2024年2月16日 参災害対策特別委員会
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。日本維新の会・教育無償化を実現する会の嘉田由紀子でございます。
今回の能登半島地震、二百四十二名もの方が亡くなられてしまいました。心からお悔やみ申し上げますとともに、今なお避難所で苦しい生活をしておられる皆様に一日も早い復興をお祈りさせていただきます。また、サポートしていただいている行政の皆様も、どうぞそれぞれの暮らしを成り立たせながら御支援をいただけたらと思います。
まず、私の方は、先ほど杉尾議員も質問していらっしゃいましたけど、水の問題ですね。能登半島の、まあ遠隔地であるということも含めて、上水、下水、上下水道の復旧状況について簡単に御説明いただけますか。また、上下水道の復旧が遅れている地域の特徴についても御意見をお願いいたします。
○政府参考人(鳥井陽一君) 水道の復旧状況でございますけれども、二月十五日時点で石川県内の約七割が断水を解消して、現在約三万六百二十戸が断水中というところでございます。
被災の大きい能登地方の六市町でございますが、それぞれここは自己水源を持って水道事業を実施しているところでございますが、やはり地震の激しい揺れによって、浄水場の破損や主要な送水管の破断に加えて配水管も広範囲に損傷しておりますので、漏水調査、修繕等に多くの時間を要していて復旧が長期化しているものと認識しております。
○政府参考人(廣瀬昌由君) 下水道についてお答えいたします。
下水道の復旧状況としては、特に被災の大きい能登地方の七尾市、輪島市、珠洲市、志賀町、穴水町、能登町の六市町におきまして、管路内に堆積した土砂を取り除くなどによって流下能力、流下機能を確保した管路延長の割合は、二月十五日時点で全管路の六三%となっております。
これらの地域は、人口密集地域が少ないことなどから汚水処理における下水道のシェアが比較的小さい地域であるというふうに認識しておりますけれども、半島であることからアクセス路が限られていること、積雪地域であることなどもあり、復旧に多くの時間を要しているものと認識しているところでございます。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
上水道、下水道がこの四月から国土交通省に統合されますので、またその辺の水循環の在り方については最後にまとめて質問させていただきます。
二点目ですが、創造的復興ということが、ちょうど阪神・淡路大震災のときに当時の貝原兵庫県知事が出されました。これは、言うまでもなく、災害発生に備えて、過去、今まであったものを再現するだけではなくて、より強靱で再生力を埋め込んだ復興ということでございます。一月十七日に、私たち教育無償化を実現する会として石川県の馳知事を訪問いたしました。個別にいろいろ御要望いただいたんですけど、やはり創造的復興ができるように、石川県としても未来に希望の持てる復興をしたいとおっしゃっておられました。
それで、この後はかなり御提案なんですが、この阪神・淡路大震災からちょうど来年で三十年になります。兵庫県の方では、この三十年を言わば一つの契機としまして、関係自治体、また海外の関係機関などにも呼びかけて復興サミットを計画しているということでございます。ちょうど復興サミット、二〇二五年は、阪神・淡路大震災から三十年であると同時に、大阪・関西万博の開催される年です。
私も、琵琶湖・淀川水系全体の一体感を求めるために関西広域連合をつくるということを兵庫、大阪、京都、滋賀と力を合わせてきたんですけれども、今、能登半島地震の問題があるからこの万博は少し考えたらどうかという意見もございますけれども、私は逆に、この大阪・関西万博を一つのきっかけとして、政府のこれからのよりポジティブな創造的復興をなさったらどうかと思っております。
既に御存じのように、大阪・関西万博は、「いのち輝く未来社会のデザイン」、ここには、命を知り、育み、守り、紡ぐ、広げる、高める、磨く、響き合わせる、八つのアプローチが提唱されております。そういう中で、何よりも命をつなぐことが一番大切なのは災害のときだろうと思います。
今まで、この関西万博の中には、災害のときの命のつなぎ方ということは余り議論されていないようですが、この際ですから、関西万博の中に、この災害時にどう命をつなぐのかということを、緊急ではありますが一つミッションをつくったらどうでしょうかという提案でございます。
既に動き出しているプロジェクトですから、今更追加はできないと言われるかもしれませんが、私自身は災害の歴史をずっと研究者としてもやってまいりました。日本は、奈良時代から災害の記録が文字化されて、そこで人々がどう対応したかということが千五百年も記録になっているんです。これ、アメリカにもヨーロッパにもありません。まさに万博の大きなテーマとして、この歴史、災害に対応する歴史ということを一つ入れられたらどうでしょうかという提案です。
