2025年5月22日【法務委員会】確定稿

○嘉田由紀子君

ありがとうございます。日本維新の会、嘉田由紀子でございます。
まず、前半は、民事裁判情報活用の促進に関する法律案についてお伺いいたします。
私、一九九七年だったでしょうか、神戸連続児童殺傷事件というのがありました。ちょうど我が息子たちも加害者の少年と同じような年代だったので、なぜあの事件が起きてしまったのかということで、あの資料は、年が経て公開できるようになったらしてほしいなと思っておりました。しかし、二〇二〇年に、二二年でしょうか、大変膨大な紙資料だったということで、全部廃棄処分されてしまったと。ああ、これは本当に社会的に大事な記録が失われてしまったと残念に思っております。
年間、民事関係の資料、裁判だけで二十万件、大変膨大なものです。そのような意味で、今回、司法文書のデジタル化を進め、データベース化することは、社会的にも大変重要な措置であると思います。
数点、確認させていただきます。
まず最初に、今回の法律案の提出に至る社会的背景及びその狙い、意図について、法務大臣の総論的な見解、お伺いできますか。

○国務大臣(鈴木馨祐君)

今回のこの法律案でありますけれども、令和四年五月の民事訴訟法等の改正によりまして、裁判手続のデジタル化、これが進展をされている状況の中にありまして、法務大臣の監督する指定法人が訴訟関係者のプライバシー等にも配慮しながら民事裁判情報について幅広いデータベースを整備、提供する仕組みを設けることによりまして、民事裁判情報の活用のための基盤整備、これを図るものであります。
例えば、そのデータベース整備の上で、一次的な利用者、これは先ほど申し上げましたように、リーガルテック企業あるいは出版社、判例データベース事業者、研究機関等を想定しているところでありますけれども、そういった中にあって、具体的に申し上げれば、この制度の下では、民事、行政の判決書、これらが広く指定法人のデータベースに収録をされる。そして、この指定法人から民事裁判情報、これを提供を受けた先ほど申し上げたような一次的な利用者が、AIあるいはデジタル技術、こういったことを活用して様々な分析をするなど付加価値を付けて、その上で、そうした製品、サービスの開発を行って、その製品、サービスが二次的な利用者の方々に利用されるということを我々としては想定をしているところであります。
こうした意味で、この制度、より高度な法的サービスの提供を含む様々なイノベーション、この基盤となり得る、そうしたことと、私どもとしてはそうした狙いで今回こうした提案をさせていただいておりまして、民事裁判情報の幅広い活用、これを通じて利便性の向上など国民一般の、国民の皆様方一般の利益に資する、そういったことを私どもとしては考えているところでございます。

○嘉田由紀子君

御丁寧にありがとうございます。
全体十五分しかなくて、もう既に四分過ぎてしまいましたので、質問二の方は既に今、矢倉委員が丁寧に聞いていただきましたので、重複しますので質問二は飛ばさせていただきます。
私、気になりますのは、具体的な作業母体が、全国に一つを限ってと読むんでしょうか、一つの法人に業務指定するということですが、この法人を選択する上での認可の要件について、また任期期間の規定はあるでしょうか。質問三でお願いします。

○政府参考人(松井信憲君)

お答え申し上げます。
指定法人は、訴訟関係者の権利利益に配慮しつつ、大量の民事裁判情報を適正に取り扱うことが求められますので、本法律案においては、一般社団法人、一般財団法人その他営利を目的としない法人であること、また、業務を適正かつ確実に行うのに必要な経理的基礎及び技術的能力を有するものであることを指定の要件としております。また、業務の遂行が公正に行われるよう、役員又は職員の構成が業務の公正な遂行に支障を及ぼすおそれがないものであること、民事裁判情報管理提供業務以外の業務を行っている場合は、その業務を行うことによって民事裁判情報管理提供業務が不公正になるおそれがないものであることなどの要件も設けております。
委員からは任期があるのかという御質問もいただきました。
この制度における指定法人は、基幹となるデータベースを整備し、安定的に運用することが期待されるものである上、業務を担うためには所要のシステムの開発等も必要になりますので、このような業務の性質に照らし、定期的に指定法人を交代させるような運用は想定しておりません。したがいまして、本制度では指定法人が業務を行う期間を設けるということにはしておりません。

