○嘉田由紀子君
ありがとうございます。日本維新の会、嘉田由紀子でございます。
私は、子供の貧困、虐待、それとある意味上流にある離婚後の子供の共同親権についてお話、質問させていただきます。
実は、昨日、子どもの貧困虐待議連の皆さんと、滋賀、兵庫、大阪と六か所、子供たちが貧困や虐待に出会い、そして、例えば大阪のグリ下というところで、夜帰るところがないということでかなり犯罪や非行に巻き込まれたり、そういう子供たちを支援しているというようなグループ、お伺いしてきました。本当に皆さん現場でお一人ずつの子供たち支えていただいているんですけれども、その背景にはやはり親の離婚を経験した子供さんが大変多いんです。ですから、そこで、出口で問題解消あるいは対応を取る、上流の問題も大事だと。昨日六か所ほど回ったとき、皆さん、その上流問題ということは理解をしてくださいました。
そして、まさにその離婚後の子供の養育計画ですけれども、ようやく法務省さんが調査研究を委託をしていただいて、最近その報告書がホームページに公開されました。その報告書全て読ませていただいた上での質問をさせていただきますけれども、子供たちの離婚後の不幸あるいは不安を少しでも和らげるためには、共同養育計画は必須でございます。
そして、この共同養育計画作りの問題として、まず、この三月二十四日に私、質問させていただいたんですけれども、参議院の附帯決議では共同養育計画とあったんですが、法務省さんが出したこの報告書のモデルでは共同の字が抜けているんです。単なる養育計画なんですね。この共同を付けるか付けないかは大変大事だということ、三月二十四日にも指摘をさせていただきました。
というのは、もう明治以降、それこそ先ほどの夫婦別姓の問題も一緒ですけれども、家制度の下で子供は片親選ぶ、あるいは親がどっちかに親権を選ぶということがもう百三十年近く染み付いているので、離婚した後、父母両方から守ってもらう、両方から愛してもらう、その周辺には祖父母いるわけですね、親戚もいるわけです、ある意味で社会関係資本の濃密な両親のネットワークを片親で切断をしてしまう。昨日も、本当に町に出て苦しんでいる子供たちは孤立している、行くところがない、話すところもない。そこで現場で皆さんが苦労していただいている。子供食堂もそうです。
そのようなところで、あえて社会関係資本を切ってしまう、そういう法律を単独親権で広めてきたわけですから、ここは共同という言葉、是非とも繰り返し繰り返し使っていただきたいと思いますが、法務大臣、いかがでしょうか。この辺り、まずは見解お願いします。
○国務大臣(鈴木馨祐君)
離婚後も父母等が適切な形で子の養育に関わるということ、これは子の利益にとって望ましいことでありまして、離婚する父母に対し養育計画の作成を促進するための支援、これを行うこと、子の利益を確保する観点から極めて重要な課題の一つと我々としても認識をしているところであります。
今御指摘あったところは、離婚後の子の養育計画に関する調査研究業務ということであろうと思いますけれども、この調査研究におきまして、離婚後の子の養育に関する計画を指す言葉として、共同は付かないという御指摘でしたけれども、この養育計画という語が用いられているということでありますが、これは、海外においてペアレンティング・プランと呼ばれていることが、ある意味、訳されるところで養育計画となっているという、そういったことからこの調査研究業務においてはその語を用いたということで、別に何か意図があって共同養育計画という言葉を使わなかったということではないと私どもとしては承知をしているところであります。
この参議院の法務委員会における令和六年民法等一部改正法案に対する附帯決議におきまして、共同養育計画、この言葉が使われているということも私どもとしては承知をしておりますので、そういったことも踏まえまして、引き続き、御指摘のこの用語をどうするのか、この点も含めて、この計画の作成、これを促進するための支援の在り方、これは検討を我々としてもしてまいりたいと考えております。
○嘉田由紀子君
