「山形県最上小国川ダム、穴あきダム訪問調査報告」(その1)
山形県最上町にある最上小国川ダムは、1990年代の当初から多目的ダムとして計画されたが、水需要の減少等により治水専用となり、河川環境への影響が小さいといわれる「穴あきダム」として計画変更がなされた。それもダム直下2キロメートルのところにある赤倉温泉の水害回避というかなり限定された目的でもある。地元漁業協同組合などからの根強い反対を受けながらも2015年に着工され、2020年4月に運用が開始されました。9月16日(1200文字です)。
今、日本には穴あきダムとして運用している治水専用のダムは5例しかなく、益田川ダム(島根県)、辰巳ダム(石川県)、浅川ダム(長野県)、西之谷ダム(鹿児島県)と今回訪問した小国川ダムのみです。穴あきダムは普段貯水を行わない為に堆砂への影響が少なく、通常のダムに比べて環境への負荷も少ないと言われていますが、その科学的証拠の蓄積は不十分です。別名「流水型ダム」とも呼ばれていますが、一般のダムも水が流れているので、穴あきダムという名称をここでは使います。小国川流域は年間3万人ものアユ釣りのメッカでもあり、「日本一環境にやさしい穴あきダム」と言われてきたが、果たして現場でどれほど確実なデータが蓄積されているのか現場訪問をしながら学んできました。
私自身は参議院議員として、「ダムだけに頼らない流域治水」をライフワークとして日本各地の河川流域でのダム問題や河川環境問題、治水問題にかかわり、国土交通委員会や災害対策特別委員会などで政策議論を行ってきました。今後、滋賀県内で計画されている大戸川ダムや、また球磨川流域で計画されている、日本一の清流といわれる川辺川でのダム計画も穴あきダムが想定されています。大戸川ダムや川辺川ダムの環境アセスメントもはじまりつつある今、穴あきダムの、河川生態系やアユの生息条件、河川水質や河川の土砂堆砂への影響を調べる必要があります。