○嘉田由紀子君
ありがとうございます。日本維新の会、嘉田由紀子でございます。
今日は、少し遠回りかもしれませんが、日本の子供の幸せ度というところから質問をさせていただきます。
ユニセフが五月十四日に、先進国、新興国四十三か国に住む子供の幸福度の調査報告書を公表しました。日本は、精神的な幸福度で三十六か国中三十二位と、下位となっております。資料一として新聞記事をお出ししております。実は五年前は三十八か国中三十七位であったので、少し改善していると言えるかもしれませんが、その背景、理由を、こども家庭庁さん、どう考えられますか。お願いいたします。
○政府参考人(水田功君)
お答えいたします。
御指摘のユニセフの調査によりますと、我が国の精神的幸福度の順位は、前回、二〇二〇年調査の三十七位から三十二位に上がっております。精神的幸福度の順位は子供の生活満足度及び自殺率から計算されているものと承知しておりまして、この順位は両指標の数字が影響しているものと承知しております。
前回調査以降、自殺率が悪化しており、こども家庭庁としても重く受け止めているところでございますが、コロナ禍を経るなど社会情勢が大きく変化する中で子供の生活満足度は改善が見られたものと承知しているところでございます。
○嘉田由紀子君
子供の自殺率が上がっております。これは質問二の方でさせていただきますけど、令和六年の児童生徒の自殺数、暫定値ですけど、五百二十九名、過去最多でございます。子供の死亡原因の一位が自殺というのは、G7諸国の中で日本だけです。他の国は不慮の事故が一位という。ところが、日本だけこの自殺が一位と。
これは、私はずっと社会学者として、例えば社会学の原点でデュルケームの自殺論というのがあります、もう百年も前ですけれども。自殺というのがいかに根深い、また社会現象として難しいものであるかということは社会学者として自覚をしておりますが、ただ、本当に子供さんが命を自ら絶つというのはもう本来の子供の姿ではない。親御さんも、また本当に周囲の皆さんもつらいことだろうと思います。ですから、この背景を確実に分析をして、そして自殺の対策を立てるというのは国として大変大きな政策だと思います。
先ほど来、福島議員が、政治というのは幸せを最大にするんだと、結婚したいという男性と女性が結婚できないような夫婦別姓制度どうだと言われましたけれども、本当に、幸せになれない家族、あるいは不幸を増大する、これが私は今の民法の単独親権にあると思い、過去二十年ほど研究もし、また訴えてまいりましたけれども、この自殺の問題、こども家庭庁さんとしてはどう背景、理由、分析しておられ、また、どういう政策対応なさってくださるでしょうか。お願いいたします。
○政府参考人(源河真規子君)
お答えいたします。
こども家庭庁では、令和五年六月に取りまとめたこどもの自殺対策緊急強化プランに基づき、関係機関が保有する自殺統計や関連資料を集約して多角的な要因分析を行う調査研究を実施しております。
令和五年度の調査研究では、例えば自殺される前の学校の出席状況として、以前と変わりなく出席していた事例が約四割であったこと、自殺の危機や心身の不調などについて周囲から気付かれていなかった事例が約二割であったことなど、これまでの自殺統計だけでは把握できなかった、生前に置かれていた状況などの自殺対策に役立ち得る情報が確認できたところでございます。
一方で、関係資料の情報の内容等に限界があるなど、背景、理由の分析や情報収集に関する課題が明らかになったところで、引き続き、これらの課題等を踏まえながら要因分析を進めていくこととしております。
また、令和六年版自殺対策白書においては、令和四年以降の自殺者のうち、自殺未遂後一年以内に自殺した方が、未遂歴がある自殺者の過半数を占めることが明らかとなり、未遂者への支援強化が重要であることから、今後、自殺未遂者とその家庭を、保健、医療、福祉、教育の各機関が連携して地域で包括的に支援する体制の構築に向け、新たに調査研究を行うこととしております。
こども家庭庁では、こうした調査研究も含め、引き続き、誰一人自殺に追い込まれることのない社会の実現に向けて、政府一丸となって取り組んでまいりたいと思います。
○嘉田由紀子君
