2025年4月24日【法務委員会】確定稿

○嘉田由紀子君

ありがとうございます。日本維新の会、嘉田由紀子でございます。
まず最初に、今、田島麻衣子議員が問題提起しておりましたこのデジタル法について質問させていただきたいと思います。
昨日、本会議で、私はアフリカの植民地化の例を申し上げました。何でそれが関係あるのかと言われるかもしれませんが、まさにこのデジタル法で言わば刑事訴訟のプロセスが入ってくるということは、アフリカの無文字社会に大変な、紙と法律を持ってヨーロッパ諸国が入ってきたときのような構造的な転換をするほど大きいんじゃないのかと私は自分の研究者の経験から思いましたので、あのことを出させていただきました。
そして、今、田島麻衣子議員のそのやり取りを聞いていると、本当にこれは大変な構造転換になるなというのは、やっぱり検察当局が、この問題性の大きさ、プライバシーの侵害、そして自白を言わば強要するような日本の刑事制度の問題、これ午後、古庄議員が丁寧に説明いただくと思いますけれども、その課題、そして冤罪を生む構造、それを更に一層強化するおそれがあるんじゃないのかということを、今ほども一時間お話を聞かせていただいて、そして答弁をしていただく方で感じさせていただきました。
また、連休明けには参考人質疑もございますので、本当に日本人の権利、プライバシー、どうやって守れるのか、国際的にも大変な問題になっております。カルロス・ゴーンさんの事件もありました。
というところで、私は、まず、通告させていただいているのは、このプライバシーの侵害の問題で、電磁的記録提供命令が、被疑者や被告人の憲法三十八条に保障されている自己負罪拒否特権が侵害しないように制度設計されているのか、ここのところを改めて聞かせていただきたいです。お願いします。

○国務大臣(鈴木馨祐君)

今御指摘の憲法第三十八条、これ、「何人も、自己に不利益な供述を強要されない。」というところでありますけれども、この自己負罪拒否特権でありますが、今回のこの電磁的記録提供命令におきましては、条文上、必要な電磁的記録を提供することを命ずる命令と規定をしているところであります。
その趣旨といたしましては、既に存在をしている電磁的記録の提供を命ずるというものであって、それは供述を求めるというものではないということであります。そういったことから、電磁的記録提供命令、この自己に不利な内容が含まれる、そういった電磁的記録の提供を命ずる場合も含めて、この自己負罪拒否特権、抵触をするものではないと私どもとしては考えているところであります。
ただ、もっとも、実際に捜査当局においてこの電磁的記録提供命令をするに当たっては、この命令が自己に不利益な内容の供述を強要するものではないことを含む制度内容の正しい理解、これを前提としながら、必要に応じて、供述を強要するものではないということ、あるいは不服申立て、こういったことができるということをしっかりと相手方にお伝えをする、示すということをやるなどを通じて、その権利を不当に侵害することがないような適正な運用、これは必要なことだということは我々としても認識をしているところであります。
そういったことから、この法律案、改正法として成立をした場合には、捜査機関においても、こうした適切な運用、この在り方をきちんと検討をしていくと我々としても考えておりますけれども、私ども法務省といたしましても、例えば通達等の形を通じて捜査機関に対しても、制度内容あるいは運用上の留意事項、この周知をしっかりと図っていく所存であります。

○嘉田由紀子君

法律が制定された後の運用というところ、ここがまさに立法府の責任であるし、この後どうやって国民一人一人の生活の中で確実に憲法が守れるような運用をしていただくか、このときには私はやはり検察官の価値観が大事だと思います。
村木厚子さんの例をあえて昨日も出させていただきましたが、検察官が自分の出世のためにデジタルデータを、あのときはフロッピーです、捏造する、しかもそれを担当者の上の人も認めたと、あんなことが近代民主主義国家であったんですよね。あったんです、大臣、これは事実ですから。それを二度と繰り返さないというところが冤罪を防ぐ日本の国家的責任だと思います。
また後から鈴木議員も言われると思いますが、やはり国際的な信用の面でも、このデジタル化、そして刑事訴訟法の運用は大変大事ですので、是非ともお願いいたします。
今日は、後半、いつも、子供の幸せどういうふうに担保するかということで、私自身が現場で、離婚後の子供が経済的、精神的に大変なしんどい状態にあるので、過去六年間、共同養育、共同親権の法案作りを提案してまいりました。
昨年五月に一応法案は選択的共同親権取れるようになったんですが、果たしてそれをどう運用するのかということで、来年の何月でしょうか、まだ月は決まっていませんけど、四月か五月に施行されることになると思います。その中で一番大切なのが、やはり共同養育計画をどう具体的に子供のために作るかということです。
それで、前回、申し訳ありません、お願いをしたところの続きですけど、まず、今日、資料一として出させていただきました。養育費の算定表がこういう形であるんですけど、この算定表について、子供の人数と義務者の所得とがマトリックス、つまり、子供の人数と義務者の所得がマトリックスということは、この二つの要素しか考えていないということですけれども、この算定表について、まず最高裁の方からの答弁お願いできますか。

