少し遅れてしまったのですが、今月(7月)1日に土石流が発生した米原市の伊吹集落の災害現場を、徳永久志衆議院議員といっしょに訪問し、復旧状況をみせていただきながら、今後の国への要望などを伺ってきました。滋賀県長浜土木事務所の谷川次長と近松主幹がご案内くださいました。今回幸い人的被害はなかったのですが、家屋被害では2軒が床上まで、2軒が床下に土砂流入の被害です。皆さまのご協力のおかげで土砂撤去はかなり進んでいましたが、原因究明をしながら、再度の被害がおきないような対策について、米原市と滋賀県が、国からのアドバイスをいただきながら進めていくということ。原因は複合的であり、対策には各機関の叡智を集める必要があります。また長いです(1600文字)。7月12日。
伊吹集落は伊吹山の西側斜面、姉川本流の川沿いに連なる集落でかなり急斜面に立地しています。もともと勝山谷川の「土石流危険渓流」で指定看板が立っています。米原市の風水害・土砂災害ハザードマップでも土砂災害の危険性が明示されています。勝山谷川にはみっつの堰堤がつくられていたのですが、7月1日段階ですでに満杯になってしまっていたようで、新たな堰堤の必要性も議論されていたようです。上流部は、10年ほど前からシカによる食害が深刻化して山肌が露出し保水力が低くなっていたのでは、という意見もあります。去年7月、8合目から3合目にかけての登山道で大雨による土砂崩れが発生しています。滋賀県も米原市と協力しながらシカ害をふせぐ対策をとってきていました。林道にはいる入口には、お地蔵さまが祀られていて、昔からこの地域に暮らす皆さんは災害の危険性を認識しておられたのではないでしょうか。それでも、土石流は起きてしまいました。
ちょうど林道横で作業をしていた被災者の石河茂さんにお話しを聞くことができました。石河さんは昭和17年生まれで、昭和34年の伊勢湾台風を経験したが、その時も土砂は家横を流れたけれど、今回のような土砂災害ははじめて経験したということです。朝9時過ぎにゴオオーという何とも言えない地鳴りのような音がして、自宅裏から水がでて土砂がはいってきたので下に逃げてどうにか巻き込まれなかったということ。ただ、自宅は裏側からの土砂でまだまだ土砂出しは終わっておらず、奥様といっしょに親戚などに避難しているということ。
すべての土砂を取りのぞくためにはまだまだ時間はかかりそうです。それに真夏ですので、土砂をできるだけ早く運びだし、水流しをして、清掃をしないといけません。幸い水道は使えていて、また山裾の集落という立地から、水路にはかなり大量に水が流れていて、土砂流しに使われています。集落内を流れる農業用水路の洗い場の水に手をつけるとかなり冷たいので、湧き水が大量に流れていると推測されます。水道がはいる前は井戸水もつかっていたようで井戸枠が残されていた家もありました。
いつ土砂が流れてくるかわからないので住民の方の不安を解消するために、まずは土石流警報装置や監視カメラの設置がなされたということ。上流部の堰堤に土砂が流れたら集落中に警戒音声が流れるということです。今後の作業としては、砂防えん堤の浚渫や土砂流出防止対策として道路わきに大型土嚢の設置が完了 しています。国土交通省の高度技術支援班(テックフォース)が現地調査に入り、データ分析をしているようで、今後の対応を国と県で検討していくということです。
また個別家屋被害への公的支援(被災者生活再建支援制度)も、被災家屋数条件等があり、対応への柔軟な判断が必要と思われます。私自身災害対策特別委員会に所属しており、そこからのデータもいただきながら、復旧対策の相談に乗らせていただきます。