12月14日(土)「北陸新幹線大阪延伸ルート」についての勉強会が無事おわりました。小浜京都ルートを推進する自公与党PTが、西脇京都府知事、松井京都市長、吉村大阪府知事に意見を聴くのが12月13日と計画されていたので、急ぎ研究者有志勉強会が開催されましたがちょうどタイミングよかったです。短時間の周知の中で、今日は55名の参加者がありました。講演をいただいた皆さん、また会場で意見交換に参加くださった皆さん、ありがとうございました。(1700文字、また長いです)。
12月13日の3首長の疑問は「地下水影響」「財政負担」「建設残土」「交通渋滞」「早期開通」の5点でした。考えたら、本日の3名の講演内容は、まさに上記5点の疑問に研究者として答えがだせるテーマで、大変タイムリーな講演をしてくださった皆さまありがとうございました。
京都教育大学名誉教授の武蔵野實さんは、「地質学者から見る京都盆地の地下・地質構造」というテーマで、学生時代から60年以上追跡してきた京都の地下構造は、過去数億年といわれるほどの大地の地殻変動の中で生まれてきた特性が隠されており、特に破砕帯が無数に存在し、破砕帯ではトンネル工事などで突然の地下破壊や多量の湧水がでる事故が各地で起きている。シールド工法などの近代技術で解決しきれる問題ではなく、工事の遅延やコスト増加など際限ないリスクがあると警鐘を鳴らして下さいました。
龍谷大学名誉教授の田中滋さんは、「トンネル湧水のヒ素汚染」のリスクを全国各地や世界各地でのヒ素汚染の先例から丁寧に、社会学者的警鐘を鳴らしてくださいました。特に京都北部から大阪には、地殻に大量のヒ素をふくむ地質が広がっていて、このヒ素を含む土砂から流れでる湧水は量も大きく、「産業廃棄物」として処理する必要があり、時間やコストがかかる恐れが高く、やはり際限ないリスクがあるという。すでに北海道新幹線の建設地もヒ素集積地で、そちらも今、ヒ素汚染土砂の処理に困っているという。
京都産業大学教授の鈴木康久さんは京都の地下水の文化的研究者として長年の実績があり、ブラタモリなどでもおなじみです。鈴木康久さんは「京都の地下水の歴史と文化」として、古代から時代ごとに各種の名水が京都には積み重なっていて、特に江戸時代には名水すごろくが町民の間に広まったほどという。今も京都には命名されている名水だけでも400ケ所以上が確認されていて日本でも最も名水が集積されているという。それゆえ、京都の名水文化を守るための条例化など、次のアクションも必要だろうと提案下さいました。
愛媛大学名誉教授の八木則男さんが参加をしてくださって4名での意見交換会では、八木さんは愛媛県ではトンネル工事がたくさんあったが、その都度予測されない地殻構造の問題に直面してきた、今回の100キロをこえる地下ルートは必ず予測できない難問がでてくると言っておられました。そして北陸の大学で教えていた時代もあり、北陸人にとっては、名古屋中京圏とのつながりも重要で、米原ルートが最善だ、とコメントを下さいました。
全体進行は、龍谷大学教授の中川晃成さんが見事にすすめてくださいました。また研究者勉強会の代表である今本博健さんは、「次は京都ルート賛成という研究者と反対という人の両方の意見を戦わせる場がもてたら」と最後に挨拶くださいました。
来週16日、月曜日に、参議院予算委員会で、私自身、「北陸新幹線着工5条件」について、具体的にどこまで担保出来ているのか、石破総理に質問して、今後の見通しを伺います。吉村大阪府知事は2016年の与党PTの15年後という予定が今年の8月の発表は28年となりました。難工事を想定すると、30年以上かかるかもしれません。その間に北陸は東京首都圏とのつながりが一層つよまり、京阪神や中京圏とのつながりが弱くなってしまうでしょう。これで「国土軸形成のための北陸新幹線」なのでしょうか?
<新幹線着工5条件>
① 安定的財源の確保
② 収支採算性
③ 費用を上回る投資効果
④ 営業主体となるJRの同意
⑤ 沿線自治体の同意