2024年4月18日【国土交通委員会】確定稿

2024年4月18日 参国土交通委員会

○嘉田由紀子君 ありがとうございます。日本維新の会・教育無償化を実現する会の嘉田由紀子でございます。
今日は、令和二年七月豪雨により球磨川が氾濫を起こしました、そこでかなり死者も出て被害があったんですけれども、それに関しまして前半質問させていただきます。また、後半には、肥薩線、災害で被害を受けた肥薩線の再生ということも、今回、四月三日に国の方で方針を出していただいたということですので、そちらもお願いをしたいと思います。
まず、質問一ですが、二〇二二年の五月十一日、ちょうど二年前です、参議院の災害対策特別委員会で、私の質問に当時の国土交通省水管理・国土保全局長井上智夫様から、二〇二〇年七月四日早朝、山田川、これは人吉市の球磨川本流に流れ込む河川ですけど、支流です、山田川からの氾濫は本流球磨川からのバックウオーターであり、もし上流に川辺川ダムができていたら、地形的には球磨川の上流に川辺川があるんですけど、四十キロほど上流ですね、この川辺川ダムができていたら、ダムの水位低下効果が発揮され、山田川からの氾濫はないという結論を出したということでございます。これにつきましては、地元の皆さんが大変疑問を持っております。まず、第一点、その点をお伺いしたいと思います。
県の方が、熊本県ですね、実は、一級河川球磨川は国管理ですけど、入り込む支流は県管理なんですね。それで、その県の方が出している球磨川水系河川整備計画に基づく山田川における取組みの六ページでは、流水型ダムが整備されたらピーク水位が二メートル低下して氾濫が発生しないということで、資料一、今日、皆様と共有させていただいております。資料一を出しております。
ここのシミュレーションを見ていただきますと、特に図の右側の方、流水型ダムによる水位低減効果で山田川が氾濫しないということを根拠として言っているんですけど、これを基に、二年前、井上智夫国土保全局長は答弁をしてくださったと思うんですが、山田川というのは町中に入ったところで急に狭くなるんです。それで、実はこの断面図だけではなくて、平面図とか河道の流量図もないと地元の人たちは納得をしません。
ここで、熊本県の管轄ですが、この平面図やあるいは流量図のデータ取り寄せてくださったでしょうか。局長さん、お願いいたします。
○政府参考人(廣瀬昌由君) お答え申し上げます。
山田川が人吉市街地を流下する区間は、委員御指摘のとおり熊本県管理区間になりますが、県ではこれまで、令和二年七月豪雨の際の河川水位を数値計算で再現した水位縦断図、先ほどの図面になるかと思いますが、や、河川整備計画の付図として平面図を公表しているというふうに承知しているところでございます。
本日、委員から御指摘いただきましたそのデータにつきましては、特定ができておらず、また、どのようなやり方で提供するのかも確認させていただく必要がありますけれども、河川管理者が保有するデータにつきましては県と連携して対応させていただきたいというふうに思います。
○嘉田由紀子君 対応させていただきたいということは、これ、以前から質問出していたんですけど、まだ国として入手できていない、あるいは作られていないということですか。
○政府参考人(廣瀬昌由君) 済みません、先ほど申しましたように、委員の方から言っていただいている平面図や河道の流量図というのが特定ができてございませんでしたので、どのようなものがあるかは今調べておりますけれども、改めまして、委員が御指摘いただいているものを確認させていただきまして対応させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○嘉田由紀子君 分かりました。では、宿題として、次回どれくらい時間が必要かということも相談させていただきます。
私自身もそんな無理筋なことは申し上げません。自分も知事として河川管理大変苦労してきた経験がありますから、無理筋は申し上げませんが、地元の方たちが、何よりもここで溺死者が出ておりますので、納得ができるデータが欲しいと思います。
実は、資料二を御覧ください、地元の住民の方は自分たちでこういう資料を作っております。山田川は、実は中上流が広くて、そして町の中に入った途端、平面が狭くなるんです。この図を見ていただきますと、元々が自然状態で流れていたところに、江戸時代の相良藩の河川改修、それから明治、大正、昭和と、特に昭和になって、この図を見ていただきますと、染戸橋、JRのくま川鉄道ですね、それから泉田橋、これが川幅五十五メートル本川があり、鬼木川が十四メートル、これが合わさったところで三十五メートルになってしまうんです。もう物理的に想像してみてください、六十メートルあったのが三十五メートルになってしまう。しかも、橋桁がたくさんある。その下もずっと三十メートルとか、出町橋というところでは二十九メートルです、幅が。
