20250313 法務委員会(確定稿)
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。日本維新の会、嘉田由紀子でございます。
午前中どうしても予算委員会がありまして、失礼いたしました。
今から大臣所信についての質問を中心にさせていただきます。
まず、鈴木大臣の所信のところで、困難を抱える子供たちへの取組というのがございました。特に、父母の離婚等に直面する子供たちの利益を確保するため、民法等改正法の施行に向けた準備を着実に進めますとあります。
去年の五月に、参議院、そして本会議で通過した民法改正ですが、これまで父母が離婚をして父子、母子の縁を切ってしまう単独親権であったのが、共同親権を選べるようになりました。これは、日本の明治民法以来の言わば親子縁切りの民法に対して、親子の縁をつなぐという大変大事な、特に子供の幸せにとって大事な民法改正であったと思っております。
その中で、昨年の十二月に、父母の離婚後の子の養育に関するルールが改正されましたということでパンフレットを作っていただき、全国に配布してくださったということですが、具体的にこのパンフレットをどのように配布していただいているか。特に自治体への働きかけですね。私自身、滋賀県の子育ての担当者、それから例えば明石市などの子育ての担当者に問合せをしましたが、ほとんど届いていないんですね。
その辺りのところ、是非、民法改正の成果、自治体にどのような働きかけをしているか、お願いできますか。
○国務大臣(鈴木馨祐君) 今御指摘のように、自治体への働きかけ、これ極めて大事なことだと考えております。
そうした意味で、法務省におきましては、改正法につきまして、ホームページにおける改正法の周知であったり、あるいは改正内容を解説する動画やポスターの作成、あるいは担当者を各所に派遣して講演をする等々を通じて周知広報活動を行っております。
また、自治体ということもございましたけど、自治体も含めて、関係府省庁において連携して取り組むべき問題と考えておりますので、そういった意味で、関係府省庁等連絡会議の開催も行っているところでございます。
御指摘のパンフレットでありますけれども、これ、関係府省庁等と連携をして改正法の内容を説明するパンフレット、この作成をしております。また、QA方式の、QAスタイルの資料の作成も今現在進めているところであります。
このパンフレット、届き切れていない、そういった御指摘もございました。その点はしっかりと確認もさせていただきますけれども、基本的には、私どもとしては、関係府省庁等が連携をして既に都道府県や市区町村といった自治体等に配布をしたと認識をしてございますので、若干まだ行き届いていないところがあれば、御指摘を踏まえて調べさせていただきたいと思います。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
言うまでもなく、日本の離婚の九割近くが協議離婚です。協議離婚というのは、市区町村の役場の戸籍担当が、ある意味で、紙切れ一枚受けて、それで離婚が成立してしまうという大変安易な離婚の手続であるわけです。ですから、本当に一番影響を受けてしまう子供たちの養育費であるとか、あるいは親子交流であるとか、あるいは子供の精神的な状況、そういうところをケアする仕組みが実は全くできていないんですね。
それで、私は、もう過去二〇一九年から、六年目になりますけれども、子供を放置しないでくださいということでお願いにお願いを重ね、そして共同養育計画作りなどなしには離婚認めないようにしてください、子供のためにということを繰り返し続けて言ってきたんですが、残念ながら、まだまだその問題意識も、また地域への、地元への働きかけも弱いと思いますので、是非とも、この法律が施行されるまでに二年ということですから、もうほぼ一年たってしまいましたので、二年ということですから、是非とも法曹関係だけではなく市区町村の行政の担当の方に働きかけていただきたいと思います。
二点目の質問ですが、今回も大臣所信の中で、安全、安心な社会の実現に向けてということで、持続可能な保護司制度の確立に向け、保護司の安全確保対策や、保護司活動を含む更生保護行政のデジタル化、情報セキュリティーの取組状況についてということで質問させていただきます。
本当に私自身、実は大津市の北部で、自宅で保護司の方が言わば相談中に殺害をされたと、本当に驚きました。殺害をされた方はもう随分何十年も前から直接お付き合いがございまして、大変な地域貢献をしておられた方なんです。びっくりしました。
そして逆に、この保護司制度の見えないリスクというのを知ることになったんですけれども、言うまでもなく、国際的にもこの日本の保護司制度というのは、ある意味で共助の仕組みとして、犯罪を増やさない、あるいは万一犯罪犯してしまった人が地域で再生できるようにということ、全くボランティアでやっていただいている大変すばらしい制度です。
