Facebook 2024年6月20日 「北陸新幹線大阪延伸ルートに関する提言書」を、国土交通省鉄道局長に提出

北陸新幹線が今年2024年3月16日に東京から敦賀駅まで開通しました。敦賀から東京まで3時間弱で、北陸から東京はますます近くなっています。一方、大阪・京都、関西から北陸へは敦賀止まりとなってしまったサンダーバードから新幹線への乗り換えも不便で遠くなってしまっています。東京一局集中がますます進むのが心配です。関西地域にとっては大きな地域課題です。そしてようやく、敦賀から京都・大阪方面への延伸ルートについて、社会的関心が高まっています。6月18日、「教育無償化を実現する会」(前原誠司代表)は、「日本維新の会」(馬場伸幸代表)と共同で、「北陸新幹線大阪延伸ルートに関する提言書」を、国土交通省鉄道局長に提出しました。提言書は5ページです。PDFデータのアドレスを添付します。ご参照ください。6月19日。(ちょっと長いです。2000文字)。
(24 06 18)北陸新幹線大阪延伸ルートに関する提言書.pdf (hubspotusercontent-na1.net)
この提言書をまとめるために、「教育無償化を実現する会」と「日本維新の会」の国会議員を中心に、地方議員もふくめて、5月以降、専門家への聴き取りなどを数回行いました。そのきっかけをつくった一人が私自身であり、責任があります。それゆえこの経緯を語らせて下さい。
2016年12月に与党PT(プロジェクトチーム)が決定した「小浜・京都ルート」は、巨額の事業費や京都市内や京都駅周囲での地下掘削の難工事、地下水脈への影響などの懸念から、開業はおろか整備事業遂行の展望が開けていないので、このルートを撤回し、費用便益費ではるかに有利な「米原ルート」に改めることが現実的で国民的理解を得やすいと提言しました。
ここでのポイントは以下です。
1) 与党PTでのルート選定経緯が不透明。 小浜ルート2兆1000億円、工期は15年、米原ルート5900億円、工期は10年、費用便益効果は小浜ルート1.1で、米原ルートは2.2 小浜ルートは経済的合理性を欠いている。
2) 新幹線ルートは国民としての公益性が極めて高く与党PTの地元国会議員のみによる決定では「全体最適」はのぞめず国民世論からも支持されない。法的根拠のあるしかるべき機関で決定するべきである。
3) 「小浜・京都」ルート決定から7年半の間に資材費や人件費は高騰しており、総工費の大幅な上振れが想定される。しかも人口減少比率は予想以上にはやくすすみ、利益は少なくなり、コストは上振れして、費用便益効果が1.0を割り込む恐れもたかく、公共事業としての妥当性がなくなるおそれがある。
4) 全長143キロの小浜ルートの8割はトンネル区間であり、地形、地質など不確定要素が多く、また10トントラック160万台と試算される土砂搬出処理の困難さが予想される。その上、搬出土砂にはヒ素などの含有も予想される。
5) 京都市内の市街地は町割りが狭く、道路も住宅、ビルも密集し、全国各地で発生している大深度地下工事に類似する工事リスクはさけられない。土砂搬出にともなう混乱も予想される。
6) 京都盆地に存在する、琵琶湖に匹敵するといわれるほどの豊富な地下水脈により、酒造、和菓子、豆腐など豊かな水文化が永年にわたって育ってきたが、地下水脈の破壊による水文化破壊のリスクはおおきい。あわせて平安京以来の埋蔵文化財への被害も懸念される。
7) 北陸新幹線延伸問題に詳しい土木専門家は、小浜ルートは「確実に比類をみない難工事になる。与党と鉄道・運輸機構は技術的リスクを軽くみている。15年で可能という時間的見込みも無責任である」と指摘している。
8) 米原ルートは、小浜ルートにくらべ、工事区間は3分の1の50キロで、総工費も小浜ルートの3割未満で、北陸本線、北陸道が開通済み地域で確実に工事はすすみ、もし工費が二倍になっても費用便益効果は1.0以上を確保できる。
9) 米原ルートは、北陸とつながりが深い中京圏ともつながりが確保できて、中京圏からも歓迎される。
10) 米原ルートでは、リニアの大阪延伸とほぼ同じ時期に連結ができれば、米原・新大阪間のダイヤも緩和され、東海道新幹線への直接乗り入れも可能となる。運行・保安システムがJR東海とJR西日本とで異なるので乗り入れ困難という意見もあるが、技術的に解決は可能である。
実は今から12年前の2012年から2013年にかけて、関西広域連合としては、自前で予算をとり、京大の中川大教授の研究室にお願いをして、「北陸新幹線(敦賀以西)ルートの検討について」という調査研究を行いました。「概算建設費」「総便益」「費用対効果」「開業までの期間」「開業による波及効果」などです。その結果、小浜ルート、湖西ルート、米原ルートの3ルートの中で、米原ルートが建設費用や建設期間も短く、費用対効果も最大であると判明しました。
ただし、大阪までリニアが開通するまでの期間は東海道新幹線への乗り入れは困難で乗り換えが必要という条件付きとなりました。当時、建設費の地元負担金(滋賀県内通過部分)は「便益に応じて関西全体で解決」、並行在来線化については、琵琶湖線や北陸線,湖西線は京阪神一体となった交通ネットワークを形成する幹線交通であり、「JRからの分離をされないよう関西広域連合として求めていく」ことになりました。
その当時の関西広域連合の連合長は井戸敏三兵庫県知事で、大阪府の橋下徹知事、京都府の山田啓二知事、滋賀県の嘉田由紀子がそれぞれ当事者として熟議をかさね、同時に関西広域連合議会もご理解をいただき、米原ルートに決定した、という経緯があります。
今の時代、予想以上の人口減少がすすみ、国家の財政もきびしくなっています。公共事業は最小の費用で最大の効果をあげることが求められています。国会議員としては、納税者、有権者に説明がつく意思決定をするべき、と私たちは考えています。
皆さん、どう思われますか。
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