ということで、地元の方たちは、実は今回、資料三にありますように、山田川が泉田橋のところで氾濫をしていたということで、地元の方がたくさんもう五時過ぎから写真を写しておられます。ですから、この氾濫が、しかも、まだ当時、球磨川は水位が余り高くなかったんです。二メートル以上あったんです、人吉大橋の下。ですから、ここがバックウオーターだということは地元の方たちは全く納得をしておりません。それを資料二、三から見ていただきたいと思います。
そして、資料四ですが、人吉市内で亡くなった方の場所、標高図に落としたものですけれども、山田川沿いの大工町と紺屋町、ちょっと紫の点ですけど、大工町のところは八十代の漬物屋さんのおじいちゃんです。それから、紺屋町のところは、スナック経営をしておられて、お二人とも朝方七時から八時の間に溺死しておられるんです。一人ずつ、実は、私たちは地元の人と一緒に五十人の溺死者全てを調べて、本として公表しております。ここについては、私どもは、死亡の、溺死状態というのは精緻化して調べさせていただいております。
この上のような住民の皆さんの証言、県のデータ、チェックした後であっても、まだ山田川の氾濫は球磨川からのバックウオーターという主張を続けるのでしょうか。国土交通省さんの答弁をお願いいたします。
○政府参考人(廣瀬昌由君) お答え申し上げます。
いわゆるバックウオーター現象は、支川が流れ込む先の本川の水位が高くなり、その影響を受けて、支川、本川に合流しにくくなった支川の水位が高くなる現象のことを指してございます。
令和二年七月豪雨の際には、球磨川の支川でも大規模な氾濫が発生しました。このため、球磨川の支川のうち、規模の大きい山田川、万江川を対象に、カメラ映像、沿川住民の証言、氾濫水の痕跡などを基に浸水状況を整理し、数値解析を用いて河川の水位計算や氾濫シミュレーションを行い、現象の検証を行いました。その結果、球磨川の本川の水位の上昇に伴い、支川の水位の縦断勾配が緩くなり支川の水位が上昇したため、球磨川の本川より早く支川の合流点より上流の区間から越水が発生したものと推定しております。
大変恐縮でございますけれども、本日、今日、委員の方から配付いただきました資料一の左側の、一番左側の図面でございますけれども、その図面が今私が申したことを整理させていただきました国土交通省の資料かというふうに思ってございます。
また、この現象につきましては、球磨川水系河川整備計画の策定に当たりまして、球磨川水系学識者懇談会において改めて専門的な知見から、専門的な観点からも確認をいただいております。
このように、令和二年七月豪雨における球磨川の支川山田川の氾濫要因としては、客観的な事実に基づいて科学的に確認させていただいた結果、いわゆるバックウオーターが、バックウオーター現象が支配的であったというふうに考えております。
○嘉田由紀子君 バックウオーター現象が支配的だった。全てだったという答弁ではないんですね。
それで、ここは先ほど、資料一ですね、県の方がちゃんと平面図なり河川流量図、これを、本川の水位はまだ上がっていなかったという証言も地元であるわけです。そこのところで、これが、例えば紺屋町と大工町の溺死者の人の要因もバックウオーターなのかというようなことも含めて、ここはまだまだ県のデータとともに検証させていただきたいと思います。科学的、客観的という言葉に、私どもは、私も科学者の端くれですから、ここはきちんと厳密に検証させていただきたいと思います。
そういう中で、この後、山田川で、流域治水で河川整備の改修をしていきますよね。そのところで、今日は予備的な質問として、これから地元の住民の方が納得をしないと、河川の拡幅、これには私有地の言わば買収が必要です。御存じですよね、山田川の、本当に私有地、あそこ何十軒も関わってまいりますから、この県の方の、あるいは国の方の整備計画に合意しないと、私有地、者の人たちも納得して例えば用地買収に協力していただけないと思いますので、この辺は地元の住民の皆さんの納得とともに、今後、河川の、山田川の河川改修も流域治水として進めていただけたらと思います。
それから、実は、次の質問二ですけれども、第四橋梁問題ということをよく聞いておられると思います。
ここは、資料五に出しておりますけれども、この第四橋梁問題、ちょうど人吉市の上流で、川辺川が球磨川に合流するところで、朝方、七月四日ですね、七時から九時ぐらいの間に大変木材がたまった。その木材は、実はこの合流点のところに貯木場があって、この貯木場が危ないよと住民の人たちはずうっと指摘していたのに、貯木場を放置をしていた。だから、大雨のときにその木材が集まって、そしてこの第四橋梁というところで一気に、言わば副ダムのようになってしまって、それが崩れて、午前九時くらいに第二波の浸水が起きて、それが町の中心部の浸水になったということを地元の皆さんが証言をしておられるんですけれども、ここのところ、この第四橋梁問題について、国土交通省、どう把握しておられますか。
○政府参考人(廣瀬昌由君) お答え申し上げます。
