6月1日午後、東京都内で「次の旗印を見出そう!―共同親権施行後の子育て家庭に必要な政策とは?」というテーマで、家族看護学の渡辺裕子さんと家族社会学の私とで講演会に参加。昨年2024年5月に公布された「選択的共同親権」の民法改正は来年2026年5月までに施行されます。 それまでに実効性ある共同親権を実現するために、当事者や政治家として社会にどう訴えたらいいのかという講演会です。最初に嘉田と渡辺さんでそれぞれの講演をしながら、後半は、参加者全体で円卓対話集会としました。企画は離婚に伴い子どもに会えない当事者で共同親権運動を前向きに進めてきた「リスコ」という東京ベイエリアから共同養育をすすめる会(松村直人さん主宰)と仲間の皆さんです。リアルな当事者の皆さんの問題を提起していただき、かなり有効な議論となりました。滋賀県琵琶湖研究時代に共同研究した山本佳世子さんとも久しぶりにお会いしました。準備いただいた皆さんありがとうございました。エッセンスだけお伝えします。(1700文字、長いです)。



全体の流れを私がまず導入。『子どもは誰のものか?離婚後「共同親権」が日本を救う』の著書で追及してきた離婚後の父母と親子の縁切り問題で、自殺者までだしてしまうほどの日本の家族の問題を民 法など制度面から指摘してきた私にとっては、「こじらせない家族」という渡辺裕子さんからの提案は「目からウロコ」でした!家族関係の実践的な推しとして、家族関係には感情を理解する「予防教育」が必要という。その柱が「アサーション」(自他尊重の自己表現)」と「バウンダリー」(自分と他者を区別する境界線)という。もともと夫と妻は他人であり、そこで相手を尊重しながら日々の生活を成り立たせる関係論を日本では全く習っていない、そこに家族問題の原点があるという渡辺さんの主張に私は全面的に合意しますと申し上げました。

私が著書の中で取り上げさせてもらった連れ去りや親子分離による不幸も、家族間の感情問題に原因があります。その日々の暮らしの成り立ちを日本社会では学ぶ場がないという。まさに私が著書でとりあげたのは「こじれてしまった家族」ですが、そこに「こじららせないノウハウ」を人間関係づくりとして埋め込んでいくことの重要性を一層強く感じました。渡辺さんは家族関係をこじらせないノウハウを保健師として、また心理学の研究者として「家族看護学」として実践しており、今後の連携が大いに期待されます。「家族生活支援」を柱として法案づくりなど議員連盟をつくれたら、と話をしました。7月の参議院選挙で再選していただいたらそれ以降の宿題です。
今日の対話集会の中でうれしい報告がありました。5月13日と15日に私が法務委員会でとりあげた「別居親の学校行事の参加」という問題で、行事に参加させないのは親へのDVであり子どもにとっては虐待だ、というやり取りを記録して、別居する娘さんの学校の校長先生に届けたところ、学校として、5月24日の運動会に参加させてくれた、法務委員会での嘉田さんの質問のおかげですとSさんに言っていただきました。娘さんが運動会で一番で走っている動画を涙ながらに見せていただいたSさんの報告に感動しました。政治家冥利につきます。Sさんありがとう!この動きを日本中にひろげましょう!この背景には国賠訴訟を積み上げてくれたMさんや、難しい判決文を整理してくれたIさんたちのおかげです。皆の協働作業です。
共同親権の重要性を今後日本社会にひろめていくには、まず子どもたち自身が自分の思いをだしていい、という社会的雰囲気をつくることが大事、と提案しました。それには「家はふたつ」という子どもむけの絵本や、「事実無根」のような映画をひろめ、さらにフランス人のヴィンセントさん主人公の映画を広めるという、エンタメの分野での理解拡大が必要ではないかと提案しました。アメリカでも1980年前後の『クレイマー、クレイマー』の映画が大きな社会意識変革のきっかけとなりました。来年の民法施行にむけて皆さんのご意見を伺いたいです。よろしくお願いします。