誰一人自殺に追い込まれることのない社会を目指して、私たちもその社会を目指し、まさに立法府として力を入れていきたいと思います。
この子供の自殺背景、精神的な問題、大変複雑ですけれども、家族状況との関係をどうお考えでしょうか。統計データなどありましたら教えていただきたいんですけれども、統計がない場合、今後、家族の状況と子供さんが置かれている精神的な状況など含めて調べる可能性あるでしょうか。質問三です。お願いします。
○政府参考人(源河真規子君)
お答えいたします。
先生から今お尋ねのありました家族状況につきましては、令和四年以降、警察庁の自殺統計原票に基づきまして同居人の状況を把握しておりまして、令和六年版自殺対策白書では、令和四年から五年に自殺した小中高生の自殺者のうち、両親と同居が約六七から七〇%と最も多く、母親のみと同居が約一九から二二%、父親のみと同居が約六%となっております。なお、いわゆる親の離婚経験の有無は把握しておりません。
また、自殺の多くは多様かつ複合的な原因及び背景を有していることに加え、データが二年分しかないことに留意が必要ではございますが、親と同居していた小中高生の自殺者の同居人の状況別に原因、動機を詳細に見ました場合、両親と同居している場合は、母親のみ又は父親のみと同居している場合に比べまして、男女共に家族からのしつけ、叱責、学業不振、入試に関する悩みの割合が高く、母親のみ又は父親のみと同居している場合は、両親と同居している場合に比べまして、男女共に病気の悩み、影響の割合が高いという状況になってございます。
また、家族の貧困との関係については警察庁の自殺統計原票では把握することはできませんが、小中高生につきましては、経済、生活問題を原因、動機とした自殺は他の問題と比較して少なくなってございます。
こども家庭庁といたしましては、引き続き、厚労省等の関係省庁と連携の上、こうしたデータの更なる蓄積及びその分析を通じて子供の自殺の動向の把握にしっかり努めてまいりたいと思います。
○嘉田由紀子君
ありがとうございます。
ようやく家族に関わるところのデータを原票に戻って分析するようになった、それは二年分しかないということですね。逆に、今そういう視点が生まれてきたということで、大変大事だと思います。
最初から申し上げていますけれども、複合的な要因ですので大変絡み合っているんですけれども、今の時点で言えることは、一人親家庭の場合に、全体の家族の中に占める一人親家庭は六から七%です。でも、父母合わせて、ここで一人母親、一人父親で、男性の場合には二五%ぐらいですね、女性の場合は二八%ぐらい。ですから、明らかに比率としてはやはり一人親の方が自殺の比率は高いということは言えるんですけど、これ単純集計ですから、この辺りは是非今後、要因分析をしていただけたらと思います。
それから、この一人親の場合に、健康や精神的問題ということが要因の中で一番大きくなっているんですが、ここのところも、もう既にその前兆を持っているということも改めて分析をしていただいて、そして手を打っていただけたらと思います。
質問四ですが、家族の貧困、離婚経験、養育費支払の間に何らかの自殺率との関係があるかどうか。これはまだデータないんですね。そこだけ確認いたします。
○政府参考人(源河真規子君)
今の御指摘のとおりでございまして、そのようなデータは今のところないというふうに認識しております。
○嘉田由紀子君
是非そこを分析していただきたいと思います。
その分析のときに大切な概念が、片親疎外あるいは忠誠葛藤という問題です。
実は今日発売なんですけど、私自身が書いた本ですので宣伝するわけではないんですが、「子どもは誰のものか? 離婚後「共同親権」が日本を救う」という書籍、本日発売です。その中の第四章に、「離婚に直面した子どもの心に寄り添う道」ということで、まさに幸福度が日本は国際的に見て低いというところから書き起こしまして、そして、父と母との間で子供は本当に揺れます。その専門的なところ、日本は研究が余りにも少ないんです。御存じだと思いますけれども、審議官は。アメリカですと、もう一九七〇年代から八〇年代、児童心理学含め、そして、この片親疎外や忠誠葛藤というところを研究をしてきております。
その辺りのところで、質問五ですけど、こども家庭庁さんは、親が離婚した後の子供の片親疎外、どう定義し、どのように把握しているでしょうか。そして、これを改善する方法はどう考えているでしょうか。お願いいたします。
