2024年5月14日【国土交通委員会】確定原稿

2024年5月14日 参国土交通委員会

 

○嘉田由紀子君 日本維新の会・教育無償化を実現する会の嘉田由紀子でございます。
質問の時間いただき、ありがとうございます。
既に吉井議員、また三上議員、そして塩田議員がこの法案の目的を議論していただいておりますけれども、改めて、今日、資料準備しましたので、そこから始めさせていただきます。
言うまでもなく、日本は大変本格的な人口減少時代になり、また、地方が消滅危機ということも社会的に問題となっております。
資料一には、人口戦略会議が出されました人口ビジョン二一〇〇をまとめておりますけれども、人口問題研究所が出した、今二〇二四年ですけど、七十六年後、私たちの孫はまだ生きていると思います、七十六年後の二一〇〇年には、上位、中位、下位の推定で、中位の推定でも六千万人、人口が半分になってしまう、しかも四割ほどは高齢者だということで、大変な人口の急降下の危機感を私たちは持たなければいけないわけです。それは果てしなく縮小し、撤退をし、そして超高齢化と地方消滅が問題になっております。
資料二は、これは国土交通省の国土のグランドデザイン二〇五〇からコピーしたものですけれども、二〇五〇年までに無居住化する地点、この青いところですけれども、居住者がいなくなるというところが大変、北海道、東北、また中部、北陸、九州と広がっております。そういうところで、ポイントは、今までも議論されていますけど、若い、特に若い女性が住み着けるかどうかが地域の人口継承に大変大事なわけでございます。
そういう中で、この広域地域活性化の基盤整備に関する法律、元々これ二〇〇七年、平成十九年ですけれども、そこを今回、二地域居住促進と明示的に示されました。
そこで、この明示的に示された二地域居住ですけれども、まずは、平成十九年、二〇〇七年の元々の法の目的、達成状況について、政府参考人黒田様からお願いしたいんですけれども、地域社会がどこまで自立的に発展してきたか。国民生活の向上、国民経済の健全な発展、また、広域にわたる活発な人の往来、広域の活性化というようなところが元々の法案の一条にあるわけです。ここを、数値的なものも含めて評価をお聞かせいただけたらと思います。
○政府参考人(黒田昌義君) お答えいたします。
委員御指摘のございました今回の改正法案でございますけれども、広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律、これ、平成十九年に、この広域にわたります活発な人の往来を通じまして地域の活性化を図ると。この国土計画におきましては、やはりこの人の往来、活発な交流というのがダイナミズムを生むと、それによって経済、地域の活性化を生むというのが一つの大きな思想になっております。それを広域的な観点から具体化をするための法律として制定をされました。都道府県が中心となって実施をいたします観光であるとか国際会議、またスポーツ競技会などの民間活動の促進に資する基盤整備を支援する制度、これを定めておるところでございます。
これまで、この法律に基づきまして、社会資本整備総合交付金、これ広域連携事業としまして交付金の交付を行いまして、地域の活性化の法目的の達成に寄与をしてきたところでございます。この広域連携事業につきましては、都道府県が計画の目標の実現状況を評価するための定量的手法を設定した上で、その目標の実現状況を評価をし、効果検証を行っているところでございます。
具体的な事例を申し上げますと、例えば、滋賀県と京都府で実施をいたしました滋賀・京都交流圏域におきます観光・スポーツ振興による広域的地域活性化計画では、観光入り込み客数が京都府において約四二%、これ平成三十年から平成三十一年度の計画でございますけれども、目標値が四%のところ四二%増加をしたであるとか、また、三重県と和歌山県で実施をされました世界遺産紀伊山地の霊場と参詣道などの観光資源を活用した紀伊地域の活性化、平成二十七年から三十一年度では、同じく観光入り込み客数が和歌山県におきまして二五%と、目標は一〇%でございましたが、二五%ということで効果を上げているところでございます。
加えまして、国土交通省が毎年実施をしておりますけれども、行政事業レビュー、これにおきまして、大宗を占めます観光に関する計画の評価の結果を用いまして広域連携事業の効果の評価を実施したところでございますが、KPIは、観光入り込み客数の増加率一二%ということで、実績値としては直近はコロナ禍の影響をちょっと受けておりますけれども、コロナ前の令和元年度については二〇%ということで目標を達成しておりまして、効果が着実に上がってきていたというふうに認識をしているところでございます。
○嘉田由紀子君 丁寧にありがとうございます。
効果としては、観光、コロナの影響も受けたとしても一二%、その前でしたら二〇%ということで、観光の増大というのは大変多面的な原因なり要素があると思うんですけれども、事業の効果としてKPIが出ているということ、大変重要だと思います。