令和二年七月、球磨川豪雨の際、人吉市街地での氾濫につながった、人吉市街地での氾濫につながった要因は、球磨川第四橋梁に大量の木材が引っかかって河道が塞がれ、橋梁の流失に至り、下流に流れる流量が一気に増加したことによるのではないかというふうに御指摘をいただいたというふうに認識をしたところでございます。
そうした現象が発生した場合には、今申しましたように、下流で急激な水位の上昇が発生するというのが一般的でございますけれども、球磨川第四橋梁の下流約四・七キロメートルにある水位計の観測データではそうした水位変化が確認されておらず、下流の急激な水位上昇を伴うような現象が発生した可能性は低いというふうに考えております。
このような国の見解につきましては、球磨川水系河川整備計画の策定に当たり、球磨川水系学識者懇談会においてお示しをしているほか、水位計のデータについても八代河川国道事務所のホームページで公開しております。
人吉市街地の氾濫域の広がりや浸水深につきましては、数値解析を用いて河川の水位や氾濫シミュレーションを行い、整理、把握した基礎情報と照らし合わせることで現象の再現性について確認を行っており、十分検証を行っているというふうに認識をしているところでございます。
○嘉田由紀子君 実は、危機管理水位計、壊れてしまったんですよね。そのこともよく御存じですよね。そして、水位計が壊れたからそれを、また、橋の上に水が乗っていますから、水位計は橋の下です、橋の上に水位計はありません。この辺りは地元の皆さんはちゃんと証拠を持って指摘しているんですが、それに対して国の方は合意してくださっていないということ、これはまた次、続けていきます。
実は、今日、一番大きな問題は、上流の川辺川ダムの費用便益効果と溺死者の低減効果です。この費用便益効果は、これも二〇二二年十一月八日に質問させていただきました。事業全体のBバイCは〇・四。〇・四ということは、一・〇投資しても〇・四しか事業全体では効果がないということです。しかし、残事業が一・九あるので、残り残事業を進める。これまで二千二百億円投資しています。残事業二千七百億円です。両方でダム一つに四千九百億円、どれほど巨額のダムか御理解できますか。四千九百億円です。
その穴空きダムですね、治水専用穴空きダムです。ここに対しては、〇・四という数字は、幾ら学識者会議で継続と審査結果いただいても、残念ながら学識者会議は少なくとも過半数がイエスを言う人で集められていますので、私は、この学識者会議が言ったことが全部科学的に、また客観的に正しいとは理解をしておりません、これは社会現象として。
そういう中で、全体が〇・四というのは、国民、納税者、どう説明するんでしょうか。民間感覚でいえば損切りというのがあると思うんですけれども、民間事業にお詳しい皆様の御意見も逆にお伺いしたいところですが、ここをいかに国民に、納税者に納得してもらうか、国土交通省さん、お願いいたします。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 川辺川ダムにつきましては、昭和四十二年度に貯留型ダムとして事業着手し、以降、ダム用地の取得費用などとして令和三年度までに約二千二百億円の支出を行いました。
お尋ねの二千二百億円投資した段階でのBバイCにつきましては、事業再評価において、ダム事業の便益は河川堤防や道路と異なり事業が全て完了した時点で発現するとされていることから、二千二百億円投資した段階、すなわち川辺川ダム建設事業が完了していない段階におけるBバイCを算出することは適当ではないと考えております。
川辺川ダム建設事業につきましては、直近では令和四年度に球磨川水系河川整備計画の策定に合わせ事業再評価を行いました。この際の費用便益分析、いわゆる投資効率性については、残事業に対するBバイCが一・九、事業全体に対するBバイCが〇・四となりました。
事業継続の判断につきましては、有識者による検討を踏まえて策定した公共事業評価の費用便益分析に関する技術指針におきまして、事業再評価時点における残事業の投資効率性が一以上であれば、事業全体の投資効率性が一未満であっても基本的に事業継続とするとしております。
九州地方整備局において、このことを踏まえたBバイCの分析に加え、事業完了による想定死者数の低減効果なども算出し、熊本県知事からも意見をお聞きするとともに、球磨川水系学識者懇談会にお示しし、総合的に御審議いただいた結果を踏まえ、国土交通省として事業継続を決定したものでございます。
国土交通省としましては、引き続き、事業再評価を適切に実施するとともに、事業への理解や協力が得られるよう、ダム効果などを、ダムの効果などを地元住民の方々に丁寧に説明してまいりたいと思います。
○嘉田由紀子君 質問の半分しかまだ行っていないんですが、時間的にもかなり迫っておりますので、ありがとうございます、丁寧な御回答をいただいたので、時間が過ぎてしまっているのですが。
