Facebook 2025年5月17日 離婚や連れ去りで苦しむ当事者が主人公の「事実無根」という映画 

5月16日、午前の参議院本会議をおわって午後には、来週火曜日の法務委員会の質問をつくりあげ、急ぎ新宿まで映画を見にいきました。5月5日のオレンジパレードの時に、離婚や連れ去りで苦しむ当事者が主人公の「事実無根」という映画のチラシをもらった。監督の柳裕章さんも子どもに会えない当事者で、それゆえ精魂こめた映画という。一言でいうと、昨日出版された嘉田由紀子著『子どもは誰のものか?離婚後「共同親権」が日本を救う』という離婚によるしわ寄せは子どもに最も大きく現れる、それをどう和らげるか、というテーマと本質が通じ合う映画でした。5月17日。(1500文字です)。
ネタバレになれない程度に、紹介をさせてもらいます。舞台は京都タワーが見える京都の下町。京都の下京区、東本願寺近くの公園横にある小さな喫茶店。そのマスターの星孝史は15年前にDVと言われ妻に娘を連れ去られ、離婚。月一回の面会交流もゆるされず、今は娘の居場所もわからない。そんな星のところに18歳のアルバイトの少女、大林沙那が応募してきて採用。
その沙那に近づいてくる喫茶店の横の公園で野宿する男性が明彦。明彦は、元大学教授でセクハラで首になりホームレスとなる。その明彦が沙那に近づいてくるので、マスターの星が問い詰めると、 沙那 は、明彦の義理の娘という。明彦の妻の連れ子といい3歳の時からいっしょに住んでいたが、セクハラ容疑で明彦が大学教授を追われ、妻子をおいて家出をしてから出会っていないという。
星孝史は今も、15年前に琵琶湖畔で娘と水遊びしていた2007年夏のビデオをみて、なつかしんでいる。3歳の時の娘が浜辺でおぼれそうになったのを助けたのも孝史だった。ただ、3歳以降、出あえていない。
喫茶店のマスターの孝史は明彦を彼の義理の娘の沙那に会わせてあげようと奮闘。結局、喫茶店で明彦と沙那 は出会って名乗りあう。そこで星は 沙那 の名前が、履歴書では沙耶となっていたが、本名は悠美だったと知る。そこから星と悠美のつながりがみえてくる・・・。ここではこれで止めておきます。
最期の場面は一転して、琵琶湖岸の松林。8月27日の悠美の19歳の誕生日。そこで星と大林が悠美の誕生日の準備をしている。そこに若い恋人の佐伯を連れて悠美の実の母親、沙織が登場する・・・。
実はこの「事実無根」の映画では、事実とは何か、嘘とは何か、それで人生がいかに翻弄されながれ、人と人のつながりがこわれたり再生されたりしていくのか、半分はコントのごとく笑いもあり、また映像も繊細な下町の雰囲気から、琵琶湖岸の昼と夜、そして大林が教授をしていた大学は京都精華大学だ。私自身びっくりした。あまりに馴染みの場所ばかりだ。琵琶湖岸は大津市北部の私の暮らす比良浜から数キロ南の青柳浜です。
監督の柳裕章さんに映画のあと、ご自分も子どもさんに会えていないつらさを語ってくださいました。その自分のつらい経験と思いをいれこんで、脚本の松下隆一さんが、事実をつきはなして、「事実無根」というタイトルにしたという。家族の存在の裏にひろむ嘘と事実、そして離婚あり、ステップファミリーあり、DVあり、セクハラありで、今の日本社会の家族問題の縮図のようです。そして男と女、父と母の出来事にひそむ「事実無根」ともいえる家族のものがたりの一番の犠牲者は子どもではないか、という。
私が今回出版した離婚と家族制度に伴う本も、離婚と結婚、再婚をくりかえす親の元での一番の被害者は子ども、と主張させてもらいました。新しい出版本については明日以降、紹介させてください。
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