はっきりと三月二十四日には、共同という言葉を使いますと、附帯決議が共同養育計画になっているからと民事局長答弁いただいたんですけど、今の大臣の答弁少し後退しているようでございますけれども、これは要望です。
本当に離婚後、父母両方が共に関わるんだという文化が、価値観が育っていないんです。それは縁切り文化でずっとやってきたからで、ここは是非とも共同ということを広めるようにお願いいたします。
二点目ですけれども、今回、モデル自治体での調査をしていただいておりますけれども、大阪府の八尾市と東京都の豊島区で、離婚前後の父親と母親に、法務省が提示した養育計画のモデル、これ共同はないんですけど、そのモデルを提示し、その受け止めと効果についてアンケートを行っておりますが、その結果の概要を示していただけますか。特に、どの程度受け入れられたと判断されるか、そしてこれを活用するという意欲が、その離婚前後の父母両方のアンケートを取っていらっしゃいますから、その具体的な結果について、数値も含めて教えていただけますか。
○政府参考人(竹内努君)
お答えいたします。
委員御指摘の調査研究におきましては、協力自治体である大阪府八尾市及び東京都豊島区のほか、協力民間団体におきまして、養育計画のモデル及び作成の手引を用いた支援を試行しまして、離婚当事者及び自治体職員等にアンケートを実施しております。
アンケートの結果につきまして、離婚当事者からは、モデル養育計画等が役に立つかどうかについて八割以上の肯定的な回答が得られ、自治体職員、支援者からは、モデル養育計画等の分かりやすさについて八割以上の肯定的な回答が得られたところでございます。
このことから、モデル養育計画等の有用性について一定の評価を得られたものと受け止めており、自治体等による適切な支援が養育計画の作成の促進にもつながるものと期待をしております。
他方で、離婚当事者の三割強が、自身で養育計画を立ててみたものの、相手と話合いをしてみたいとは思わなかったと回答しているほか、自治体職員等からは、モデル養育計画等の情報量の多さを指摘する意見や、DVが原因で離婚を検討している方については話し合うことが難しいとの意見もございました。そのため、当事者の多様な状況に配慮することの必要性や当事者の負担軽減も図る視点も示唆されたところでございます。
法務省といたしましては、こうしたアンケート結果も踏まえて、引き続き関係機関等とも連携し、養育計画の作成を促進する支援の在り方について検討してまいりたいと考えております。
○嘉田由紀子君
ありがとうございます。
八割方は前向きに捉えてくださいましたけど、相手と話し合いたくないという方がたしか三五%おられましたね。今、答弁のとおりです。
それで、実は、ここは本当に根深い問題があると思います。養育費を受け取っていない一人親の方のうち、かなり、四割程度が話合いをしたくないんだ、顔も見たくないんだという状態になってしまっている。そこまで関係を悪化させてしまう、それが問題ではないかと思っております。
先ほど打越さんが、女性が九五%、結婚後、女性は男性の姓になります。そうすると、そもそも嫁というのは家の女ですから、家の女になったと、僕の女になった、支配できるんだと、こういう意識はまだ確かに残っております、若い人たちの間にも。ここのところはまさに男女の人権問題、そしてこの養育計画については子供の人権問題が大変根深いということを指摘させていただきたいと思います。
そこで、質問一の三ですが、モデル自治体の行政担当者の方から、今回の養育計画の冊子がA4サイズで大き過ぎるということで、特に親子交流とか頻繁に参照する必要がある項目ならば、自治体として、子育て場面で今まで大変有効に使われてきた母子手帳サイズということが具体的に提案されております。私も、母子手帳、これ実は知事の時代から、結構海外からも人気があるんです。これ、日本の母子政策あるいは保健政策のクリーンヒットだと思いますので、持ち歩きしやすい、ハンドバッグに入るということで、例えばこういう、ちょっとテクニカルな話ですけれども、サイズのことなどについていかがでしょうか。