実は、穴空きであっても、ダムは建設途中から、あるいは、あと作動、稼働してからも、環境への影響は大変大きいです。言うまでもなく、日本の河川法、明治二十九年は治水目的でした。昭和三十九年はプラス利水、高度経済成長期。そして、平成九年に、治水、利水プラス環境保全が河川法の目的に入ったんです。残念ながら、この環境保全のところが全く無視されているんですね、この川辺川ダムの建設のところで。
それで、川辺川ダムの建設では、まず、日本一の清流、川辺川の水環境が破壊されます。また、日本でも尺アユという大変有名なアユ漁が影響を必ず受けます。実は、私もそれこそアユの漁師さんとも仲がいいので、例えば二年前の洪水でも、一年、河川が濁水で全くアユが捕れないと。建設をする前からそういう状態です。川下り、ラフティングなど観光業、それから、建設中、建設後も大きな言わば環境への影響があります。この自然環境破壊の貨幣換算化、あるいは環境事業影響の貨幣換算化、これも、河川法に環境保全を目的に入れた以上、マイナスの貨幣換算というのもBバイCのところで考えるべきだと思います。
それで、私も知り合いたくさん環境経済学の専門家がおります。これはお願いです。宿題として、五千ページの環境アセスメント、見せていただきました。廣瀬局長もよく御存じだと思います。五千ページです、環境アセスメント。これ、何千万研究費出たんだろうと。いいですよ、投資するのは。ですけど、そこで自然環境破壊の貨幣換算化、あるいは環境事業影響評価の貨幣換算化、やれていないんです。今日はお願いです。これを是非、この後何か月か、あるいは何年掛かるか分かりませんが、地元の皆さんの強い要望なんです、失われるかもしれない環境評価はきちんと貨幣換算化していただきたいということです。
廣瀬局長、どうでしょうか。
○政府参考人(廣瀬昌由君) お答え申し上げます。
ダムの建設に当たっては、必要な機能を確保しつつ、事業による環境への影響をできる限り少なくすることが重要であると認識しております。
そのため、川辺川ダム、流水型ダムにおきましても環境影響評価を行い、事業による環境への影響について詳細に調査、予測評価を行って、その結果、影響が生じるおそれがある場合には、必要に応じて専門家等の助言を受け、環境保全措置等に取り組むこととしているところでございます。その環境保全に係る費用については、事業評価における費用に計上しているところです。
一方で、環境の価値の評価手法につきましては、一部で研究が進められていることは承知しておりますけれども、公共事業の実施に伴う環境への影響に関しては、現時点では貨幣換算することが難しいというふうに認識しているところでございます。
○嘉田由紀子君 国土交通省さん、せっかくこれだけ日本だけではなくて国際的にも環境保全というのが課題になっているんですから、是非ここはチャレンジしていただきたいんです。環境保全の貨幣価値ということも出していただけたらと思います。
それから、あと一分しかないんですが、これも、二〇二二年の十一月八日、参議院の国交委員会で斉藤国土交通大臣が、川辺川ダムができた場合、想定死者数を百二十人から一人に減らせる、つまり百十九人の命が救えると答弁していただいているんですが、私どもが、資料六として出させていただいておりますけれども、人吉市で二〇二〇年の七月四日に二十名亡くなりました。そして、溺死をした時間、先ほど大工町と紺屋町の話を出しましたけど、川辺川ダムがあったとしても、このとき十八名の方は救えていないと。内水氾濫、あるいは上流からなんですね。
ということで、この百十九名の命が救えるということ、この根拠を是非大臣に教えていただきたいんですけれども。
○委員長(青木愛君) 時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。
○政府参考人(廣瀬昌由君) お答え申し上げます。
水害による想定死者数を推計する場合には手引を用意しておりまして、浸水想定区域内の人口であったりとかその階数、住居の階数等を考慮して、その年齢等も考慮した死亡率を算定し、さらにその避難率と、現場での避難率も考えて想定死者数を出すという手引を用意しております。
川辺川の流水型ダムの効果といたしましては、この考え方に基づきまして、ダムが完成した時点での河道の状態で、河川整備計画の対象規模の洪水に対して、ダムを建設した場合と建設しなかった場合の浸水区域や浸水深を氾濫シミュレーションで算出し、それぞれの想定死者数の差を効果としているところでございます。
○嘉田由紀子君 では、その途中経過も含めて公開をしていただきたいと思います。これはお願いです。
もう時間が来ましたので、肥薩線のところまで入れませんでしたけれども、是非、その溺死者の数を減らせると、これは私どもはもう政治家としての一番の狙いです、命を救うということが、ですから、そのデータの公開もお願いいたします。
以上です。ありがとうございました。

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20240418【配付資料一括8枚】国土交通委員会

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