2003年に私たちが多羅尾で聴き取りをした時は悲惨な状況ばかりが記憶に残っていました。しかし今回、改めて地質構造など、崩壊しやすい大地との意味がみえてきました。周囲の山は炭焼きなどで広葉樹が多く、また燃料の芝刈りにも利用され、いわば人の手入れが行き届いた里山であったこともわかりました。それでも、まさに木々が立ったままカーペットのように流れ落ちてきたということ。この年は6月の梅雨頃から雨が多かった、ということで、水分をたくさん含んだ花崗岩質の風化したまさ土の表土が、400ミリを超える豪雨で山ごと流されてきたことが改めて確認されました。水害時の写真に山がそのまま崩れていることが分かってもらえると思います。
19日の研究会の最後に、竜谷大学の中川晃成さんが、「多羅尾集落の山津波による土砂崩壊は、まさに大戸川ダムが建設されたら予想される土砂堆砂問題を暗示しているのではないか」と指摘してくださいました。そうなのです。この、大戸川流域は、まさに数百万年の古琵琶湖層群の歴史とともに、風化した花崗岩質の大地の成り立ちを反映して、河川政策をつみあげるべきと思います。地域環境のアセスは数百万年という地質、地層の影響、そして植生や生態系などの数万年の歴史、そして今の歴史、多重に蓄積された大地の歴史への綱領が必要です。今後の大戸川ダムの環境アセスに強く申し上げたいと思います。
大熊さんの指摘は、小国川ダム、大戸川ダム、川辺川ダムの堆砂容量が、全体容量の1%だったり10%だったり、その触れ幅の広さは、国土交通省としても説明すべきと言っています。私の方は、国会議員として、国の国土交通委員会として、堆砂容量をきめる基本的な科学的データの判断基準を質問します、とお約束をしました。
たとえば、大戸川ダムができたら大阪府域で10兆円の被害が防げる、京都府域で3兆円の被害が防げるというのは机上のフィクションである。実態に対す対策なしに、机上のフィクションで大戸川ダムの必要性を主張する国土交通省の論理展開への疑問がはっきりしめされていました。国土交通省の官僚の皆さんに伝えたい内容です。ここは国会議員として、国土交通委員会などで堂々と糺していきたいと思います。
嘉田由紀子としては、今日の宮本さんの質問に、今日はフルには応えられませんしたが、これからの嘉田由紀子の政治的活動をみてください、とお応えました。