ですから、この制度が確実につながるように、特に若い人たちの保護司が数が減っておりますので、その辺りの工夫について、大臣の御見解お願いします。
○国務大臣(鈴木馨祐君) 今御指摘ありました大津の事件、大変痛ましい事件でございますし、やはり保護司の方々、どうそうした安全をしっかり図っていくのか、こういったこと、我々としてもこれは一番の喫緊の課題としてしっかり取組を進めていかなければいけないと考えております。
さらに、どのようにしてこうした様々な方に役割担っていただけるのか、こういった点についても御質問もあったと思いますけれども、まさにそういったことで申し上げれば、いろいろ今、第二次再犯防止推進計画において持続可能な保護司制度の確立に向けた検討、試行が盛り込まれたことに基づいて、令和五年の五月から持続可能な保護司制度の確立に向けた検討会、この開催を行っております。保護司の方々からの多様な御意見も踏まえながら検討が重ねられて、令和六年の十月には報告書が取りまとめをされたところであります。その安全確保ということ、先ほど大津の話もございましたので申し上げますけれども、そういった取組も含めて、今後講じていく施策として七十八の取組が盛り込まれているところであります。
まさにそういった中で、予算案の中でも、保護司の安全確保に関連して、保護観察官の増員ということに加えて、更生保護サポートセンターの運営経費の拡充、あるいはサテライト型更生保護サポートセンターの設置、そして自宅以外の面接場所をどう確保するのか、そしてさらには保護司複数指名制度の積極活用に係る経費等々も計上しているところであります。
これらの施策をしっかりと進めていく、あるいは、やはり保護司の方々の負担軽減ということでデジタル化も必要だと思います。そうしたことを通じて、担い手もしっかりと確保をしていけるように適切に対策を進めていきたいと考えております。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
皆さん御存じのように、この保護司のボランティアで手を挙げてくださる方が本当に若い方が少ないものですから、何としてもここはこの制度の存在価値を高めていただいて、マスコミなどでももっともっと広げていただいて、この元々日本のコミュニティーの中にある相互扶助の仕組み、犯罪人を出さない、万一犯罪人が出てしまったらその更生もコミュニティーの中で支えていくんだという、そういう基本哲学に根差しておりますので、日本ならではの共助の仕組み、是非とも広げて、そして、七十八項目作っていただいておりますので、実践していただけたらと思います。
次に、質問三ですが、今回の予算関係の中で、法務省施設の耐震化・老朽化対策の一つとして、災害発生時、避難所としての利用、地域との連携という項目がございました。これも大変大事だと思います。
私も知事時代から、実は避難所の設定は市区町村なんですけど、それをサポートするのは都道府県の役目でございます。そしてまた、様々な法務省の関係の施設、地域にございますので、この万一のときの避難所利用などについて具体的にどう進めていただいているのか、また、今後の構想についてもお伺いしたいと思います。
○国務大臣(鈴木馨祐君) 私どもといたしましても、この矯正施設、災害発生時の避難所としての利用、極めて大事な貢献というふうに考えております。
矯正施設が所在をする地域の自治体等と防災協定等を締結をして、矯正施設の機能等と両立をさせながら、その敷地内の一部を避難所として利活用する等々、災害時の地域支援をこれまでも実施しているところでございます。
例えば、平成二十八年にございました熊本地震に際しては、熊本刑務所の武道場を避難場所として開放して、最大約二百五十名の近隣住民の方々を受入れをさせていただいて、飲食物の提供であったり、あるいは入浴支援、さらには、私どもの強みでもありますけれども、熊本少年鑑別所と協力をして心のケア、これを目的とした相談なども実施をしているところであります。
先ほど申し上げました防災協定ということでいえば、今、合計百十九の施設にそういった協定を締結をしている、これは今年の一月三十一日時点ですけれども、そういった状況であると承知をしております。
引き続き、我々としてもこうしたことをしっかりと展開していけるように、所在地自治体等と連携をして、こうした災害発生時のまさにそうした一番厳しい状況にある被災者の方々、寄り添っていくためにも、この地域支援活動をしっかりと通じて、国民の安全、安心を確保していく、そうして、我々、この矯正施設についてもこの地域社会の一員としてそうした役割を果たしていく、そういうふうに考えております。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
この避難所は、小学校の体育館だったり中学校の体育館だったり、体育館というのはまさにTKB、トイレ、キッチン、ベッドがなくて本当に悲惨な状況、そういう中で災害関連死も増えております。特に、熊本地震のときには直接地震で亡くなった方よりも関連死の方が多かったということで、私も災害対策を進める上でこのトイレ、キッチン、ベッドが大事だなと。