○嘉田由紀子君

ありがとうございます。
確かに、大変膨大なデータ蓄積して、それがある期間でまた替わるということになると課題だろうと思いますので、問題がないとかなり半永久的に特定の法人に受け止めていただくということになると思うんですが、その場合に、質問四ですが、不適切な業務発生したときの監督体制はどうなっているでしょうか。第三者機関による監査などは計画しているのでしょうか。

○政府参考人(松井信憲君)

お答え申し上げます。
本法律案において、法務大臣は、指定法人に対し、監督上必要な命令をする権限や報告徴求及び立入検査をする権限、指定の取消しをする権限などの監督権限を有するものとされております。したがいまして、指定法人の業務に不適切な点があった場合には、法務大臣がこれらの監督権限を行使してその是正を図ることになります。
本法律案では、指定法人に対して第三者機関による監査を行うこととはしておりませんが、指定法人の業務遂行について透明性を確保することは重要なことであると認識をしております。
この点、指定法人の行う事務や事業については、平成十八年八月の閣議決定において、少なくとも三年から五年ごとに政策評価を行い、その結果をインターネットで公開し、事務事業の料金を府省庁が認可している指定法人については、会計処理の明確化及び透明化を図るため、事業内容、料金等の収入額及び支出額の内訳を記載した書類を作成し、インターネットで公開するなどとされております。
法務省としては、指定法人に対する監督権限を適切に行使するとともに、先ほどの閣議決定の趣旨も踏まえて、指定法人の業務の透明性が図られるように適切に対応してまいります。

○嘉田由紀子君

そこは透明性を担保して、そして国民に見えるような形でよろしくお願いいたします。
後半の質問ですけれども、いつも続けております、離婚後共同親権の実効性を高めるため、特に今日は市町村との連携、お伺いします。
昨年の五月七日の参議院参考人質疑で、白鴎大学教授の水野紀子さん、また弁護士の浜田真樹さんのお二人が強調していたんですけれども、自治体での離婚後のサポートが大変大事だと。申しますのは、離婚の九割が協議離婚で、自治体が窓口になります。
そして、これも昨年の六月十一日ですけど、全国市長会の当時の社会文教委員会委員長の吉田信解埼玉県本庄市長が当時の小泉龍司法務大臣に口頭で要望していると伺っております。その内容を参考にしながら、以下、質問させていただきます。
まず、一ですけど、令和六年民法改正で今後検討が更に進んでいくことになりますけれども、自治体の戸籍窓口等においても制度、手続等に様々な変更が生ずるものと認識をしております。
改正の趣旨、内容、制度の変更点について、国民や自治体職員に対してしっかりと周知、広報すべきだと思いますが、法務省さんにお伺いします。

○政府参考人(竹内努君)

お答えいたします。
民法改正法の円滑な施行の観点から、適時に施行準備を行うことは非常に重要であると認識をしております。
法務省におきましては、これまでも、パンフレットの配布ですとか動画等を通じた周知、広報に取り組んでまいったところでございますが、委員御指摘の自治体との関係では、令和六年十二月には、法務局を通じて自治体の戸籍担当部局にパンフレットを配布するとともに、当該自治体の関係部局におけるパンフレットの積極的な活用と、関係部局間での連携促進への協力を依頼する旨の事務連絡を発出しております。
引き続き、関係府省庁とも連携しながら、自治体の戸籍窓口の現場を始め、当事者や関係機関等に改正法の趣旨、内容をしっかりと御理解いただけるよう、周知、広報の取組を続けてまいりたいと考えております。

