11月12日琵琶湖博物館で開催された、日野原重明記念新老人「滋賀の会」主催、琵琶湖博物館共催の、「いきいきと生きるための新しい記憶回想法」の、冨江家展示案内と講演会が無事おわりました。この春からご準備いただいた関係者の皆さんに感謝申し上げます。また予想以上の方が来場くださり、会場のスペース不足でご迷惑をおかけしました。主催者としておわび申し上げます。11月12日、長いです(1900文字)
最初の主催者挨拶で2点申しあげました。ひとつは1990年代、琵琶湖博物館の昭和30年代の農村の暮らし展示を企画・完成した後、高齢の人たちが冨江家をみて元気になり、中には人間にとってかなり個人的な排尿・排便行為をする人たちが数名いた。そのような行動の背景の意味を分析、理解したいと思ってきました。今回、脳科学の長谷川さんにその解説をいただけるかもしれないと期待しました。二点目は、今、社会的に認知症がひろがり、一部に予防薬などが開発されていますが、認知症予防や高齢者の健康維持には「記憶回想法」という考え方が効果があるのではないか、とこれも1990年代から気付いていながら、滋賀県内での動きがなかなか進んでいないので、そこに先駆的な活動をしている皆さんの英知を結集していただけたらとお願いしました。
富山県の氷見市からおこしいただいた長谷川健さんの講演は脳科学者としての理論も、高齢施設の運営実践としても、何とも見事です。「もし自分が認知症になったら氷見でお世話になりたい!」とさえ思いました。まず冨江家での排便・排尿については、周辺状況が理解しにくい認知症症状の元、長期記憶である、体が覚えている「手続き記憶」で行動に出たのではないかということです。そういえば、ここ10年間ほど、排便報告がありません。水洗便所が日常化して、そもそもぽっとん便所の経験者が減ったということでしょうか。
最後にライフヒストリー研究家の姜永根さんが「心理回想法と口述自伝制作」講演。高齢者施設で、個人史の聴き取りをする中で、聞かれた人たち自身が元気になり、そしてその記録をまとめることで家族も喜ぶ、という経験をして、誰もが個人史を残そうと強く呼び掛けてくれました。「昔の記憶を蘇らせることで能の活力が高まり」「思い出を語ることで未来への希望が得られ」「家族や子孫への贈り物になる」という。そして姜さんは、ライフヒストリーを制作する仲間づくりも呼びかけてくれました。 滋賀県角野理事は最初から最後まで聴いていただき、県としてもこのような分野の政策も考えたいと最後に発言くださいました。心強いです。