2024年6月7日 参災害対策特別委員会
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
教育無償化を実現する会、日本維新の会、共同会派をつくっております嘉田由紀子でございます。
能登半島地震から丸五か月、まだまだ生活不安の中で多くの方が苦しんでおられますけれども、六月三日の早朝、再度の地震が襲いました。心休まることのない被災者の皆様にお見舞い申し上げますとともに、災害対策特別委員会としても、理事を中心に現場視察も行っていただきました。
私の方は、今日は大きく三点質問させていただきたいと思います。
まず第一点目は、災害関連死と避難所の生活環境の改善です。
先ほど杉尾委員も御質問でしたけれども、この災害関連死、今回、五月二十一日段階で、死者二百四十五人、重傷三百三十四人、また災害関連死、五月二十三日には三十名と公表されております。さらに、今百名を超える申請がなされているということでございまして、まだまだ増えるということを心配をしております。
この災害関連死事例集を見せていただきますと、過去の災害関連死の分析がなされております。事例集では、死亡時の年代では、七十歳以上の方が八二%、それから発生から死亡までの期間、三か月以内が約六〇%、原因区分では、避難生活の肉体的、精神的負担と併せて、電気、ガス、水道等の肉体的、精神的な生活環境の過酷さというところが問題となっております。特に、高齢者の場合には、生活環境、先ほど宮崎議員から水道の質問もございましたけれども、水関連、また食事関連、大変大事だと思います。
日本は、もう言うまでもなく、地震、津波、豪雨災害、何度も経験しているにもかかわらず、なかなか、発災直後のあの冷たい体育館の中で緊急的に避難ということが実態でございます。四月三日の台湾の東部地震では、たった二時間の間にプライバシーが確保される個室テントが常備されたというようなことで、本当にある意味で羨ましくも思いました。
そこで、まず防災大臣にお伺いします。
日本の避難所において、避難者の個人としての尊厳が守られ、高齢者、女性、障害者、避難者にストレスを与えないような生活の場を、良好な生活環境、そして温かい食事も含めて、なぜ迅速に整えることができないのでしょうか。もう具体的に台湾の事例などありますので、是非、全体の責任者としてその理由を御説明いただき、今後の対策に役立てていただけたらと思います。
○国務大臣(松村祥史君) お答え申し上げます。
やはり、被災者の命と健康を守るため、避難所の良好な生活環境を確保することは、これはもう言うまでもなく重要な課題であると認識をいたしております。
今回の能登半島地震では、被災自治体への国や自治体からの応援職員の派遣でありますとか、生活環境の改善に必要な物資等のプッシュ型支援、自衛隊による炊き出しや入浴支援など、発災直後から避難所運営等に必要な支援を行ってきたところでございます。
今回の能登半島地震における避難所の対応を振り返ってみれば、避難所において必要な物資が十分に備蓄されていたのかどうか、パーテーションや段ボールベッドの展開等、プライバシーの確保や生活環境の確保等の観点からの取組が十分であったか否か、避難者のニーズに対応できる避難所運営体制が構築できていたかなど、様々な視点からの検証が必要であると考えておりますし、今後の対応の改善につなげていくことが必要であると考えております。
災害対応には事前の備えがやはり重要であると思っておりますし、被災された方々にとって生活の場である避難所が良好な生活環境となるよう、避難所の運営に携わる官民の人材の確保や育成、訓練の実施など、引き続き自治体とともに力を尽くしてまいりたいと考えております。
○嘉田由紀子君 全体の方向としてはそうなんですけど、もう少し踏み込んだ対応が必要ではないかと思っております。
先ほど、阪神・淡路から三十年、加田議員も質問なさっておられました。二〇一一年の東日本大震災から十三年。本当に、また熊本もですね、こんなに三十年間に経験をしているのに、なぜできないのか。
それに併せて、今予測されている大変な事態です。近い将来、南海トラフあるいは首都直下地震などで、例えば南海トラフでは、断水の影響を受けて一週間後に最大で約九百五十万人の避難者、避難所に滞在する避難者は一週間後に最大で五百万人、これ中央防災会議の検討会議からのワーキングチームの数字ですけど。それから、首都直下地震では、まさに私たちこのもう東京そのものが影響を受けると思いますけど、避難者は断水、停電の影響を受けて発災二週間後で最大七百二十万人。ちょっと気が遠くなるような数字なんですけれども、そういう中で、未曽有の過酷な状況、これはやはり備えなければいけないと思います。
繰り返しになりますが、避難者の尊厳を確保するために、平時からどう備えていったらよろしいでしょうか。防災大臣の御決意と、対策推進基本計画の見直しの方向性を是非とも御披露いただきたいと思います。