○最高裁判所長官代理者(馬渡直史君)

委員が御指摘の資料一というのは、養育費等に関する事件において利用されております養育費等の標準算定方式及びこれに基づく算定表の一部でございます。
この算定方式及び算定表につきましては、元々家裁の実務に携わる裁判官の研究結果に基づく提案として生み出され、標準的な養育費等を簡易迅速かつ公平に算定することができ、当事者の予測可能性にも資するものとして広く定着してきているものと承知しております。
裁判官は、養育費等が問題となる個々の事案におきまして、この算定表を活用するかどうか、また、算定方式を踏まえつつも個別事情をどのように考慮するかなどについて、個々の事件ごとにその内容に応じて審理、判断をしているものと承知しておりまして、個別事情の中には、委員の御指摘のような、父母がいわゆる共同して子を養育しているといった事情も含まれ得るものと考えられるところです。
このようなことから、最高裁といたしまして、現時点で、この算定方式や算定表は裁判所における実務において事案に応じた適切な活用がされているものと認識しておりまして、この算定方式や算定表について特段の問題があるというふうに認識はしていないところでございます。
以上です。

○嘉田由紀子君

個別に適切に適用していただいているということですけれども、そもそもこの共同養育、共同親権というのはどういうものなのか。
あえて私は前回、オーストラリアの事例を出させていただきました。つまり、時間配分でフィフティー・フィフティーだったら養育費そのものが発生しないわけですね。そのようなところも含めて、そもそも同居親と別居親という言葉自身が不適切な場合もありますよということもこれまで何度も言わせていただいておりますけれども、法務省自身がこの辺り、いろいろな出版物でも最初から同居親、別居親を分けている。つまり、フィフティー・フィフティーなり、あるいは四〇対六〇というような、両方が、父も母もそれぞれに深く関わるということが想定されていないわけです。この辺りのところは是非ともこの算定表に、単に収入と、そして子供の数ではなくて、多様なルールメーキングを考えていただけたらと思います。
そういう中で、統計自身も考えていかないといけないわけです。
司法統計の中に、離婚の司法統計ですね、司法統計二十四表に、離婚の調停成立又は調停に代わる審判事件のうち面会交流の取決めありの件数、これ諸外国では宿泊基準に基づいて養育時間の割合などを反映した統計データがあるんですけれども、この辺り、この後、実態を調べる中で検討していただけないでしょうか。これは法務省さんでしょうか、お願いします。

○最高裁判所長官代理者(馬渡直史君)

司法統計に関するお尋ねですので、私の方からお答えいたします。
司法統計としてどのような数値を取得して公表するかにつきましては、その時点における実務のありようを適切に把握するという観点や法改正の動向のほか、事務処理上の負担等も踏まえて検討されているところでございます。
その上で、今後、御指摘のような統計を取って公表するかどうかにつきましても、改正家族法の施行後の調停での合意内容等がどのようなものとなるかといった実務の動向も十分踏まえた上で、その必要性等について慎重に検討する必要があるものと考えているところでございます。

