10月20日、高島市制20周年記念式典に来賓として参加しました。高島市の合併は2005年1月1日、マキノ町・今津町・安曇川町・高島町・新旭町・朽木村の1村5町が正式に合併(この時点で滋賀県から「村」が消えます)。合併に至るまで大変多くの皆さんの悲喜こもごもの思いがあったということ。それだけに20周年の「ハタチの高島市」の歩みは、多くの皆さんにとって感慨深い場面ではなかったでしょうか。改めて関係の皆さんのご尽力に感謝の思いを深くした式典でした。特に『ハタチの高島市へ』の記念誌は、「愛と誇りにあふれたメッセージ集」として、まさに顔の見える高島市らしい、秀逸な記念誌です。知り合いの人もたくさんおられ、感動の冊子でした。高島市議会議員の是永宙さんがFB上でこの冊子の「全戸配布」を提案しておられましたが、希望者への販売ということ。印刷費くらい公費で出してほしいですね。高島市のコミュニティ文化の蓄積です。企画、編集された方がたのご尽力に感謝です。少し長いですが、「町村合併」の歴史的経過問題について、少し展開させていただきます。また長いです(2000文字)。10月21日。
今の日本の地域コミュニティの原点は、江戸初期の村落共同体です。江戸徳川体制の元、「兵農分離」「村の境界確定(村切り)」「年貢村請制度」「宗門人別帳制度」により、農民が境界をもった村落に縛りつけられ、境界内での生産物(米が象徴)を年貢として、村全体で連帯責任の元、庄屋が責任をもって年貢を領主に納める行政制度が成立しました。今高島市が基礎自治体として担っている「人」「土地」「納税」の3点セットを管理する基礎自治体は、江戸時代には、今でいう大字が担っていました。
たとえば高島市旧マキノ町で言えば、知内、西浜、海津、小荒路、などの大字が基礎自治体でした。ここが今の地名になっています。明治13年に編纂された『滋賀県市町村沿革誌』でみると、今の高島市には108の基礎自治体がありました。景観的にみても、水田地帯では基礎自治体は地理的にも独立性が高いです。産土神の神社があり、お寺が数ケ寺あるのも江戸時代の基礎自治体のコミュニティです。また水田用水の水路や河川の管理母体、水害対策の母体、薪炭や山菜や建築木材を確保する森林などの利用母体も個人所有にプラスして村落共同体の共有地も多かったです。
明治維新直後の明治5年には日本の近代化を進めようとした中央政府が「教育こそ国家の基礎」として学校令を出して、基礎自治体毎に学校ができます。たとえば旧マキノ町では、知内、西浜、海津、小荒路等、村落共同体毎に小学校ができます。しかし学校運営の最大の課題である教員給与などが確保できず、明治22年には市制町村制が日本全体で進められました。数ケ村を合併して、小学校区として新たな地域をつくりました。たとえば旧マキノ町では19村が、海津村、剣熊村、西庄村、百瀬村の4つの小学校区として合併され、この4村が、昭和30年前後の次の合併までの基礎自治体になり、小学校の運営母体となります。昭和30年前後の合併は中学校区の区域とほぼ重なります。上記の4村が合併してマキノ町になります。
高島市の最北部にはマキノ町が昭和30年に海津村、剣熊村、西庄村、百瀬村を合併して成立。マキノ中学校ができました。今津町は、川上村、今津村、三谷村が合併して昭和30年に成立、今津中学校ができました。安曇川町は昭和29年に、広瀬村、安曇町、青柳村、本庄村が合併して誕生。安曇川中学校ができました。高島町は、 高島村、大溝町、水尾村が合併して昭和18年に高島町が誕生し、昭和31年に旧志賀町鵜川を編入して高島町が誕生。高島中学校が成立。新儀村、饗庭村が合併して新旭町が昭和30に誕生し、湖西中学校が誕生しました。
明治維新以来の日本の市町村合併の歴史をみると、その基本は教育財源の確保でした。明治の合併は小学校をつくるため、昭和の合併は中学校をつくるため、では今回の平成の合併のねらいは?高齢化の中で成立した介護保険の母体とするため、というのがひとつの理由として語られますが、ここは議論が多く、地域事情が大きいとだけ言わせていただきます。
ただ歴史的に振り返ると、自治体政策の必要財政の基本は教育だった、ということは確認できます。今の日本の国家としての財政支出、社会保障関係費(年金、医療、介護など)37兆円、文教・科学振興費はたった5兆円!!あまりにバランスを欠いていませんか?
今、国政、衆議院選挙の真っただ中!明治維新のあの時から昭和30年代まで、政治の原点に教育投資があったということ、改めて確認したいです。「教育こそ、国の礎、国の宝」「子どもはどんどん産んでください」「教育、子育ては社会で、国家として税金で引き受けます」という社会にしたいですね。そうすれば、今の少子化の問題、もっともっと多くの若い人たちが子どもを産む決意をしてくれるのでは、と期待します。この問題はまた次に!