○国務大臣(松村祥史君) 膨大な避難者の発生が見込まれる南海トラフ地震や首都直下地震など大規模地震については、地震防災対策を推進するための基本計画を作成をいたしまして、住宅の耐震化や避難所等の役割を担う学校施設の耐震化、また公共施設の耐震化、様々な対策を政府を挙げて推進をしているところでございます。
また、被災者の支援につきましては、避難所の良好な生活環境の確保が重要と認識をしておりまして、例えば、避難所におけるパーテーション、段ボールベッド等の活用、栄養バランスの取れた食事の提供、快適なトイレ環境の確保に取り組んでいきたいと考えております。
さらに、高齢者や障害者などの避難行動を支援する個別避難計画の作成でありますとか、災害ケースマネジメントの普及といった施策を推進してまいります。
現在、能登半島地震についても政府の災害応急対応に関する検証作業を行っておりまして、委員御指摘の被災者支援の在り方も含め、災害から得た経験や教訓を踏まえた災害対応を不断に見直していく必要があると思っております。また、そのことを基本計画の見直しに反映してまいりたいと考えておりますし、加えて、大規模地震に対しましては、やはり平素からの備えていただくことが必要だろうと思っております。
これは、自助、共助、公助という段階で、国民の皆様におかれましても日頃から備えていただくことがやはり最も重要であり、今後、基本計画を見直す過程では、企業やNPOなどの様々な民間主体を含め、社会全体で備える力をいかに確保していくのかといった観点も含めて、今回の振り返りをまとめた上で、次に何をやるべきなのか、こういったことを考えながら検討してまいりたいと考えております。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
せっかく、ある意味で三十年の経験があるわけですから、そこから部分的な技術やあるいは工夫とともに、全体計画、これが防災大臣の大きな仕事だと思います。
私は、ずっと水環境問題やあるいはトイレ問題を研究もしてきたんですが、今回、日常的に大変有効に使えて、いざというときに先ほどの災害関連死などを防ぐ手だてとしてトイレトレーラーのお話をさせていただきたいと思います。
実は、今回の能登半島に関わる検証チームでトレーラートイレが大変有効であるという発表がございました。実は、このトイレトレーラーは、具体的に申し上げますと、助けあいジャパンの石川淳哉さんが熊本のときに支援に行って、このトイレ問題が言わば災害関連死を防ぐための大きなポイントであるということを発見して、かなりお一人で頑張ってここまで持ってこられました。
実は、このトイレトレーラー、日常のいろいろなイベントで役立ちます。花火のときとかもそうですし、簡易トイレ、たくさんイベントのときに造りますけど、各自治体がこのトイレトレーラーを持っていたら、明るくて、そして水も循環し、またし尿の循環も使えるというようなことで、是非とも各自治体、日本全国千七百四十一基礎自治体がございますが、このトイレトレーラー設置ができるよう、都道府県を通じて各基礎自治体への補助金など、急ぎ概算要求に計上できないでしょうか。防災大臣、ここで御決断いただけないでしょうか。
○国務大臣(松村祥史君) 御指摘をいただいたトイレでございますが、まさに今はトイレ、キッチン、ベッド、必須であると言われておりますし、その中のトイレの確保はどんな災害においても重要であると認識をいたしております。今回の能登半島地震においても、仮設トイレをプッシュ型で支援をしたところでございますし、委員御指摘のトイレトレーラーが有効であったと認識をいたしております。
災害時のトイレの確保につきましては、各自治体の災害想定に基づきまして、簡易トイレなどを含めどのような災害用トイレを確保していくのか、また、委員御指摘のトイレトレーラーを平時どのように維持管理をし、活用していくかなど、自治体において実態に即した対策を検討し、計画的に準備を進めていくことが適当であると考えております。
内閣府といたしましては、これまでも、自治体に対し避難所におけるトイレトレーラーの確保について、これは緊防債による財政措置があることや、クラウドファンディングで資金を調達した事例、こういったものを紹介をいたしまして、是非導入をいただきたいと推奨しているところでもございます。今回の能登半島地震の経験も踏まえまして、トイレトレーラーを実際に活用したメリット等についても改めて周知を行いたいと考えておりますし、自治体の皆様方になおさら導入を促してまいりたいと思っております。
