Facebook 2023年9月20日 「山形県最上小国川ダム、穴あきダム訪問調査報告」(その3)

「山形県最上小国川ダム、穴あきダム訪問調査報告」(その3)「土砂の堆砂問題」9月20日。(1600文字です、長いです)。
2014年には会計検査院が、ダム湖内の堆砂のために貯水量が減り、期待されている機能を発揮できない恐れのあるダムが全国で100を超えると報告しました。一方、穴あきダムでは、土砂が下流 に流下するので、堆砂量は大幅に低下するといわれますが、穴あきダムでも洪水時には ダム上流に湛水域(水がたまる空間)が生じ、ダム の背水端から土砂が溜まることになります。また小さな穴だけでは木材や巨大な石などもダム上に溜まってしまいます。
穴あきダムの堆砂問題にはダム上流部とダム下流部の両方からみる必要があります。上流部では、最上小国ダムの三つの写真を紹介します。
①2019年10月の台風19号の時、②2020年1月の試験湛水の時、③2022年6月の豪雨の時です。いずれもダム上流側の穴部分に流木などがたまりダム湖底には土砂が沈殿します。小国川ダムでは、幸い山形大学の川辺孝幸名誉教授が地質学の専門家で、ダム建設前後からの土砂の出方を丁寧に観察して、データ化してくれています。
川辺さんによると小国川ダムでは上流部で大規模な河岸崩壊がおこり、それで堆積物が増えたようです。大戸川穴あきダムや川辺川穴あきダムについても、ダム上流部で豪雨や湛水による河岸崩壊のリスクを事前に十分調査する必要があります。また小国川ダムの場合、上流部の地形は森中を蛇行する河川なので、流れがゆるやかな森の中などでは中粒以上の堆積物が大量に蓄積しているということ。また水が溜まるところの先端部分は、流速がゆるやかになり、「水中扇状地」のように粒子がたまってしまい長い間蓄積するということです。
大戸川では、ダムの背水端は、甲賀市信楽町の黄瀬集落付近までのびる恐れがあります。また川辺川ダムでは、ダムの背水端は、五木村の旧集落中心地の頭地までせまるでしょう。10年に1回程度の洪水規模でも、五木村中心部には、穴あきダムの土砂が堆積した河川がひろがり、大変な景観の悪化をもたらすことになるでしょう。いずれも人びとが暮らす集落中心地に近いです。小国川ダムの背水端は森中で居住者も全くおりませんが、このような地理的な問題は、誰でも容易に理解できることなので、事前シミュレーションは必須でしょう。
計画堆砂量は大熊孝新潟大学名誉教授によると「ダム上流の地質、地形、植生、流域面積、河道状況、湛水域の広狭、流入洪水規模・頻度、洪水調節量・放流量などに大きく影響を受ける」といわれ、従来の流水型ダムの計画堆砂量は、総貯水量に対しておおむね 4~10%となっている。ところが川辺川ダムの場合は 0.77%と極端に少ない。また大戸川ダムは20万トンで、こちらは総貯水量2210万トンに対して0.9%である。川辺川ダムと大戸川ダムの計画堆砂量がどのような理由、どのようなシミュレーションによるものなのか、今後精密に検証して、公表する必要がある。
下流の問題としては、二点あります。汚濁継続問題と、河床の大型石の減少です。小国ダムでも、豪雨の後、ダムがないときは1-2日で濁水が清流に戻ったということですが、白濁した水流が1週間以上続き、この濁水はアユへの影響だけでなく景観的にも問題となっています。大戸川ダムも、下流部は大津市田上中心部と瀬田川そして天ヶ瀬ダムであり、河川汚濁が長期間続くことは大きな問題でしょう。川辺川ではまさに日本一の清流のアユ生態系への影響は今から厳格なアセスが必要でしょう。またアユにとっては、30センチ以上の石が必要ということですが、穴あきダムでは大きな石は通りぬける確率がひくく、下流部の河床環境の変化も事前アセスが必要でしょう。それぞれの地元で今後、調査研究をすすめていきたいと思います。(資料提供:川辺孝幸、最上小国川の清流を守る会)
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