○政府参考人(源河真規子君)
お答えいたします。
片親疎外につきましては、政府として用いている用語ではございませんので、その定義等についてのお答えをすることは控えさせていただければと思います。
ただ、こども家庭庁といたしましては、父母の離婚前後においても子供の人格が尊重され、心身の健全な発達が図られることが重要であると考えておりまして、離婚前後の親に対する支援として、自治体等を通じて、離婚が子供に与える影響、離婚後の生活について考える機会を提供する親支援講座の実施、養育費、親子交流に関する相談支援、手続支援等を進めているところでございます。
こども家庭庁といたしましては、令和六年民法等改正において、父母が離婚後も適切な形で子供の養育に関わりその責任を果たすこと、その際には、子供の意見に耳を傾け、その意見を適切な形で尊重することを含め、子供の人格を尊重することが明確化されたことも踏まえまして、関係省庁とも連携しながら、改正法についての周知をしっかりと行い、施行に向けた環境整備にも取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
○嘉田由紀子君
先ほど民事局長も言っておられましたけれども、来年の五月までにこの共同親権の法案は施行されるわけですけれども、それまでに準備をしてくださるということですけれども、先週も、自然的親子権は職分であり、憲法十三条の幸福追求権とも重なるという指摘をさせていただきました。また、五月十五日には、学校行事への別居親の参加を同居親が拒むものは、そのケースは本来の自然的親子権を阻止されることになり、子供の側にとっても、親に会いたい、親に自分の運動会で頑張っているところを見てほしいというような、子供からしても、やはりある意味で片親疎外の具体的な現象と思います。
そして、片親疎外は児童虐待であるという定義まで、既に東京高裁は、児童虐待と片親疎外という、学校で面会できないなんということも含めて言い始めていただいておりますので、ここは是非ともしっかりと研究をしていただいて、日本でももちろん片親疎外の研究成果は出始めております。青木聡さんなり、あるいは小田切紀子さんなりの論文御存じだと思いますけれども、アメリカにはこの蓄積が大変多くございますので、是非検討していただきたいと思います。
そこにつながって、忠誠葛藤という概念、これをこども家庭庁さんはどう考えているでしょうか。
○政府参考人(源河真規子君)
お答え申し上げます。
今御指摘がありました忠誠葛藤につきましては、親子交流の支援などで個別ケースに応じて判断しているものであるというふうに考えております。
○嘉田由紀子君
この家族の問題は、皆それぞれがという経験があるから、余計にそれぞれの考え方、価値観を持っているので、なかなか全体議論ができない。だから、明治民法の、百二十六年前の単独親権がいまだに日本に残っているという、これを私はこの書籍の中でガラパゴスだと申し上げておりますけれども、そういう中で、ちょっと最後に、もう時間がありませんので、片親疎外あるいは忠誠葛藤というところで法務大臣に。
この後、裁判官やあるいは調査官が、なかなか子供の側に立った心理学的な勉強あるいは研究が少ないんですね。ですから、同居親の一方的な言い分に寄り添って、それはそれで大事なんですけど、会わせない、会うときは、それこそ試行的面会とか、あるいは、ある意味で、マジックミラーで監視すると。親子が会うのに何で監視なんですかというようなことも含めて、子供の最善の利益を目的とする民法改正を主導した法務省としては、こども家庭庁さんに質問しました片親疎外、忠誠葛藤……
○委員長(若松謙維君)
時間が過ぎておりますので、質疑をおまとめください。
○嘉田由紀子君
はい。
大臣として、この総合的な判断を是非お願いいたします。
○委員長(若松謙維君)
答弁簡潔にお願いします。
○国務大臣(鈴木馨祐君)
家裁における様々な適切な運用ということでありますので、我々としては、そういったことは適切に子の利益を確保する観点から行われることを期待をしております。
○嘉田由紀子君
ありがとうございました。これで終わります。失礼します。