○嘉田由紀子君

ありがとうございます。統計は実態の後に出てくるものですけれども、準備をしていただくということで、お願いします。
次ですけれども、文部科学省さん、済みません、先回来ていただいて、また今日も再びお願いしているわけですけれども、関係府省庁連絡会議で新しい民法の施行に向けたQアンドAを作成していただいております。実際に施行された後、現場の学校がどう対応していくかということですが、まず、公立学校がこのQアンドAに準拠した対応を行わなかった場合、親はどこに不服を申し立てることができるのでしょうか、私立学校の場合はどうでしょうかということを質問させていただきました。
実は、現場からも既に、例えば東京都内のある私立学校なんですけれども、K中学校に通うお子さんが高校に進学するケース、これまだ婚姻中ですから父も母も共同養育、共同親権を持っているわけですが、そのときに中学校に、進学の相談が自分になかったけど、学校としてはそのことをどう対応してくれるのかと、今共同親権中なんだけどと問合せをしましたが、学校長の書面による返事が来ているんですが、一切これには関わらないと、そして、同居中のお母さんが拒否をしたら、別居中のお父さんはたとえ共同親権があっても学校には入ってくれるなというようなことが書面で返ってきているんですね。
このような現場での親子分断というのがかなり親権の侵害になると思うんですけれども、この具体的な手続方法が現場で見えていない中で、今省庁連絡会議でやっていただいておりますクエスチョン・アンド・アンサーが不服状況になったときどうするかということで、これは文部科学省さん、お願いできますか。お願いします。

○政府参考人(今村聡子君)

現在、委員から御指摘ありましたとおり、法務省を始めとしました関係府省庁が連携しまして、改正法に関する具体的なQアンドA形式の解説資料等の検討を進めているところでございます。
その上で、一般論として申し上げますと、学校の対応に何らかの問題があると考えられる場合、公立の学校につきましては、当該学校の設置者である教育委員会に御相談をいただくということが考えられます。また、私立学校につきましては、当該学校の設置者である学校法人や、その学校法人等を所轄する都道府県の部局に御相談いただくことが考えられます。
いずれにしましても、今後、QアンドA形式の解説資料等につきましては、法務省等とも協力しながら、改正法の施行前に各学校現場に対して周知を進めてまいります。

○嘉田由紀子君

ありがとうございます。
意外と知られていないんですが、私立学校の許可は都道府県なんですよね。私も知事になって逆に初めて知りました。ですから、教育委員会ではないということで、そういうことも含めて、行政全般がまさに教育には責任があるということを現場でも知っていただきたいと思います。
また、そういう中で、質問五と六ですが、こども家庭庁さん、今日お越しいただいておりますけれども、二〇二二年の六月に、児童虐待の相談件数の増加などに伴って、子育てに困難を抱える家庭の問題、これをどう対処するかということで、児童福祉法が改正されました。
この改正により、子供家庭福祉の実務者の専門性向上を目指して、認定資格、こども家庭ソーシャルワーカーが創設されました。この議連もこのときございまして、どういう言わば認定資格にするのか、中身は、そしてまた認定機関はということで議論があったんですけど、結果的には日本ソーシャルワークセンターが認定機関として研修の認定、試験、そして資格者登録なども行っております。
ここ、第一回の試験と結果が最新のものが出たということですが、ここのところ、実態として今どうなっているか、こども家庭庁さん、教えていただけるでしょうか。

○政府参考人(源河真規子君)

お答えいたします。
こども家庭ソーシャルワーカーは、児童相談所などの児童福祉現場で働く方々の一層の専門性向上を目的として、令和四年の児童福祉法改正により創設された福祉関係の認定資格でございます。
この資格は、子供や保護者が地域社会で良好な関係性を築いて安心して生活するために必要となる支援を的確に行うための知識やスキルに関する研修と試験を、社会福祉士などの有資格者や児童相談所などの福祉の現場で働いている方々が受けることで取得できるもので、先生から御紹介ございましたとおり、先月に最初の試験が実施され、七百八十一名が受験され、七百三名が合格されたところでございます。

○嘉田由紀子君

七百八十一人が受験をして七百三人が合格ということ、ようやくこの制度が動き出して、そして現場で子供の虐待などに対応するノウハウをより蓄積した方が対応いただくということは大変心強いことでございます。
この中で、当時から議論になっていたんですが、議連でも議論になっていたんですが、これまでの社会福祉士やあるいは精神保健福祉士などの資格にプラスしていくということで、虐待問題というのは背景の家族の問題なども大変根が深いです。私も現場で知事時代に頭を痛めた問題です。ですから、その根が深い中で、実は家族がどうあるか。
例えば、私は今離婚の話ばかりしておりますけれども、親御さんが夫婦仲悪くなって離婚してというときに、保育園の先生方はよく見ています。というのは、いや応なく送り迎えがあったりするから、あっ、お父さん、最近どうしているのというようなことで、保育園の先生方からのSOSはたくさん私のところにも来ます。学校、あるいはもう子供さんが大きくなると、ここが分かりにくいんですが。
是非とも、今の段階では、こども家庭ソーシャルワーカーさんの中に、いつも言っておりますように、共同養育計画やあるいは離婚のあつれきを少しでも緩和できるようなノウハウは入っていないんですけれども、今後は、これお願いですけれども、共同養育計画作りの実践、その公正証書化など法的サポートも含めて活動の展開は期待できるでしょうか。答えられる範囲で結構ですので、お願いいたします。

