Facebook 2018年1月14日

1月14日、比良浜では5-10センチの積雪です。湖西特有の雪おこしの風と言われてきた「ヒアラシ」が1月11日に吹き、「民間の気象伝承=民俗知識」が今回の雪を予報してくれました。「生活知と科学知」がつながったひとつの事例と思います。(また長いです:微笑)

FB上では全国から積雪状況が報告されています。琵琶湖西岸、比良浜でも昨晩から今朝にかけて今シーズン一番の積雪で、家の前で10センチ、浜辺では5センチでした。いつも朝、湖水をくんでコップ一杯の水をいただく橋板あたりにも雪がつもり、蓬莱山をバックに見事な冬景色です。遠く南の比叡山から東側には八幡山から沖島。比良川河口部からは、雪をかぶる霊仙山と伊吹山も美しい。今日は自宅での仕事なので私は深い雪でもどうにかなりそうです。おでかけの皆さん、お気をつけてください。

さて、実は数日前から南風などが強くて、橋板もひっくり返されてしまいました。浜の深くまで打ち上げられてしまうと自分ひとりであげるのはむずかしくて、知り合いの近江舞子の今井一郎さんや李有師さんがおこし下さった時に元へもどすのを手伝ってもらいました。

この時の風、冬型の気圧配置の時に、空は晴れているのに、湖西地域に南から吹いてくる強い風を「ヒアラシ」と地元で呼んでいます。南比良の「橋板友達」濱口喜三郎さん(87歳)にきくと「11日のあの風はヒアラシやった」と言ってくれています。また「ヒアラシが吹くと雪がふる」とも言われてきました。

比良山から琵琶湖への風の時は橋板がひっくりかえることは少ないのですが、南の沖合から来る風は橋板には大敵です。実は1990年代初期の琵琶湖博物館準備室時代から、「夏はホタル・冬は雪」というテーマで住民参加の環境調査をはじめました。結果はリアルタイムに琵琶湖博物館に報告して博物館展示に即刻いかすという仕組みをつくりました(ビワコダス報告書1999年)。「アメダス」にちなみ、「夏はホタルダス」や「年中ビワコダス」と名付けました。

その時(1997年)以来の風記録を今も、大津市北小松在住の松井一幸さんが続けていて、連日の風情報が過去20年近く公表されています(HP:ビワコダス)。この記録、松井さんが今はお一人でここまでやっています。皆さん、風に興味がありましたら是非ご覧ください。すばらしい記録です。そこで、ほんまに「ヒアラシ」が吹いたのか、1月11日の松井さんのHPをみると、「やっぱり!」。橋板をひっくりかえした南方面からの風が強かったことがわかります。

琵琶湖研究所から琵琶湖博物館時代、「生活知と科学知をつなぐ」というねらいで、琵琶湖辺の民間伝承を調べ、今、こうして自分が琵琶湖辺の住民になって、かつて研究してきた領域を自分自身で確かめることができる、というのは本当にワクワクします。

開館20年以上たって、琵琶湖博物館を拠点とした住民参加型調査は、昆虫やホタル、魚類など生き物調査だけでなく、地域の民俗行事なども調べています。こうして、地域の自然知、生活知、文化知が住民の間でひろがり、次世代にむけて蓄積されていくことが地域の誇り・自信づくりにつながっていくと、今も確信しています。また長いメッセージにおつきあいいただき、ありがとうございました。

 

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