したがいまして、予算の確保というよりも、予算は既にございますが、なかなかこういったものを御存じなかったり、それから、災害に対する備えるものへの意識というものがそれぞれの自治体で少し違うのかなという私自身の認識を持っているところでございますので、引き続き全力で取り組んでまいりたいと考えております。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。予算はある、ある意味で意識とそれからやる気だということだろうと思います。
最新の昨日のニュースでは、滋賀県の草津市が一台導入し、そして運転手さんを二人同時に訓練するということを始めておりますので、六月の補正予算ということも伺っております。是非とも、小さいことを全体でつなげていくという、是非ともその全体計画をお願いしたいと思います。
大きく二つ目の質問ですが、実はハザードマップの有効性、これ常々、私申し上げてまいりました。
今日、資料二の一と二の二といたしまして、朝日新聞の四月二十四日のコピーを入れさせていただいております。あっ、ここまでハザードマップの活用が来たかということで、私は大変評価をさせていただいておりますが、土砂災害警戒区域のハザードマップのうち、実際に土砂災害の被災をしたそのデータとハザードマップを対応させまして、そうしたら三六%が警戒区域外だった。つまり、そこのところはもう予測ができなかったという、そういう結果でございます。
新聞社さんがこうして言わば二千件近くのデータを分析をして、しかもこれ朝日新聞の第一面に出ておりましたから、多くの方が目に付いたと思います。もちろん研究として、あるいは行政としてデータ作るのも大事なんですけど、ある意味でデータジャーナリズム、新聞さんがこういうことをやっていただくのは大変大事だろうと評価をさせていただいております。
私自身は、実はもう二〇〇〇年代の初頭から、滋賀県知事の時代に水害ハザードマップなどを出しますと、研究者の遊びだ、人心を混乱におとしめる、地価が下がる、公表するべきではないと、かなり大変反発をいただいたんですけど、ようやくこうやってハザードマップを活用できる時代になったということは、日本もエビデンス・ベースド・ポリシー・メーキング、EBPMにつながってきたということで、有り難く思っております。
実は、質問は、今回、石川県の液状化のことについて四月五日にここでも質問させていただきましたが、液状化のハザードマップは水害などよりももっと難しいと、パラメーターがたくさんございます。そして、今回は、石川県だけではなくて、富山県、新潟県など遠隔地でも起きておりますので、国として、自治体の液状化被害マップを整理し、今回の朝日新聞社が土砂災害について分析したような実践的研究が行えるよう、社会的活用に貢献できるよう、防災大臣から国土交通省やあるいは各関係自治体に要望いただけないでしょうかという質問でございます。
○国務大臣(松村祥史君) 全国における液状化被害を軽減していくため、ハザードマップ等を通じて、地域住民に自らの住む地域のリスクを正しく理解をしていただくとともに、地域においてエリア一体となった液状化対策を進めていただくことは、これはもう言うまでもなく重要であると思っております。
熊本地震のときには、やはり古地図が必要じゃなかったろうかなんてことがございました。熊本の液状化は、昔、川だったところでございまして、そういったところを知らずにやはり家を建てられた方もいらっしゃったと。そういう意味では、ハザードマップというのは非常に重要であると思っております。
今回の災害では、新潟市におきましては、北陸地方整備局が作成をいたしました液状化しやすさマップで危険度が高かった地域と今回大きな液状化被害が出た地域がおおむね一致をしていたということで、市の関係者の方から伺ったところでございます。
液状化ハザードマップの精度向上はまだまだ道半ばではございますが、ハザードマップで液状化リスクをより適切に評価していくためにも、国土交通省において、委員が指摘をされているような比較分析や地盤のボーリングデータの収集、公表により、地方自治体の取組を促す取組を進めていくことは私も重要であると考えております。
いずれにいたしましても、様々な災害の経験や調査研究を今後の防災対策に生かすことは重要であり、国としても、地方自治体などとしっかりと連携をいたしまして、地域の防災力強化に取り組んでまいりたいと考えております。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
昔のマップということを言及くださいましたけど、資料三の一から三の二、三の三、三の四と、実は、私もずっと地域研究をし、災害研究してきて、本当に明治時代、ため池だったり川だったり、あるいは内湖だったりしたところがそのまんまハイリスクな被害を受けるんですね。それで、国土地理院さんがこういうふうな形で、自然災害と地形分類との関係や古地図との関係をかなり使いやすくデータ出していただいております。