考えてみましたら、道場とか、あるいは様々な法務省系の施設は、トイレ、キッチンありますよね。そこにそれこそ段ボールベッドか何かを持ち込み、そしてようやくテントが常備品として整備できるように、これは国の方が予算、防災省をつくるというところで予算の整備もしていただいておりますので、ともかく公的な国の施設ですので、前向きに御利用いただけるように、これも是非社会的に発信をしてください。私もこの質問するまで、その熊本地震のときに二百五十名も避難をしていたということを知りませんでしたので、社会的に発信をしていただけたらと思います。
次、質問四点目ですが、裁判所関係についてお願いいたします。
今回の、資料、年度の予算の中で、家庭裁判所調査官五人の増員があります。また、事件処理の支援のため、国家公務員の子供の共育て推進を図るため裁判所事務官を九名増員とあり、そのうち二名は育児休暇、ワーク・ライフ・バランスに関わる増員ということですけれども、これ詳しく御説明いただけますか。
○最高裁判所長官代理者(小野寺真也君) お答えいたします。
まず、家庭裁判所調査官の増員につきましては、改正家族法の成立を受けまして、各裁判所において法の趣旨、内容を踏まえた的確な調査が行われるよう、具体的な調査の在り方を含め、その円滑な施行に向けた検討、準備を行うとともに、現行法下での事件処理におきましても、改正法の施行を見据えまして、家裁調査官の専門的知見をより適時適切に活用しながら家庭裁判所の紛争解決能力の一層の改善、向上を図っていく必要があることから、家庭事件処理の充実強化を行うため家庭裁判所調査官五人の増員をお願いしているところでございます。
次に、裁判所事務官の増員のうち国家公務員の子供の共育て推進等を図るための増員についても御説明をさせていただきます。
裁判所におきましては、仕事と育児の両立支援制度の利用促進や育児休業からの復帰後の支援等を行うことにより、職員の多様な働き方と子育ての両立支援、いわゆるワーク・ライフ・バランスの推進を図っていく必要があることから、平成二十七年度以降、国家公務員のワーク・ライフ・バランス推進のための増員を認めていただき、その取組を行ってきたものであります。
令和七年度につきましても、引き続きその取組を継続していく必要があるため、事務官二人の増員をお願いしているところでございます。今年度お願いしております二人の増員につきましても、これまで増員をお認めいただいた分と合わせまして、必要な部署に適切に配置することで制度の趣旨に沿った支援等が図られるものと認識しております。
今後とも、職員の多様な働き方と子育ての両立支援が図られるよう努めてまいりたいと考えております。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
言うまでもなく、この少子化、大変な問題です。私たちの世代は、昭和二十年代、一年間に二百五十万人から二百七十万人、これ昭和二十四年ですけれども、生まれていたのが、最新の統計ですと七十二万人、しかも海外の方が入っていますから、日本人だけの最新データはまだ出ていませんが、六十万人台になってしまっている。これは、人口予測の十五年前倒しで少子化が進んでいるということでございます。
特に、私自身も経験ありますけれども、働く女性が子育てとそれから仕事が両立できる体制がないことが少子化の大変大きな理由です。その……(発言する者あり)ありがとうございます、御支援いただきまして。その両立できないもう一方で、男性の家事、育児参画。私はずっとこれ、昨年の石破総理、予算委員会でも、またその一年前の岸田総理にも申し上げました。育児・介護休業法という名前を変えてくださいと、育児・介護参画法で。育児、介護、休業じゃないんです。それはもうよく御存じと思いますけど。
この間もある官僚の方と、家で子供を面倒見たと、霞が関では夜中の二時に呼出しはないけど、子供は夜中の二時に呼び出す、だから子育ての方がよっぽど大変だということを言っておられます。でも、そこをきちんと参画してもらわないとこの出生率上がりませんので。
二人という大変大事な人数ですから、この後どんどん広げていただいて、公務の場から、男性が家事、育児参画、大手を振るって、大手を振るって私は国難参画の子育てに参画するんだよということを是非法務省から広げていただきたいと思います。
そして、これも昨年の十二月十六日申し上げましたけれども、京都大学の明和政子さんという脳科学の研究者がおられます。彼女が、子育てというのは前頭葉が発達して相手の思いをおもんぱかる力が働くと、それを育てることができる、子育てこそ人材育成の最先端なんだ。職場では、特に若いお父さん、子育てに参画して、人材育成、自分で学んでいらっしゃいというくらい、それぞれの組織長がサポートしていただけたらいいかと思っております。質問というよりはコメントでございます。
