全国での「山の日」にちなんで「びわ湖の山の日」を制定、「比良比叡トレイル」設立記念の式典に参加。「びわこバレイ」の新たな名所「びわ湖テラス」の眺望を楽しみました。8月11日。(いつも通り長いです)
びわ湖の西岸には、南から北へ連なる山やまが見えます。南の峰は主峰の大比叡(おおびえ848m)、四明ケ岳など五峰をあわせて比叡山。昔から日本で「山」といえば「比叡山」を意味する、と言われるほど、比叡の山は地元滋賀県だけでなく、平安の都・京都や大阪など関西だけでなく、日本中から親しまれてきました。個人的な思い出ですが、今から50年以上前、埼玉県の中学校から修学旅行に来て、比叡山とびわ湖に魅せられて関西での学びを決めました。
比叡の北には横川から、今森光彦さんが里山発信をしてくださっている仰木の峰から伊香立、そして途中峠。ここから北は比良山地です。霊仙山から権現山、小女郎池を経て、蓬莱山へ。ここがびわこバレイの絶景地になります。木戸峠をへて比良岳へ、さらに金糞峠を経てコヤマノ岳から、最高峰の武奈ケ岳(1214m)など、1000m級の山やまがつらなり、高島市に入り、朽木村へとつながります。
これも私事になりますが、比良山系の麓に位置する「びわこ成蹊スポーツ大学」では、4月上旬の入学直後に新入生全員が、びわ湖畔で3泊4日のキャンプを行い、その最後の日に、武奈ケ岳登山に挑戦します。年によってはまだ残雪が残り、あるいは雨風の中、標高85mのびわ湖岸から1214mの武奈ケ岳までは厳しい「直立登山」になりますが、4年後の卒業時には新しい仲間と協力して登った達成感など、印象深い行事として特筆されるほどです。
さて、このトレイルの特徴は、どこからも「びわ湖の絶景」をのぞみ、楽しむことができることです。そして何よりもこの山やまは1200年を越える「祈りの道」であり、比叡山の千日回峰行から、比良八荒の修験の道でもあります。道みちには、お地蔵さまなど古代からの祈りの痕跡を楽しむことができるだけでなく、そもそもびわ湖そのものが「天台薬師の池」であり、薬師如来の聖地でもあります。文学や古典に現れる比叡・比良も豊富で、万葉集の和歌からはじまり、「比良暮雪」として室町時代から近江八景の一つにされているのはよく知られています。
足元の自然に目をむけると、シャクナゲなどの高山植物に加えて、動物は哺乳類や鳥類、またイワナやモリアオガエルなどの両生類、トンボをはじめ多様な昆虫など、四季折々の生き物の姿を楽しむこともできます。戦前にはカモシカが全域で見られ、カワウソが終戦直後にはいたそうです。この間にどんな環境変化があり、これらの貴重な生き物が姿を消してしまったのか、研究したいテーマでもあります。
今日はそんな比叡・比良にほれこんだ皆さんと「比良比叡トレイル」の設立を記念する発足会となりました。今後の活動としては、「観光」「スポーツ」「環境」という三つの柱で、トレイルの安全環境整備など、それぞれの内実を深めていくことが皆の間で約束されました。またすでに先行する「高島トレイル」とのつなぎもあり、その北の伊吹山から、東の鈴鹿山脈まで、「環びわ湖トレイル」の設定も楽しみです。
今日の記念式典では、7月末にオープンした「びわ湖テラス」の眺望をバックに、三日月大造知事からのお祝いメッセージ、越直美市長からのお祝いのあいさつに加えて、山の日にちなんだ自作の歌を地元の歌手・関島秀樹さんが披露してくださいました。また甲西高校のブラスバンドの皆さんが、「琵琶湖周航の歌」をはじめテラスでの演奏を披露くださいました。
子ども連れでも気軽に訪問できて、おいしい食事・飲み物もリーズナブルな価格で楽しむことができます。この夏の間に是非とも皆さん、いちど「びわこバレイ」にお越しください。麓駅から日本一早いロープウェイで10分ほどです。そして何よりも、「比良比叡トレイル」、全域踏破を!とは言いませんが(微笑)、一部でも挑戦をしてみてください!