Facebook 令和7年11月30日 地元で「家族ふれ愛❤フェスタ」

11月29日(土)、大津市志賀学区の地元で、「家族ふれ愛❤フェスタ」があり、小松明美さんから誘いを受けて、いっしょに参加をしてきました。地元の小学生から70歳代までの皆さんの迫力ある「野村太鼓」のチーム演奏と、小中学生の「ふれ愛標語表彰」のあと、地元南小松在住の黒川琉伊くん(高島高校3年生)の講演「わたしにとっての『はじめてのびわこの魚』」を聴かせていただきました。琉伊くんの講演を中心に紹介させていただきます。長いです(2400文字、スミマセン)
黒川琉伊くんとはこれまでイベントでの短い面会はありましたが、こんなにしっかり講演をきいたのははじめてです。琉伊くんは、2歳のころから魚の魅力にとりつかれ、琵琶湖博物館に通いはじめ、ほぼ毎日琵琶湖博物館に通い、小学校5年生の時には南小松の、琵琶湖まで走って30秒のところに移住。我が比良家とも至近距離に住んでいます。弟さんはキノコにとりつかれ、日々の兄弟ふたりの活動はお母さんがこまめにFBで紹介してくれています。
琉伊くんの講演は、自己紹介からはじまり、お気に入りの魚をそれぞれに紹介。①ハス:食べておいしい、⓶アカザ:とげが危険、③マナマズ:オオナマズやイワトコナマズよりもその素直な顔が好き、③オウミヨシノボリ:地味な色あいだが、婚姻色がきれい、⑤ヌマチチブ:国内外来種で在来魚にとっては最も驚異的、という5種です。アユやビワマス、イサザではなく、まさに琵琶湖ツッコミ型の、琵琶湖大好きな個性的な紹介です。
魚以外には、鳥ではウミアイサ、ニホンヒメフナムシ、ハマガニ、など琵琶湖の研究者でもほとんど関心をむけない生物も紹介。そして後半にはいろんな生き物とふれあう幼少期からの紹介で、2歳の時に琵琶湖博物館に出会い、それから毎日まいにち、琵琶湖博物館に足を運んでくれて、4000日とか?1年365日しかないので、何年間、通い続けたのでしょう!小学校5年の時には滋賀県の「ラムサールびわっこ大使」に応募して霞が浦の世界湖沼会議で発表をしたという。今年の「大阪・関西万博」では7月24日の滋賀デイに、宮川大輔さんなどに交じって琵琶湖の魅力を語ってくれました。
琉伊くんが社会的に注目されたのは、2022年7月1日、中学校3年生の時に出版した『はじめてのびわこの魚』です。絵も文もすべて自分で書いたもので、「ぼくは四季を通して変化する魚たちの美しい婚姻色は色鮮やかで自然光の中では虹色の輝きをまといます。本書で、僕が大好きな琵琶湖の魚たちの一番美しくかっこいい姿を紹介します」と、1頁に1種類ずつ、50種類を紹介しています。
それぞれの頁はそれぞれの色や形の記述にくわえて、生息場所や社会的関係、たとえば二ゴロブナは「魚のゆりかご水田」で増えているなどの滋賀県の政策の記述も丁寧です。黒川琉伊ちゃんの魚の記述の科学的正確さについては、琵琶湖博物館の魚類学芸員の金尾滋史さんが、また出版後に原画の展覧会を琵琶湖博物館で行い、当時の高橋啓一館長も琉伊ちゃんの科学者の卵としての観察眼に感動していました。
『はじめてのびわこの魚』を出版してくれたのは滋賀県長浜市木之本町で出版社「能美舎」を経営している堀江昌史(まさみ)さんです。今日も講演会に息子さんをつれて参加してくれていました。先日、11月2日に、大阪から親子連れで琵琶湖源流の郷を見学に来てくれた、その時の発酵弁当をお願いした堀江さんです。彼女の発酵食品へのこだわりと出版業、深いところでつながっています。
そう、黒川琉伊ちゃんに私は大変感謝をしたいです。実は1980年代中頃、琵琶湖研究所研究員をしながら、当時の子どもたちの琵琶湖イメージ調査をすると「赤潮」「ゴミ汚染」と環境悪化の問題に集約されていて、琵琶湖が本来有している400万年の古代湖としての生物進化の場のこと、縄文時代以来の2-3万年以上続く生活文化の価値や、そして1400万人を超える近畿圏の人びとへの利水役割や、下流の水害をふせぐ治水効果など、琵琶湖の多面的な価値が子どもたちの間に全く浸透していないことを残念と思っていました。
そこで1985年に琵琶湖研究所所報で総合博物館としての琵琶湖博物館の提案をして、1989年から博物館準備室が始まり、私は琵琶湖研究所から博物館準備室に異動しました。そこでゼロから琵琶湖博物館の企画提案をして、「準備室なれど博物館」とホタルや生活用水利用など参加型調査等にエネルギーを注ぎ、1996年に開館。開館したら「博物館なれど準備室」として成長し続ける博物館を提案してきました。来年は開館30周年です。まさに黒川琉伊ちゃんのような子どもさんがこの滋賀県から育つことを目的の一つとして、琵琶湖博物館を提案したので、琉伊ちゃんの存在に心から感謝したいです。
琉伊ちゃんの『はじめてのびわこの魚』の「おわりに」に次のような記述があります。
「久しぶりに行った水路が全面コンクリートに工事されていると本当に悲しい。この工事を決めた人は、この水路で春に泳ぐ小魚や希少な水草のことを知っていたのかな?川も工事だらけ。そこに暮らす生き物のことを知っていたら、この魚たちの未来は違っていたかも・・・・」。
河川にコンクリートを打つ理由は水害を防ぐためと多くの大人は言うでしょう。でも生き物も生きていけて水害被害も防げる方法を考えられませんか。琉伊ちゃんの疑問に応えられる河川政策、水辺政策が大人達に求められています。
来月12月3日、参議院本会議で公共事業の見直しについて高市早苗総理と片山さつき財務大臣に質問します。税金の使い方をチェックする「政策効率化」をめぐって、時代遅れの60年前に計画された巨大ダムの「費用便益効果」を計算する時に、ダムにより遮断・破壊される河川生態系の経済価値をコスト、マイナス費用として計算をして、科学的事実に根ざして公共事業採用の判断を行うという方針を国として出してほしい、と提案します。川辺川ダムや石木ダムの例を出します。TVいりですので、全国の皆さんに、やりとりは聞いていただけると思います。10分間の攻防です(微笑)。
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