その中で、家庭裁判所調査官のお仕事、大変大事だと思います。これも十二月十六日に申し上げました。K市のF・Fさんという方が昨年の三月二十四日に子供さん連れ去られてしまって、その後、居場所が分からないということで、大変御苦労なさいました。結果的には十一月十六日に自殺をしてしまうんですけど、その間に、六月に調査官調査、三十ページほど、子供さんの意見も聞いて、お母さんの意見、お父さんの意見、そしてDVがなかったからちゃんと面会交流直接にさせてください、親子交流、そういう調査官調査が出ているんですが、結果的には裁判所が直接交流のタイミングつくってくれなかったんです。それで、このF・Fさん、お父さんは自ら自殺してしまったんですけど、本当につらい話です。
それで、家庭裁判所のお仕事なんですけれども、最近、森めぐみさんという方が、離婚を経験したお父さんたちから家裁がどういう状態だったかということを聞き取りをしております。これは私が読ませていただきますので、是非知っていただきたいと思います。
調停委員が言いました、なぜお子さんに会いたいのですか。なぜお子さんに会いたいのですかって調停委員が言う。当然でしょう、親だったら子供に会いたい。先ほど申し上げましたF・Fさんは、会えなくて、つらくて自殺してしまった。そういう自殺したお父さん、中にはお母さんもおられます。たくさんいるんです。これ、五十九人からの聞き取りを本にしたものです、「家裁のデタラメ」。
二つ目。女性の裁判官に、子供に会いたいなら奥さんに土下座してお願いしたら、お願い、お願い、お願いと言われました。何で自分の子供に会うのに奥さんに土下座しなきゃいけないんですか。それを裁判官が公の場で言うんですよ。
娘が連れ去られて、私は一度も娘に直接会えていませんし、連絡も付きません、家裁で、生きているかどうかすら分からないと言うと、裁判官に、死んだらニュースになる、今はニュースになってないから死んでないと真顔で言われました。どう思われますか。裁判官、こんなきついことを言うんです。
四点目です。裁判官、どれだけあなたが頑張ろうが相手が駄目って言っているんだから無理よ、どっちが親権者として向いているかじゃないんだから。実は親権者、何を基準に決めているか。ありません。
五点目です。どっちが親に向いているかを判断されに来ています、今日相手が来ないこともきちんと加味してくださいと、当事者、お父さんが言いました。裁判官、奥さん仕事で来れないんじゃないの。同居親が来れないとこれで、別居親が来れないと不利になります。親としての資質を疑われます。
六点目です。家裁の裁判官が言いました、調査報告書によれば、DVも虐待もありませんでした、しかし、あちらが連れ戻しが怖いというので、まずはズームで信頼関係を築いてからでいかがでしょうか。これが先ほどのK市の、昨年十一月十六日に自殺をしてしまわれたF・Fさんの例と同じようなことです。
もう今日はこれ以上申し上げませんが、是非裁判所の皆様がそこで子供に会えない親の気持ちに寄り添って、そしてようやく、面会交流ではなく、今回の法案改正では親子交流と、本来の親子の親密な、愛情豊かな交流をもっともっと増やそうということを法案に入れていただいているんですから、ここは確実に裁判所の皆さんの意識の変化を、本来、親子は離れてはいけないんだと。
今回、遺伝子提供、お父さんの精子提供で生殖医療の法案を今準備しておられますけど、そこに子供自身の出自を知る権利を出そうと言っています。お父さんはどういう背丈だったか、どういう人だったかという資料を百年間国として保存しましょう。それくらい子供は親のことを知りたいんです。それなのに、生身で生きているお父さんとこんなに会わせない。それを裁判所という公的なところでやっている。
是非、この「家裁のデタラメ」という、もしこれがうそばっかり書いているというんだったら、また次の委員会で反論してください。ここはもう答弁要りません。知っていただきたい。本当に、子供に会いたい親、子供も親に会いたいんです。そこのところを理解していただけたらと思います。
お時間になりました。最後に、司法統計の公開頻度ですけど、なかなか、特に離婚統計というのはタイムリーなデータが欲しいんですが、現場での動きをタイムリーに把握するための司法統計の公開頻度について、これは厚労省さんでしょうか、ちょっとコメントお願いいたします。
○委員長(若松謙維君) 時間過ぎておりますので、簡潔にお願いします。
○最高裁判所長官代理者(小野寺真也君) お答えいたします。
司法統計年報についてのお尋ねでございました。司法統計年報につきましては、毎年十二月三十一日を基準日として、様々な作業をした上で一定の期間に公表するということにしてございます。公表までに一定の作業期間を必要とすることについては御理解をいただきたいと思いますが、可能な限り速やかに司法統計年報を公表することができるように、引き続き迅速な事務に心掛けてまいりたいと考えております。
○嘉田由紀子君 ありがとうございました。以上で終わります。