そういう中で、今回の法案は、それ以上にやっぱり定住人口なり、あるいはより深く関わる、あえて二地域居住と言っておりますけれども、ここのところを強調しておられるわけです。私は元々地域社会学なりを研究しておりまして、その結果を自治体の政策に反映してきたんですけど、このコミュニティーに入っていただくところというのは大変摩擦が大きいです、もう皆さんよく御存じのように。
ですから、今回、三つの方向、住まいと、それから仕事、なりわい、それと言わばコミュニティーとの信頼関係づくり、そして、特にこのコミュニティーの活性化を含めて、今回の特定居住促進地域を法制化することがどのようにポジティブに評価できるか、ここのところに絞って御答弁いただけますか。
○政府参考人(黒田昌義君) お答えいたします。
この今回の法案を検討するに当たりまして、まさにこの委員御指摘がございましたとおり、この二地域居住者が地域になじんでいくためのサポート、また、この交流の機会の創出による地域内外との新たな連携のきっかけづくり、これが、この関係人口も含めました二地域居住者がちゃんと地域に入り込めるかどうか、これが非常に重要だということで、このコーディネート役が必要であるというような指摘をいただいたところでございます。そうしたことを踏まえまして、この法案の中で、先ほど来御説明しておりますが、市町村が二地域居住の促進に関する活動を行う民間事業者であるとかNPO法人を特定居住支援法人として指定する制度を創設をしているところでございます。
この信頼関係の醸成、これ地域住民と二地域居住者とのこの関係の構築は非常に重要なところでございまして、この特定居住支援法人が、例えば、先ほど申し上げましたけれども、この二地域居住希望者、いきなり来るのではなくて、まず、こうしたコンシェルジュ的な機能を果たします方、また組織に地域のルールを知っていただく、また、町内会の責任者を紹介していただいて、ごみ出しのルールであるとかそうしたことをあらかじめ教えていただくというような形できめ細かい対応をしていただくということが、この市町村の中ではなかなかできにくいことを担っていただくと、そうしたことを私どもとしては期待をし、地域コミュニティーの円滑な溶け込みを私どもとしても支援をしていきたいというふうに考えております。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
問題は見えているわけです。ここをどうやって突破するかということで、少し皆さんで情報を共有させていただきたいと思います。
資料の三の一、三の二、三の三ですが、これは、民間のパーソル総合研究所が行った就業者の多拠点居住に関する定量調査ということで、都市圏と地方圏を行き来する人々の働き方がどの程度それぞれの人々の幸せ感、心理的満足度につながるかという調査をしております。
都市圏と地方圏を行き来する人、五つのタイプが存在すると。一つは多拠点の生活志向、ですから、かなり根を下ろすと。二つ目が地域への愛着、でも、そう根を下ろしているわけではない。三点目が趣味を満喫する。四点目が家族の支援、自分が内在的に問題意識持っているわけではなく、家族に付いてきた。そして五点目が受動的ワークという、この五つのタイプを分けておりまして、このタイプごとに幸せ度、不幸せ度を調べていただいております。
それで、特に資料三の一から見ていただきますと、私たちはやっぱり多拠点生活志向の方を重視したいわけですね、政策的にも。この人たちの幸せ実感高いんですけど、同時に不幸せ実感も高いんですね。ここがかなりポイントだろうと、皆で知らなきゃいけない部分だろうと思います。
その資料三の二ですけど、じゃ、その不幸せ実感の中身が何なのかというと、二つの要素があります。一つは、その地域の協働意識が強い。それから二つ目が、交流する人たちとのお付き合いがつらい。ですから、濃密過ぎるというところがかなり都市圏から来た方たちには抵抗があるということで、そのことを資料三の三では、ある意味で緩い関係だったら幸せ度が高まるというようなことがここで出ていると思います。ここは私たち一つ、私などもどちらかというと濃密な関係を重視する傾向がありますので、この緩い関係、特に若い世代やあるいは女性たちの思いというのはこの辺に隠れているかなということで、情報共有とさせていただきます。
そういう中で、質問三ですけれども、地域社会で、今自治体を預かるところで大変当てにできるのが地域おこし協力隊です。
地域おこし協力隊、もう国土交通省さんもよく御存じだと思いますけれども、つい先日、五月十一日に、日経新聞さんが一面で特集記事を上げておられました。資料四としてコピーをしておりますけれども、総務省さんがこの事業、大変画期的な事業だと思います。制度創設者として、個人的なお名前出すのは恐縮ですが、やはり思いを持った、魂を持った公務員さんがいてくれたからこの事業が動き、継続してきたんだろうと思います。椎川忍さんという方です。
この地域おこし協力隊始めたときの事業の所期の目的、その魂、また活動実績、あるいは実績に対する評価について、総務省さん、お願いできますか。
○政府参考人(山越伸子君) お答えいたします。