○政府参考人(竹内努君)
お答えいたします。
委員御指摘の調査研究におきましては、協力自治体との意見交換会の際に、自治体職員から、親が母子手帳に子供について詳細に記入している例を目にすることや、小さなかばんや手ぶらで来庁する方が多いことから、モデル養育計画等を手帳型にすることや母子手帳の中に取り込んでしまうなどの工夫をしてはどうかという意見があったところでございます。
法務省といたしましては、養育計画作成を促進するための支援の在り方を検討する上で、モデル養育計画等の内容だけでなく、サイズや形状も非常に重要な観点であると受け止めておりまして、手帳型とすることも含め、より良いモデル養育計画等の提供の在り方について引き続き検討してまいりたいと考えております。
○嘉田由紀子君
ありがとうございます。これは、その気になったらそう難しいことではございませんので、是非ともお願いをいたします。
それから、質問四ですけれども、この調査報告の中で、自治体関係者あるいは支援機関の中から、共同養育計画作成するための自治体の中での関係部局間での横展開、あるいは弁護士や専門職と連携するネットワーク型の支援の要望が大変強くありました。
まさに百二十六年ぶりの大変革です。このときに私は自分自身を思い起こすんですけれども、二〇〇〇年に介護保険制度ができたときに、あそこでケアマネジャーという新しい制度、つまりサービスへのニーズとそれから供給をお一人ずつ丁寧にケアするケアマネジャー、まさに今回、この共同養育計画作り、あるいは共同親権の普及には、子供ケアマネジャーのような新しい役割が必要ではないかと思っております。それにプラスして、例えば介護保険のときには医師や看護師、薬剤師、そして福祉施設の経営者など、私、多職種連携、多職種連携といって、滋賀県では結構この高齢者支援、実績上げてきたんですけれども、子育てでもこの多職種連携という言葉、これ大変、概念とか言葉、大事なんですね。みんなの中でそれが合い言葉になると、いろんな方が関わって支援するときに、ああ、私も関わっていいんだなということになって積極的な参加も可能となりますので、是非ともこの多職種連携の仕組みづくりについて法務省さんの見解をお願いします。
○政府参考人(竹内努君)
お答えいたします。
委員御指摘のとおり、令和六年度の調査研究の報告書では、養育計画の作成の支援の在り方につきまして、各地域で弁護士等の法律家、心理職、民間の支援団体、自治体の各窓口とでネットワークを形成し、様々な角度からの支援を行っていくのが重要であるとの指摘がされたところでございます。また、そのような指摘も踏まえ、今後の検討課題として、各自治体内の部門間連携の在り方を更に検討すること、それを前提に、更に広い場面における伴走型の支援の充実に向けた工夫を検討すること、弁護士等法律家、心理職、DVや児童虐待のケースに携わる専門家、自治体の様々な窓口、同居親側、別居親側双方の支援団体らが加わった地域連携ネットワークを構築し、当該ネットワークを通じて当事者双方に対する伴走型の支援を行うモデルの構築を検討することといった事項が提示されたところであります。
法務省といたしましても、これらはいずれも重要な課題であると考えておりまして、本年度の調査研究におきましては、地域のネットワークによる伴走型の支援の在り方の検討を中心的なテーマの一つとする予定でございます。委員御指摘なされた高齢者福祉領域のネットワーク等、様々な成功事例も参考にしつつ、引き続き、効果的な支援の在り方の検討をするとともに、好事例については関係府省庁等とも連携しつつ横展開に努めてまいりたいと考えております。
○嘉田由紀子君
時間になってしまいましたので、済みません、質問の半分ぐらいしか行っていないんですけど、この後また続けさせていただきたいと思いますけれども、特にこの後は弁護士さんのADRによる支援ということを展開させていただきたいと思っております。仁比委員が次、採用というか言及してくださるようですので、そこも含めてまた次回続けさせていただきます。
以上、終わります。ありがとうございました。