○政府参考人(源河真規子君)

お答え申し上げます。
このこども家庭ソーシャルワーカーでございますが、資格取得後は、児童相談所の児童福祉司やこども家庭センターの統括支援員などといった職務の中で、これらの機関に求められている役割の中で専門性を生かした必要な支援を行っていただくことを想定しております。
こうしたことから、議員から今御指摘いただきましたような離婚に関わる法的サポートについてこども家庭ソーシャルワーカーが担うことは難しいのかなというふうに考えてございます。

○嘉田由紀子君

こども家庭ソーシャルワーカーさんは離婚に関する問題は扱えないということを今答弁いただきました。
では、実は最近、この間も四月十五日に緊急集会があったんですが、子供ケアマネという提案が出されております。これ、こども家庭庁さんの方にも三年以内に子供ケアマネを実現しようという要望書も出ていると思いますが、ここでは、子供ケアマネ制度、近いうちに実現をするということですけれども、超党派の議員の要望、また現場の実践、研究者の思いを実現する方向は、今、研究、検討していただいているでしょうか、いかがでしょうか。

○政府参考人(竹林悟史君)

お答え申し上げます。
今、先生の問題意識と必ずしもそぐっているかどうかちょっとよく分かりませんけれども、先日もそういった御要望があって、いわゆる子供ケアマネジャー制度の創設を求める声があるということについては承知をしております。こども家庭庁といたしましても、妊産婦に寄り添い、不安や悩みの解消につなげる取組は重要と考えております。
そして、昨年度から、地域子育て相談機関等の身近な場所で気軽に相談を受けられる体制の整備を進めているほか、今年度からは、妊娠時や出産後に専門職等が伴走型の面談を行う事業、これを法律に基づく制度として実施しているところでございます。
こども家庭庁としては、まずはこれらの取組により個別のニーズを把握し、必要な支援につなげてまいりたいというふうに考えており、こうした新しい取組をしっかり現場に根付かせることで妊娠期から出産後までのお困り事に対応し、誰もが安心して出産、子育てができる環境を整備してまいります。

○嘉田由紀子君

ありがとうございます。
子供ケアマネの提案は、フィンランドのネウボラのような、本当に生まれる前、生まれるとき、生まれてから、しかも、親子全体をサポートするというようなところで問題提起されているわけでございます。
その中で、これは要望なんですけれども、虐待が増えている、あるいは子供の引きこもり、様々な問題が増えている、その上流のところには家族の問題があるんですね。ですから、例えばフランスなどでは、保育園に行ったときに、あっ、お母さん、今日、顔色良くないねって、お母さんが元気でいてくれることが子供にとって大事ですよと、まさに親のケアもしてくれる。そして、その親のケアの背景には制度、法律もございます。
私は、それこそ六年前に参議院に寄せていただいてから、ずうっと家族問題、子供が孤立して、そして母親も孤立して、一人親をそもそも生まないような仕組みをつくることが大事だろうと。上流の問題を法律、制度で整えてくださいと一貫して言ってまいりましたけれども、今回のこのこども家庭ソーシャルワーカーの制度も、試験問題もさらっと見せていただきましたけど、法律にほとんど入り込んでいないんですね。
それから、子供ケアマネも法律に入り込んでいないんですけど、もういや応なく民法の改正の影響、そして法律の問題が出てまいりますので、ここのところは要望でございます。子供ケアマネの制度の創設ができた場合には、離婚前後の親子が抱える課題、精神的問題あるいは親子関係などを丁寧にフォローしていただく。そして、包括的な支援体制ができるように、子供ケアマネの中に、その家族の状態などもケアできる、そういう視野を広げていただけたらと。これは、今答弁にありますように、今のところは準備できていないと。でも、法律は来年から施行されますから、その前に既に問題がたくさんあるわけです。
今日もこの法務委員会、全国の方が聞いていただいておりますので、この共同養育、共同親権、熱望する方たちに希望が与えられるように、希望を持っていただけるような、そのようなこども家庭庁に成長していただけたらと要望させていただきます。
以上で終わります。ありがとうございました。以上です。

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