地域おこし協力隊は、都市部から過疎地域などへの生活の拠点を移した方が、一定期間、農林水産業への従事や地場産品の開発など地域協力活動を行って地域活性化に貢献するとともに、その地域への定住、定着を図る取組でございます。
平成二十一年度の制度創設以来、十五年を経過いたしまして、当初、年間八十九名だった隊員、三十一団体だった取組自治体数も着実に増加をいたしまして、令和五年度には七千二百人、千百六十四団体となっております。
この地域おこし協力隊は、その制度化によりまして、それまで個人単位での取組にとどまっておりました移住、地域活性化の取組を国と地方自治体が協力して制度として後押しするとともに、地方で生活したことのない若者が移住する際のハードルに対しまして、地域住民や地方自治体が仕事や生活のサポートをセットで行うことで支援が行き届くように設計したものでございます。その結果、国民の価値観の多様化や若者の地方移住志向と相まって、若者などが地方での暮らしに価値を見出し、地方に移住し、自分なりのライフスタイルを見付け、その活動が地域の在り方へも良いインパクトをもたらすような効果も見られるような取組になっております。
活動内容は極めて多岐にわたっております。農林水産業、古民家のカフェ、移住支援など多岐にわたっておりますが、地域づくりには欠かせない存在となっている地域も多いと承知をしております。
また、制度創設以来、令和四年度末までに任期を終了した隊員一万一千百二十三人については六五%が当該地域に定住し、直近五年に任期終了した隊員の定住率は七〇%となっております。同一市町村内に定住した隊員の四六%が起業するなど、地域課題の解決に大いに貢献しているものと認識をしております。
地域おこし協力隊は、隊員、地域、地方自治体、三方よしの関係をつくって地域活性化の取組を行うことを旨としておりまして、地域との信頼関係を構築することが極めて重要でございます。このため、総務省としては、研修やハンドブックやあるいはアドバイザーの派遣などによりまして地域との信頼関係を構築するためのノウハウの提供を行うなど、地方自治体に対して支援をしているところでございます。引き続き、サポート力の強化、図ってまいります。
○嘉田由紀子君 丁寧にありがとうございます。
実は、私たちが若いときに、山の草刈りをする草刈り十字軍というのが始まったんですね。そのときに、ああ、いい制度だなと三十年くらいに思ったんです、前に思ったんですが、それがいよいよこういう形で、最初の数字、八十九人が七千二百人、百倍になっています。そして、三十一団体から千百四十団体。全体、日本、千七百四十一ですから、全体の基礎自治体の六割ほどが受け入れていると。しかも、直近の調査ですと六五%が定住している。もうそのことを思うと、一人ずつの、私、もう活躍、活動している方たちの個人の姿が思い浮かびます。
いい仕事をしていただいたなと、この後もしっかり予算を確保して、そして自治体と連携していただけたらと思いますけれども、その中で、今御紹介いただいたように、農林水産業、あるいは新商品開発、あるいは店舗、中には芸術活動とかまであります、音楽家として。そういう中で、一つ私が関心を持っておりますのは、政治分野への進出です。
この日経新聞でも紹介されておりますけれども、長野県の南箕輪村では隊員出身の村長さんが誕生しておられます。それから、山間部で本当に議員が少ないんです。若い人の政治的な関心が低い。もう皆さんこの辺りは共通課題として持っておられると思いますが、私のよく知っている地域おこし協力隊員、もうお名前も紹介させていただきます、重陵加さんという女性、お二人の子供さんを育てながら、徳島県の那賀町に移住をして、地域おこし協力隊をしながら、町議会議員に挑戦をしました。そして、投票いただいたんです。彼女の活動は、地域の川、森林など、どちらかというと、元々環境、自然環境が大好きで、そして、併せて飲食店の経営、また地域のユズ、そばなどの名産品開発もして、それを毎月毎月レポートにしている。すると、地域の人たちが、あっ、自分たちこんなにいいものがあったんだと逆に教えてもらうということで、重陵加さん、紹介させていただきます。
という中で、質問四ですけれども、今申し上げたように、二地域居住制度、最終目的は定住、活動者、定住者、そして若い人、女性の定住だと思うんですけれども、ここにおいて、特に来た人が幸福度を高める、幸福度が高まらないと、そこに定住の意思は働かない、育たないと思うんですが、この分野に向けて今後どう課題克服をしていかれるでしょうか。その辺りお願いいたします。
○政府参考人(黒田昌義君) お答えいたします。
委員御指摘のとおり、この二地域居住、いろんなタイプがあると思います。やはり、移住をにらんだ、移住の前段階としての二地域居住というパターンもあれば、やはり多拠点を継続しながら居住するという、そういうパターンの二地域居住もあるというふうに伺っております。やはり、都市と地方、また地方と地方、また地方から都市ということで、働き方、暮らし方の変化によってこの二地域居住のスタイルも大分変わってきたというふうに私どもとしては考えております。
