5月30日(木)晩、杉並区阿佐ヶ谷地域区民センターで「治水と自然の両立を実現する流域治水政策とは?」というタイトルで講演をさせていただきました。平日の晩なのに、100名近くの会場参加者、オンラインで25日名ほどが参加でした。5月17日に訪問した善福寺川の緑地帯を保全しながら、いかに流域治水をすすめるか、というテーマで5月21日の参議院国土交通委員会での質疑をふまえて講演。今後杉並区長の岸本聡子さんも、グリーンインフラを活かした治水対策をすすめたいと考えておられるので、ここは区長、区議会、住民、専門家、皆での協力関係をつくっていってほしいと最後にお願いしました。5月31日。(1100文字です)
講演はまず、流域治水とは何?と明治時代以来の川の中にとじこめる河川水量計算を中心として施設づくりによる河川政策では都市化がすすみ、温暖化をひかえての大都市では限界があることを滋賀県や関西の事例、また球磨川水害の例などで示しました。それゆえ、河川から溢れることも想定、許容しながら、「命を失うことを避け」「生活破壊をさける」ことを目的とした流域治水が東京のような都市化が徹底してすすんだ地域ではいっそう必要であることを解説。つまり都市部ほど流域治水への潜在的ニーズはたかまっていることを解説。
杉並区の善福寺川は過去10年以上かけて、住民生活と一旦離れてしまった河川環境を、子どもたちを中心とした「善福寺川を里川にカエル会」などの活動により、人と川を近づけてきた見事な歴史があること。それゆえ、この経験を活かして、これからどうやって本来の意味でのグリーンインフラをつくりあげていくのか、ちょうどこの分野の専門家である島谷幸宏さんたちのグループが杉並区と5月20日に協定をむすんでおり、専門家と住民が協力をして実績をつくれる素地ができていることを紹介しました。
また住民としてできることのひとつに、ハザードマップを身近において、過去の水害履歴を自分たちで調べながら、いざという時にどう被害を最小化するのか、子どもたちもふくめて住民自身がしらべることの重要性を指摘しました。会場からは2005年の洪水で被害にあった人の生々しい思い出話などを語っていただきました。これから自分たちで過去の水害履歴をしらべながら、住民としてできることの提案をしていってほしい、とお願いをしました。
会場には、私の滋賀県知事時代に国土交通省から出向して滋賀で仕事をしてくれていたMさんや、やはり知事時代に、当時のJR西日本の幹部で、信楽高原鉄道の再生のために大きな協力をいただいたHさんなど、懐かしい方も姿をみせてくださいました。「狭い世間」であることも実感した講演会でした。講演会のご準備をいただいた皆さまに感謝申し上げます。