○嘉田由紀子君

ありがとうございます。
そのパンフレットの内容も、実は、共同養育計画とか、あるいは親プログラム、子供プログラム、なかなか触れていないんですね。そこは是非これから充実していただけたらと思います。
と申しますのも、戸籍の窓口に相談に来られた方、あるいは、皆さん大変な問題を抱えているわけですから、この方たちを支援の窓口にどうつないでいくかということが大変重要です。自治体内部でも連携して取り組んでいくべき課題だと思いますけれども、その辺り、どうお考えでしょうか。

○政府参考人(竹内努君)

お答えいたします。
自治体におきまして適切な支援を行っていただくことは非常に重要であると承知をしておりまして、その際には、例えば戸籍担当部局の職員が離婚届の書類を取りに来た方に対し支援担当部局への誘導を行うといった、自治体内での部局間での連携が適切に行われることが望ましいと考えております。
このような観点から、法務省は、関係府省庁等と連名で自治体の各関係部局宛てに、法務省が作成をいたしました親子交流、養育費等に関するパンフレットの活用と関係部局間での一層の連携への協力等を求める文書を発出するなどの取組を行ってきたところでございます。
また、法務省では、令和三年度以来、自治体と連携して、別居又は離婚を経験する父母への支援の在り方に関する調査研究を行っておりまして、昨年度は、二つの自治体の協力を得て、離婚後の子の養育計画に関する調査研究を実施したところでございます。
同調査研究におきましては、協力自治体の担当者から、適切な支援のためには自治体内の部局間や民間の専門家等によるネットワークによる伴走型の支援をすることが必要であるとの指摘がありまして、これはまさに委員の問題意識と重なるものであると理解をしております。
法務省では、本年度、これまでの調査研究を深化、発展させるべく、養育計画に関する調査研究を実施するとともに、子の意思の把握、反映の在り方に関する調査研究を実施する予定でございます。これらの調査研究に当たりましては、先ほどの観点も踏まえた検討を行う予定でありまして、そこで得られた支援の好事例につきましては、関係府省庁等とも連携しながら横展開を図ってまいりたいと考えております。

○嘉田由紀子君

ありがとうございます。
調査研究の結果を待ちたいところでございますけれども、この後は、こども家庭庁さんにお伺いしたいんですが、資料一として、実は四月十日に同じ資料を出させていただきましたが、そのとき十分深掘りできなかったので、改めて、この自治体からの要望で、現場としてはそれこそ具体的に、人員体制なりあるいは横展開なり、大変な費用も発生いたしますので、その辺り、こども家庭庁さん、この資料一にありますところで、四月十日段階では二百四十九の自治体が関わっているということも伺ったんですけれども、深掘りについて現状報告お願いできますか。

○政府参考人(源河真規子君)

お答え申し上げます。
先生から、最新の自治体がどれぐらい関わっているか教えていただきたいというお話をいただきましたが、まだお伝えできる状況にございませんので、それをお伝えできる状況になった時点でお伝えさせていただければと思います。
また、資料お出しいただいていますが、離婚前後家庭支援事業については、ここに掲げておりますとおり、様々な取組を行っております。良い自治体の取組はほかでも取り組んでいただけるように頑張っていきたいというふうに考えております。

○嘉田由紀子君

四月十日に、モデルの市町村、一つずつ私、全部見せていただいたんですけど、二百四十九ありました。そのほとんどが言わば養育費確保レベルなんです。親子交流まで展開できているところが本当に数個しかないと。実は、離婚の後の親子の分断というのはこの親子交流が大変大事なんですね。
もう今日は時間がありませんので、要望だけさせていただきますけれども、現場では、この調査研究、そして具体的に、切断されてしまった親子交流をどういうふうに実態として学校やあるいは自治体でサポートしていただけるか、大変大きな熱望、望んでいる方たちがおられますので、できるだけ速やかにガイドラインを早く充実させていただいて、そしてモデルになるような市区町村の横展開を図っていただけたらと思います。これは最後はお願いです。
以上です。時間になりました。ありがとうございました。

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