そこで、国土交通省さんにお伺いしますが、既に公表している液状化マップと突き合わせ、朝日新聞社が行ったような分析をより精度を高くして進めますとこれからの備えにも有効になってくると思いますけど、国土交通省さん、いかがでしょうか。
○政府参考人(菊池雅彦君) お答えいたします。
能登半島地震による液状化被害の範囲については二月末時点で概略的な把握を行ったところですが、更に被害範囲の精査を行うため、引き続き調査を進めているところです。
今後、能登半島地震による液状化被害の範囲と国土交通省北陸地方整備局などが公表している液状化しやすさマップとの比較分析を行うことにより、液状化ハザードマップの精度を高めるための方法を検討してまいります。
また、液状化マップの精度を高めるためには、地形の情報に加えて、地盤のボーリングデータの情報を反映することが重要です。今後、全国でボーリングデータの収集を進め、より実態に即した液状化リスク情報を地方公共団体にお示しすることで、地方公共団体における取組を促進することを検討しております。
国土交通省においては、これらの取組を通じ、地方公共団体が行う液状化予防対策が推進されるよう、しっかりと取り組んでまいります。
以上でございます。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
今のところは過去に起きてしまったデータについて議論させていただいたんですけど、今あるハザードマップをこれからの町づくりにどう活用するか、ここが行政はとっても弱いんですね。つまり、予見的な、転ばぬ先のつえを出そうとするときに、私ももう本当にここは流域治水の推進条例などを作るときに苦労いたしました。予見的なところで言わば手を着けるということが行政では弱いんですが、その一つの例として、昨年の八月十七日、この委員会でも質問させていただきました。個別の地域の事例ですけれども、是非一緒に考えていただきたいんですが、船橋のメディカルタウン構想についてです。これは厚生労働省さんに伺います。
船橋の、千葉県ですね、メディカルタウン構想では、災害拠点病院が、著しく軟弱な地盤で浸水想定区域に今移転する計画が進んでおります。もうすぐに着工に掛かるかもしれないというような状態です。その軟弱地盤の様相は、資料四として、読売新聞でも取り上げていただいております。今はまだ湿地帯なんですけど、ここに、今、高台にある病院を移転をしようという計画です。そして、まさにここは地元の住民の方やあるいは医師会の方も心配をしておられまして、船橋市あるいは千葉県に要望を出しているんですが、なかなか市も県も動けないという状態です。
一方、国土交通省の国総研さんは非常に優れた研究をしておられます。資料六ですね。この資料六では、国総研さんが、災害拠点建築物の設計ガイドライン、案ですが、出しておられます。この設計ガイドライン、せっかく研究をしたのに、これが現場で活用できるようにするにはどうしたらいいかということで、厚労省さんに是非とも、船橋に限らず、この国土交通省の研究所が作られた災害拠点建物の設計ガイドラインが活用できるように、厚生労働省として、災害拠点病院の指定権限は都道府県です、この場合には千葉県です、また建設主体は船橋市なんですが、病院経営当事者である自治体への指導はできないものでしょうか。
厚生労働省さんにお伺いいたします。
○委員長(竹内真二君) 時間が参っておりますので、簡潔に答弁をお願いします。
○大臣政務官(塩崎彰久君) はい。
お答えいたします。
災害拠点病院につきましては、今、嘉田委員の方からお話がありましたように、厚生労働省が定めた指定要件に基づいて都道府県においてこれを指定しているものでございます。その際、立地については、地理的要因や患者の搬送ルートなど地域によって実情が異なるため全国一律の指定要件とはしていないですが、浸水想定区域等に所在する場合には、止水板等の設置、自家発電機等の高所移設、そして排水ポンプの設置等の浸水対策、これを講じることを今年の四月から指定要件として新たに設けたところでございます。
まさに、各都道府県において災害拠点病院を指定する際には、こうした指定要件を基本としつつも、御指摘のガイドライン等も参考にしつつ総合的に判断されるものと認識をしております。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
個別の止水板とかの問題ではなくて、立地そのものが問題だということを地元の皆さんもまた医師会も心配をしておられます。ここのところを、厚労省さんとしても、是非、強力な予防措置ができるように、国交省さん、また県と相談をしていただいて、ここは一千億円に近い大変な投資をするんですね。そういうところで全体の立地についての指導ができるようにお願いいたします。
以上です。ありがとうございました。
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