それから、今後三十年間に七〇%の確率で起きると言われる南海トラフ巨大地震です。津波、液状化の影響どうなるのか、道路が寸断されたらどうなるのか。万博会場を舞台に被害想定を見える化して、技術的、社会的に災害対応のノウハウをこの際展示解説をして、国際的に提示する場としたらどうでしょうか。
実は私、昨日も京都で環境系の国際会議があったんですが、こういう話をしましたら、特に途上国などは、それこそ大臣も人吉で大変な水害に遭われたということで、私も二〇二〇年の七月四日の水害の後お一人ずつの被害を聞かせていただいたんですけれども、この災害対応というのは今途上国がとっても気にしている温暖化対策でもございますので、こういうこともポジティブに万博会場の中に対応を見える化するということを入れられたらどうでしょうか。
そのためには、急遽、内閣府あるいは万博の事務局本部に創造的復興とサミット開催というような専門担当を配置し、世界的にも災害が多い日本での災害対応の歴史、今後の創造的復興の発信の舞台となさったらいかがでしょうか。今まで全くそんな発想もなかったということはあるかもしれませんが、是非とも、災害を自らが御経験なさってきた所管の大臣としての御意見をお伺いできたらと思います。
質問が長くなりました。失礼しました。お願いします。
○国務大臣(松村祥史君) まず、委員御指摘のとおり、大阪・関西万博が開かれる二〇二五年は阪神・淡路大震災から三十年目の節目を迎える年に当たると承知をいたしております。この機会にやはり防災や減災について考えていただくことは、御提案のとおり、大変重要なことだと私も認識をいたしておりますし、非常にいいことだと思っております。
特に、この役割を九月十三日に担いまして、自分も被災をしましたけれども、経験をいたしましたけれど、どうやったら国民の皆さん方にやはり自助、共助、公助の連携が取れていくか、常日頃から考えてもなかなかうまくいかないなと、こんなことを考えておりました。
内閣府でも「ぼうさいこくたい」というのを開催しておりまして、そこで、それぞれにいろんな知見を有する方々のマッチングであったり、一般の方々が参加をいただいて、ああ、なるほど、私の地域はこんな災害があったりするのかと、だから備えようと、こう思っていただく非常にいい機会だなと。それをこの万博で提唱するというような考え方は非常に重要なことだと考えております。
創造的復興サミットを開催を検討されておられますし、また、復興庁及び経済産業省では、万博において東日本大震災からの復興の姿を世界に発信する企画が検討されているものと承知をいたしております。
内閣府といたしましても、今回の能登半島地震への対応も含めまして、我が国の防災、それから減災の取組の発信や、災害教訓の伝承につながる大阪・関西万博の開催に向けて、関係機関と何ができるのか、連携を検討してまいりたいと考えております。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
関西には、実は立命館大学にこの災害歴史を専門にやってきた部署もございます。
それから、実は、災害対策は、私も知事時代から苦労しているんですけれども、見える化して、それを自分化してもらわないといけない。まさに自助、共助、公助ですね。
万博は、日本だけではなくて世界中から集まってくださるんですから、その見える化と自分化が同時にできる大変大事なチャンスになるだろうと思っておりますので、松村大臣ならではの、復興を万博とつなげるということの前向きな御答弁をいただきましたけど、ただ、今まで議論されていませんので、いろいろできない理由を行政の方からも言われるかもしれませんが、こうして、能登半島地震があるからもう建築やめろというような御意見、それはそれで建築の部門で大変ですから尊重しなきゃいけないとは思うんですけれども、ここを逆に次のステップに、災害の見える化と自分化ということを是非ともお願いをしたいと思います。
三点目の質問なんですが、これも少し中長期的な課題ではあります。
今まで公共事業は、人口増大時代に、高度経済成長期、どんどん大きく広く遠い施設になってまいりました。上水道でもそうです、下水道でもそうです。また、電力供給も広域化、巨大化を進めてきました。
一方、今、人口減少時代、これほど出生率が上がらないとなると、幾つかの見通しにもよるんですけど、世紀替わりには日本の人口が半分になってしまうかもしれないというような中で、いざ、地域別に、より施設を小さくして、狭い領域でより近い施設で災害のときに復興しやすくするというようなビジョンが必要ではないかと提案をさせていただきたいと思います。
実は、私自身もずっと水の歴史、上水道、下水道の歴史を明治以降やってまいりましたけれども、それこそ下水道が入ったのは都市部では本当ここ一世代ですね。それまでは、私たちは、私も農家でしたからぽっとん便所でした。で、そのぽっとん便所で肥料にする。結果的にはとっても合理的な、汚水を出さないという暮らしを日本は千年、千五百年つくり上げてきました。同じように、水も井戸水や湧き水や地域の水、で、水道が入ったのも本当にここ一世代です。
という意味で、この近い水、近いトイレ、こういうことを改めて、災害対策も含めて、また人口減少時代にビジョンを作っていただけないでしょうかというお願いでございます。
