10月20日の真夜中、田原総一朗さん司会の「朝まで生テレビ」、与野党から7名が参加。私は直前キャンセルとなりましたが責任があるのでもっぱらTVでチェック。皆さんの発言をみながら、嘉田ならどう発言したか、ということを少し整理させていただきます。「岸田政治は弥縫策(びほうさく)ばかり」「情熱とやりたいことがみえない」など、与野党超えて、岸田総理への評価が低いことがわかりました。そのうえ一般市民から411件の「日本政治のよいところ、わるいところ」が番組最後に寄せられましたが、8割の324件は悪いところがあげられ、よいところは2割の87件にとどまりました。特に「信頼できる政治家がいない」「生活が苦しめられている」「国民の声が反映できていない」などが多かった批判です。よいところは「自由で平和な国家」「社会保障の充実」などでした。10月21日(できるだけ2000文字以内にまとめます、それでも長い!)
最初の田原さんの質問は「なぜ岸田総理の支持率がこんなに低いのか? 朝日新聞29%、毎日新聞25%?」これについて政治家全員とジャーナリストに何度も問い詰めていました。驚くべきことに、与野党問わず各人がほぼ共通問題を指摘していたことです。「岸田総理が何をやりたいかわからない」「官僚作文を読んでいるだけで熱意、情熱が伝わらない」「秘密主義で慎重すぎる」「弥縫策が多い」「国民意識から乖離している」「ほとばしるものがない」ということでした。
私自身は、岸田さんは祖父から父と三代目の政治家で、「なぜ政治が大切なのか」「なぜ自分は政治家人生を歩むのか」という自己認識が弱く、ただ自分の政治家としてのトップ権力をとりそれを維持することだけに動機を置いているからではないか、と分析しています。政治権力をとって日本をどう変えたいのか、その動機が極めて弱く、日本の未来のあるべき政治の姿を描いていないのではないか、と思います。
たとえば「異次元の少子化対策」という岸田政治の大きな柱であるはずの子育て政策でも、今の若い人たちがなぜ子産み、子育てにふみこめないのか、その構造的分析が弱すぎます。女性にとっては「仕事か子育てか二者択一を迫られるリスク」「男性にとっては非正規雇用など経済的不安定さと労働意欲が低いという職場評価への恐れ」があり、ここを抜け出すには「男女共稼ぎ•共育て」が重要な出口だと、国民民主党は解決策をしめし、そのためには、男性の育児参画がしにくい職場環境の中で、「育児・介護休業法」の法律の名称を「育児・介護参画法」と変えましょうと提案してきました。
育児は休業どころではありません。大変な愛情を必要とする重労働です。それに「少子化は未来を破壊する国難」というなら、国難への参画・貢献政策が必要です。予算は不要です。総理が日本人の価値観を変えるという覚悟で実現できるのです」と今年の3月3日の予算委員会で強く提案をしたのに、「育児・介護休業法はすでになじみのある法令なので、名前は変えられない」とさらっと官僚答弁で逃げられました。これは「異次元の少子化対策ではなく低次元です!」。過去の日本政治の分析もできておらず、あるべき未来への強い願望もないようです。
今の日本政治の最大の問題は、過去30年間、賃金があがらず、しかも国民の幸福度もOECD諸国でも最下位に近い。女性の政治•経済参画は120位から130位と国際的にも大きく出遅れてしまっていることです。「失われた30年」「女性、若者の政治関心が低い」「未来に希望がもてない日本の根本問題」について、わかりやすく指摘していたのは、玉木さんと高松ななさんだけでした。貧困対策で10万円給付をしても得られるのは「非課税世帯」の高齢者だけ。生活困難に陥っている非正規雇用の若者は非課税ではないので給付対象にならない。
若い人の間に「新しい生活困難層」がますます増えている現実は岸田政権にはみえていないようです。また「ひとり親の貧困」もよく語られていますが、「いかに一人親をふやさないか」という構造的転換が必要です。離婚をしても男性も父親も子育ての義務からは逃げられない、逆に離婚をしても父母が共に子育てを担うよう愛情をつなげる協力的な家族政策を求めるべきと元比較家族社会学を学んだ者として主張をし「共同親権制度」を提案しているのですが、そんな構造問題を本気で提起する政治家はほとんどいません。
女性政治家が少ない現実についての議論も残念ながら底が浅かったです。政治は男の仕事と長い間の社会意識がいつまでも変わらない今の日本の社会意識の転換が大問題です。家族内部で「妻を政治家」といえる夫がどれだけいるか、また「自分が政治家に」と自己認識をもてる女性がどれだけいるか、家族や個人意識にまで深くはいりこまないと女性政治家は増えていきません。ノルウェーなどは1970年代から「政治家の3割を女性」とクヲータ―(割り当て)制度をつくってきました。日本も強力なクヲータ―制度のような法的しばりが必要と私は思っています。
また政治家にサラリーマンや公務員、学者が増えるように「在職立候補制度」も有効です。被選挙権を、現在の参議院議員・都道府県知事30歳以上、衆議院議員・市区町村長、都道府県・市町村議会議員25歳以上、という制限をいずれも年齢制限を下げることも必要でしょう。次回、女性、若者政治家だけで、今回の議論の続きをすすめてほしいです。