ言っていますよ、私はそんなこと言っていなかったといって、かなりリアルに言わば対話が成り立つということも伺っておりますので、この対話型という考え方、基本哲学についてどう思われますか。お願いします。

○政府参考人(竹内努君)

お答えいたします。
委員御指摘の点、家事調停事件の運用の在り方や個々の家事調停事件の進行等に関わるものでもございまして、その家庭裁判所の運用についてコメントすることは差し控えをさせていただきますが、その上で申し上げますと、委員御指摘のように、裁判所の手続によっては希望する親子交流が認められなかったという不満の声があることも承知をしておりまして、そういった不満の背景には父母間の葛藤があるのではないかとも推測をされるところでございます。
親子交流に関する取決め等を行う場面では、父母双方に対し葛藤を和らげるような働きかけを行い、対話を実現することが重要であると認識をしております。そのような働きかけのためには、父母の一方ではなく父母双方への適切な支援が必要となりますが、令和六年度の調査研究におきましては、協力自治体の職員から、養育計画の作成支援に関し、父母双方への支援の必要性を感じつつも、実際に窓口に来るのは父母の一方のみであるため、その点に難しさを感じているとの意見もあったところでございます。
本年度の調査研究におきましては、自治体内の関係部局に加えまして、専門職等の多職種を含む連携によるネットワーク型の支援の在り方の検討等を行う予定としておりまして、引き続き、父母双方に対する効果的な支援の在り方について検討を進めるとともに、好事例の横展開に努めてまいりたいと考えております。

○嘉田由紀子君

ありがとうございます。
と申しますのは、三点目ですけれども、今回の調査研究で大変大きな成果は、国際比較のデータを詳しく出していただいたことです。アメリカ、フランス、ドイツ、オーストラリア、韓国、台湾の六か国です。
それぞれの国での共同養育計画作りの内容、かなり詳しく、もうそのままのを出していただいたりしていますので、今後日本で進めていく共同養育計画作りにどう活用できるか。特に、養育計画の義務化、あるいは離婚成立の要件化、つまり養育計画がなかったら離婚成立させないんだと、もう韓国などはそうなっておりますけれども、ここが二つのポイントと思いますけど、法務省さん、国際比較の中で今後日本はどうしていったらいいと思われますか。

○政府参考人(竹内努君)

お答えいたします。
委員御指摘の調査研究では、御指摘になった六か国を対象といたしまして、専門的知見を有する研究者に依頼し、各国の法制度及び運用に関する調査を行ったところでございます。
同調査によりますれば、委員御提案の離婚時の養育計画の作成義務化につきましては、そもそも協議離婚制度がない国があるなど前提とする離婚制度が国によって様々でございまして、養育計画の作成につきましても、義務としている国、義務としていない国のいずれもがあったところでございます。他方で、養育計画を義務としていない国においても、民間団体等の支援による養育計画の作成が図られているという国もございました。
委員御提案の養育計画の作成義務化につきましては、令和六年民法等改正の検討過程や審議過程でも議論がされたところでございますが、DVや虐待等がある事案では、離婚が困難となることにより、かえって子の利益に反することになるとの懸念もあり、採用されなかったところでございます。
もっとも、父母が離婚後の子の養育の在り方について適切に話し合い、合意をするということは、子の利益の観点から重要であると認識をしており、本年度の調査研究におきましても、養育計画の作成を促進するための支援の在り方の検討を行う予定としております。
引き続き、関係府省庁等とも連携しつつ、検討してまいりたいと考えております。

○嘉田由紀子君

ありがとうございます。
具体的に日弁連さんが、民事法律扶助制度、いわゆる法テラスですね、ここで大変離婚案件が複雑化している中で弁護士さんがたくさんのエネルギーを入れていると。それでも、報酬が少ない。先回、仁比議員が指摘してくださいましたけど、一般の報酬と比べると三割とか五割ということで大変な負担があるわけです。
そういうところで、今日、資料一として出させていただきましたが、この法テラスの制度、有識者による検討組織を速やかに設置して課題を、解決方向を考えていただきたいということで、特に離婚案件と未成年者の扶助拡充ですね、報酬支払など含めて、今後、法務省として前向きに取り組んでいただけるでしょうか。お願いいたします。

○政府参考人(松井信憲君)

お答え申し上げます。
日本弁護士連合会においては、民事法律扶助制度の拡充に向けてとして、改正民法の施行も契機の一つとして、民事法律扶助制度の在り方について、離婚関連事件における扶助の拡充、未成年者への扶助の拡充など様々な要望をされるとともに、有識者による検討組織の設置を希望されているものと承知をしております。
日本弁護士連合会の要望では、離婚関連事件について、弁護士報酬の引上げや、償還猶予、免除の要件緩和などを求めているものとまずは承知しております。このうち、弁護士報酬の引上げについては、弁護士報酬をその業務内容や事件の困難性等が適切かつ公平に反映されたものとする必要がある一方で、立替え償還制の下で、その報酬額の引上げが国民負担の増大や利用者の償還金負担の増大につながることを考慮する必要がありまして、償還等免除の要件緩和の要望と併せて、法テラスの財政的基盤に与える影響や、本来当事者が負担すべき弁護士費用等を国民負担とすることが合理的かなどの観点から慎重かつ十分な検討が必要な問題であると考えております。
また、未成年者への扶助拡充について、要望では、法定代理人の同意の有無にかかわらず、未成年者単独による代理援助の利用を可能とすることを求めているものと承知をしておりますが、この点については、立替え償還制の下、民事法律扶助の利用者は法テラスが立て替えた弁護士費用等を後日償還する義務を負うことになります。このことと、未成年者の法律行為につき原則として法定代理人の同意を要するとする民法五条一項との関係をどのように理解するかなどの観点から検討すべき課題も少なくありません。
今般の日本弁護士連合会の要望は、ただいま説明した二点を含め、多岐にわたるものでございます。また、それぞれに課題が少なくないことから、法務省としては、この要望について、まずはその趣旨や内容につき十分に受け止めて理解をした上で、困難を抱えた方々に対する適切な法的支援の在り方について、引き続き、日本弁護士連合会や法テラスとの間で必要な検討を行ってまいりたいと考えております。

○委員長(若松謙維君)

時間過ぎておりますので、手短にお願いします。

○嘉田由紀子君

はい。
できない理由は幾らでも言えるんです。現場が求めているんですから、できるかできないかではなくて、やるかやらないかです。
最後に、ちょっと申し訳ありませんが、保護司制度が世界標準になるということで、資料二として……

○委員長(若松謙維君)

時間過ぎておりますので、追加質問はおやめください。

○嘉田由紀子君

はい。
保護司制度の世界標準、一言で結構ですけど、鈴木大臣の一言、お願いできますか。(発言する者あり)

○委員長(若松謙維君)

じゃ、鈴木大臣、簡潔にお願いいたします。 ちょっと質問通告されて、今、嘉田委員、質問されましたか。

○嘉田由紀子君

質問通告させていただいていますけど、時間過ぎていますので、結構です。

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