Facebook 2024年5月20日 「全国トチノキ学ネットワーク」の第1回大会を5月18日・19日と琵琶湖源流部の湖北長浜市で開催

5月18日、お誕生日メッセージありがとうございます。なぜか70歳を過ぎた自分を意識できず、埼玉県からの中学校・高校の修学旅行ではじめて琵琶湖に出逢った1960年代の少女の時代と気持ちが変わりません。三井寺観音堂から眺めたあの琵琶湖の情景・・・遠景に琵琶湖をのぞむ1968年の写真、一枚だけ残っています。なぜ少女の思い?「好奇心と社会的正義感」だけで走ってきた思いは老いていません(笑)。ただ、この「正義感」というのが曲者かもしれませんが・・・。社会的正義感が空回りして、周囲の皆さんにご迷惑をかける!そして社会的に後ろ指をさされる?それでも曲げられないあるべき人間と生き物の命のあり方。お誕生日のお祝いメッセージの皆さんに個別に返信できず時間がすぎてしまいました。今年の誕生日は、私の人生でも最も忙しい一日ではなかったと思われ充実した日でした。というのも、「全国トチノキ学ネットワーク」の第1回大会を5月18日・19日と琵琶湖源流部の湖北長浜市で開催・・・。そのエッセンスだけご紹介します。また長いです(2000文字、スミマセン)。
琵琶湖は山やまに囲まれた盆地で、京阪神1450万人の命の水源ですが、その最奥部が湖北高時川、姉川の源流部です。また湖西には安曇川源流部があります。東側は愛知川源流の鈴鹿山地。今から14年前、2010年、ある県職員が当時の知事現職の私に直接電話をしてきました。「高島市源流部のトチノキ巨木が何本も伐採されている!」。実は1990年代初頭の琵琶湖博物館準備室時代、琵琶湖の湖底遺跡の現場を見に行った時、6500年前の湖底遺跡のセタシジミの貝塚で発見されたトチノミ、まだ落ちたばっかりのような光がある!そう琵琶湖に米がはいるは2300年前、それ以前の日本人の主食がトチノミだったのです!
1970年代、大津の山間部に家をつくる時、庭に植えたのもトチノキでした。春の新緑と房のような花、夏の木陰、秋の紅葉・・・・、そして冬芽の踏ん張り、息子二人の子育てと並行して大きくなってきたトチノキ。高島で伐採されたトチノキは300-400年以上の樹齢があるという。今は山で暮らす必須の食物ではなくなったけれど、存在してくれるだけで、大地の浸食をふせぎ、水源の一滴の水を生み出してくれる。はちみつもおいしい。目先の人間の利益で伐採しては本当に“もったいない”。そこで2010年以降、行政と政治の責任者として、トチノキ所有者や、この存在に心動かされ、命がけで保全をすすめる活動仲間、研究者たちと、保全活動をしてきました。
2022年、滋賀県自然環境保全課が長浜市の木之本町、余呉町、そして高島市の3地域の代表に声をかけ「トチノキサミット」を開いてくれました。そこで出会った人たちが、「全国に呼び掛けてトチノキ大好き人間、住民、研究者、そして行政と皆で集まる場をつくろう!」と思いが高まりました。そして2023年5月、余呉町で準備会を開催。元京大教授、生態学会会長の湯本貴和さんと地元の「すみつなぐ高時川」代表の小林葉さんが共同代表についていただき、準備会には森林生態学の中静透さん、自然保護論の吉田正人さんの3名が基調講演をしてくださいました。15本を超える個別発表、そしてトチノキの森林と、丹生ダム中止地域で廃村となった高時川源流部を訪問。あれから一年。準備会の内容は『トチノキ学:全国トチノキ学ネットワーク会誌:第一号』として湯本さんと飯田義彦さんの編集力で、5月18日に発行されました。
2024年5月18日と19日は個別発表とポスター発表。そして記念講演はモンベル会長の辰野勇さんの講演。実は2014年に長浜市でも伐採業者により40本を超える巨木が伐採の危機に!!所有者と相談をして保全活動を行い、そこで辰野さんが下流部から力強い応援をしてくださいました。「モンベル7つのミッション」という起業家としての社会的活動にあわせて、1969年9月12日、フランスパリの街路樹で拾ってきたトチノミを奥様へのプレゼントをした!そのトチノミを55年たった今も奥様が大事に保存していた、というまさに心躍るあたたかいお話をいただきました。また個別発表には、地元木之本の伊香高校での「森の探求科」構想のお話、巨木林で生きるイヌワシやクマなど、貴重な生物の生存も危機下にあることも報告されました。
初日の懇親会は、地元木之本町の丘峰喫茶店の堀江昌史さんたちがつくってくれた「森、里、湖」の幸、特にアユのへしこやサバ素麺など、長浜ならではの心づくしの御馳走に花が咲きました。また懇親会では、高島トチノキの源流部、針畑から藤本太郎さんとお母さんからの路地のお花プレゼントをいただだきました。ありがとう!二日目は、トチノキ源流部へでかける健脚組と、木かごの伝承と技術をつなぐ太々野勇さんと荒井恵理子さんを先生に、木かごづくりに挑戦!!ミニ木かご、できました!また「高時川源流の森と文化を継承する会」の皆さんが本物のトチ餅をつくって下さいました。
来年は鳥取県智頭町での開催が決定。鳥取から山本福壽さんもかけつけてくださり、長浜からのバトンを受け取っていただきました。
写真提供は湯本貴和さん、古谷桂信さんです。また地元実行委員会をまとめていただいた北川勇夫さん、会計一切をまとめたいただい小松明美さん、皆さん、本当にご苦労さまでした。
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