そうした中で、やはりこの二地域居住を希望する方が地域にしっかりと溶け込めるかどうか、これ先ほどの委員の御指摘にもございましたけれども、これは地域が望むいろんな祭りであるとか、いろんな新しい仕事の創造であるとか、そうしたこの地域のニーズと二地域居住を希望する方のニーズ、どのような目的で、どのようなライフスタイルを求めてこの二地域居住をするのか、そうしたことがうまくマッチングをすることによって初めてこのウエルビーイングが高まっていくと、個人の生きがいの達成とも合致をしていくというふうに考えられますので、そうした意味におきまして、しっかりと事前の段階における情報の提供、また双方でのやり取りというようなこと、また、入ったとき、入り込むときにおけますうまく溶け込めるようなこの仕組みづくり、こうしたことをこの法案の中で入れさせていただいているというところでございます。
○嘉田由紀子君 かなり事前に準備をということで、熟度が高まっていると思います。よろしくお願いいたします。
先ほど三上議員が、広島では江田島がかなりうまくいっているということで、私、ついつい滋賀県の地元の事例を紹介させていただきます。
十三市六町ありまして、全ての市町がこの二地域居住なり移住者の受入れの窓口をつくっております。その中で、今日、長浜を紹介させていただきたいと思います。
実は、長浜というのは四百年前に秀吉が開いた町で、その時代から子供歌舞伎を演じる曳山祭があります。これ、ユネスコ無形文化遺産にも指定されております。曳山祭は、実は女人禁制です。今も男性だけが関われる。ただし、シャギリという笛のところだけは、人数が減ってしまったので、女の子でもいいかというようなところの評価をして入れていただいているんですけど、ですから、ある意味でここは、男尊女卑の祭りというんでしょうか、ちょっと言葉がきついんですけれども、その伝統を守りながら、かなり新しい動きがあります。それを紹介させていただきます。
まず、資料五には、このコミュニティー、こういう冊子を作っているんですけど、この冊子の中にしっかりと、自治会は実は結構活動が多いですよということで、四百二十九自治会あると。そして、その自治会の中では、御近所付き合い面倒くさい、煩わしいと思う人もいるでしょう、ただ、もし大きな災害が起きたら、御近所の日頃のお付き合いが助け合いの輪を生むでしょうということで、逃げずに説明しております。私も知事時代に、自治会の加入率がどんどん下がっているということを見ながら、災害のときどうしますか、これ大都会のマンションでもそうなんですね、災害のときどうしますかということをかなり強く申し上げました。
そういうところで、実はここに大変ユニークな女性のグループが誕生しております。資料の六、見てください。廃屋のような建物の前に八人の女性が、名前はサバイブユートピア。サバイバル、暮らしで、そしてそれをユートピア、楽しむというサバイブユートピア。名前はイカハッチン。実は、琵琶湖にはおいしい食べ物、琵琶湖八珍というのがあるんですけど、それになぞらえてイカハッチン。イカというのは伊香郡です。律令時代からの伝統的な名称、地域名の伊香を使って、律令時代からですよ、千五百年、そしてイカハッチンという名前にして。
また、この人たちがそれぞれ本当に多彩なんです。ライターだったり、あるいは写真家だったり、それから自分で出版社をつくる一人出版社だったり、また発酵食品を料理したりということで、まさに手に職持った、全てよそ者です、八人の女性が、それもほぼ結婚して子育て中です。こういう自分たちが楽しく生きる仲間をつくり、田舎をユートピアと見立てて、そこで生活、サバイブする仲間づくりをやっております。ここも子供たちがちゃんと生まれ育っていると。仏像の伝統とか、あるいはトチノキの山間部の保全とか、そういうところにも随分エネルギーを入れていただいております。それで、一つの新しいモデルで、NHKが「いいいじゅー!!」というプログラムをやっておりますけれども、あそこでも紹介されております。
斉藤大臣、感想だけで結構ですから、地元の皆さんの支えというかサポートになるような感想をお願いできたらと思います。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 質問の通告を受けて、このイカハッチンプロダクション、またイカハッチンのこの試み、いろいろ勉強させていただきました。二地域居住というより、この八人の女性の方々は移住してこられた方々ということでございますけれども、このように地域と溶け込んで、また地域の発展のために活動されていることは本当にすばらしいことだと思います。今回の二地域居住法案も、まさにこういう方々がたくさん出ていただくということを目標にしております。
ありがとうございます。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
時間ですので、これで終わります。ありがとうございました。

▼当日使用資料

20240514【配付資料一括8枚】国土交通委員会

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