今日は厚労省さんと国土交通省さんお越しですけれども、この四月にこれまでの水道政策が国交省にマージされます。そうすると、上水道、下水道セットで循環型社会をつくることの一つの大きなモデルチェンジができるのではないかと期待をしております。
それからもう一つ、財政問題がございます。私も現場で上水道、下水道引いてきましたけれども、本当に、言うまでもなく、管渠がコストの半分占めるんですね。特に、公共下水道が流域下水道になりますと、延々と田んぼの中を管渠引くということで、ここも高コストです。それを三十年、四十年前に引いて、今老朽化しています。その老朽化したところを全て管渠を再生するというのは、財政的にも、また効率的にも非現実的ではないかと思っております。
そういう意味で、この辺り、いざというときの大きな仕組みづくり、ここはそれぞれの担当にお答えいただくのか、あるいは大臣にお答えいただくのか、既に御準備いただいていると思いますので、お願いいたします。
それから、ある意味で、この緊急対応として日常的に準備してきているのに、今回トイレ、トイレトレーラー、これは、具体的にお名前を申し上げますと、石川淳哉さんという人が元気なトイレプロジェクトというのをつくり、本当に個人の努力で、今まで二十か所ほどの自治体にそれぞれ日常的に使ってもらう。よく簡易トイレがイベントのときにありますけど、ふだんからこのトイレトレーラーはイベントのときに使えるんですね。で、使ってみていただいたら、とっても優れ物です。太陽光で部屋も明るいですし、それから障害者の方も入れると。一台のトイレで千回使えるということでございますので、このトイレトレーラーは大変有能なものだと思います。
日常的に災害対応ができるような暮らしの生活防災、それからもう一つ、これは滋賀県知事時代に普及したんですけれども、かまどベンチ、ふだんはベンチです、公園の横に。でも、それをちょっと板を開けたらそこに大きな鍋を置けるようになります。例えば、自治会なんかは、月一回みんながそれこそ豚汁作って地域のコミュニティー活動に役立てようと。
ですから、災害時だけではなくて日常的にコミュニティー活動を元気にするというようなことも埋め込んでいくことが防災には大事だろうと思います。これは、京大の矢守先生が生活防災と言っております。この生活防災の基本は、コミュニティーがお互いに日常的に助け合う。運動会をやる、お祭りをやる、そのときにトイレトレーラーも使い、そしてかまどベンチも使う。ふだん使っていると、いざ災害のときに役に立つということでございます。
それぞれ担当の方、また防災大臣、このようなとってもシステム変更が必要ですから、なかなか個別の部局ではできないかもしれませんが、考え方などお聞かせいただけたら幸いです。お願いいたします。
○国務大臣(松村祥史君) お答え申し上げます。
水についての循環型社会の形成、こういったお考えであったかと思いますが、今回の能登半島地震におきましても、浄水場や上下水道の管路等の甚大な被害によってやはり水の確保に課題が生じました。そういう意味では、委員御指摘のように、災害時の井戸の活用など地域の水資源を確保、利用していくことは、防災の観点からも私は重要だと思っております。
現実、私の熊本では、発災後、災害井戸を掘られ対応をされる自治体も出てきておりますし、実は、これは災害井戸を掘っていただく自治体には実際は補助が出る仕組みになっておりますが、残念ながら、やっぱり被災をしてみないとなかなかその重要性に気付かれないという点もございます。
今回、厚労大臣にもお話をして、熊本でやりました、透析の方々には水が必要でございますので、一日の日に厚労省に指示をいたしまして、石川県内の透析をやる病院全てを調べてくださいということで初日に対応させていただきました。そうした視点で考えると、病院にもこういった災害井戸、あってもいいんだろうと思います。
そういう意味では、水の重要さ、飲み水はプッシュ型支援で昨今は二日目か三日目には必ず届きます。しかし、生活用水については、なかなかこれはうまくいかないと。それが今日の石川の現状でもあろうかというふうに捉えております。
そういう意味では、水循環に関する施策については水循環基本法の下で基本的な方針を示しているところでございますが、その中でも、例えば身近な水源として多様な用途に利用される地下水について、地域の地下水を守り水資源として利用していく必要があるとされるなど、地域での健全な水循環が重視されているところでもございます。
今般の地震の教訓も踏まえまして、水の確保の観点も含めて、地域での健全な水循環の確保に私は私なりの立場で取り組んでまいりたいと考えております。
○委員長(竹内真二君) 申合せの時間が参りましたので、質疑をおまとめください。
○嘉田由紀子君 はい。ありがとうございます。
水循環基本法ができて、なかなか具体の政策に行かないんですけど、熊本では熊本サミットに上川大臣が行ってくださいましたので、まさに水循環を考える拠点の熊本から、また日本中の地域地域の水循環、新たにできる国土交通の、水道とマージしたところでの大きな仕組みをお考えいただけたらと思います。
以上で終わります。ありがとうございました。