20230817災害対策特別委員会【確定稿】

 令和五年八月十七日(木曜日)

○嘉田由紀子君 ありがとうございます。国民民主党・新緑風会の嘉田由紀子でございます。
この夏、九州北部、また富山も含めて、秋田、この災害に遭われました皆様に心からお見舞い申し上げます。一日も早い復興をお祈りしております。
また、八月三日には秋田の視察、佐竹秋田県知事、また秋田市長の穂積様、五城目町長の渡邉様始め皆様に御案内いただきまして、ありがとうございます。八月三日の視察のとき、意見交換会時に、意見交換のときに十三項目の緊急要望をいただきました。その要望に含まれている項目も含め、大きく三点、本日質問させていただきます。
まず一点目は、ハザードマップの有効性ですけれども、少し歴史的に振り返ってみますと、今、柴田議員も御質問でしたが、新しい河川法、河川法の改正が平成九年にありまして、その後、住民参加や、あるいは地域で全体で治水に取り組むという方向が見えてまいりました。
ちょうどその頃、足立参議院議員、近畿地方整備局で企画官などなさっておられました。そしてまた、今回新しく局長になられました廣瀬さんも当時、リスクを事前に知ってもらうハザードマップを多分淀川で初めて出したと思うんですが、二〇〇〇年代の初頭です。そのときに大阪市長さんが大変な反発をなさいまして、こんなの出したら地価が下がるといって、そして結果的には引っ込めざるを得なかったんですけれども、その後、だんだん普及をし、そして、私は、二〇〇六年の滋賀県知事選挙に出たときに、流域治水をマニフェストでお約束しました。
その根本には、ハザードマップはもう完全になくてはならないものだったんですけど、四年掛かりました。全国で初めて、滋賀県では、地先の安全度マップ、つまり、一級河川や二級河川、これは施設ごとの安全度ですけれども、農業用水路があふれたり、あるいは下水道があふれたり、場合によっては本当に小さな水路があふれても被害が出るわけですから、全ての出水のもとを一つにまとめた地先の安全度マップ、これを二〇一〇年に知事として示したんですが、このときも大変でした。県議会あるいは市町会、町村会から、こんなの出したら地価が下がると言われながら、それでも、滋賀県では有り難いことに職員が本当に頑張ってくれました。当時、今日の議論になっております下水の内水氾濫も含めて、滋賀県全域で二億円で全域ができたんです。で、滋賀はちょうど百分の一県ですから、二百億円掛けたら全国でできるじゃないかということで、これ常々国の方にも提案をしております。
そんなところで、今回、秋田の視察で秋田市長さんにお伺いしたんですけれども、洪水浸水想定区域と実際の被害状況のずれがどれほどあったかということで、秋田市長さんは、おおむねそのハザードマップに即したものであったけど、細部を見るとやはりもうちょっと精度を高めなければいけないということで、今後、一層予測度の高いハザードマップを拡充するには追加予算が必要だと、是非とも国の方で内水氾濫も含めた予測度の高いマップを作るための補助率のかさ上げをお願いしたいという御意見をいただいております。
また、さきの通常国会でも、気象業務法及び水防法の一部を改正する法律が改正されまして、都道府県の洪水予報河川、つまり中小河川も含めた形でということが、法令が今公布されております。
流域治水の効果を上げるには、何よりも再現性の高い、精度の高いハザードマップ作りが基本でございます。今後、五年間で国の方は約九百河川の洪水予報精度の向上を記しておりますが、秋田市長さんからの切実な要望を踏まえて予算措置を増加する御準備はおありでしょうか。局長さんにお願いいたします。
○政府参考人(廣瀬昌由君) お答えいたします。
ハザードマップは、想定最大規模の降雨による浸水想定区域図に市町村が住民の円滑な避難に役立てるため、避難場所や避難経路などを記載したものでございます。
委員御指摘いただきましたとおり、秋田市の豪雨においては、浸水被害が大きかった太平川、馬場目川などで、実際の浸水想定区域が事前に想定していた浸水想定区域の範囲内に当たるということは確認しております。
令和三年の水防法改正において、河川氾濫についてはハザードマップの作成対象を拡充し、防災・安全交付金において作成を支援しているところでございます。また、内水氾濫につきましても、防災・安全交付金を活用して、通常の下水道管路の整備と同等の補助率二分の一で浸水想定区域図やハザードマップの作成に向けた財政的な支援を行っております。
さらに、国管理河川では、特定都市河川等から順次内水と外水を一体的に分析する内外水統合型リスクマップを作成することとしており、その解析モデルを市町村に提供することで御負担の軽減も行ってまいりたいというふうに思っているところでございます。
引き続き、内水氾濫も含め、ハザードマップ作成のための財政的な支援や技術的な支援に努めてまいりたいというふうに思ってございます。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。予算だけではなくて、技術的な支援もしていただくということ、大変重要だと思います。
今回、秋田を見せていただき、本当に都市部がコンクリート化されて、そして内水氾濫が広がったということでございます。特に、雪が多いということでしょうか、広い広い駐車場がたくさんありまして、そこのところはどちらかというと流域治水の方針から見ますと地下浸透などは余りできない。どうしてもコンクリートだと一気に排水が集まってしまいます。
そんなところで、今後のコンクリート化を減らし、グリーンインフラ技術、例えば同じ駐車場でも編み目のように芝生を入れたり、もうドイツなどはかなり進んでおります。また、日本国内でも、意識のある居住者などは、そういう地下浸透を進めるような駐車場技術もございますので、駐車場の地下浸透を進める、あるいは学校の校庭、公園などの雨水の貯留機能強化など、地下浸透を場合によっては義務化をするとか、あるいは財政支援の拡充について、流域治水担当の局長様の御意見、いかがでしょうか。
○政府参考人(廣瀬昌由君) お答えいたします。
委員御指摘のとおり、内水対策を強化するためには、流域治水の考えに基づき、流域の関係者が協働して雨水の貯留浸透の取組も行っていくことが非常に重要だというふうに思ってございます。
民間による雨水の貯留浸透の取組については、特定都市河川浸水被害対策法や都市計画法等において、自治体が条例で貯留浸透機能を備えた排水設備等の設置を義務付けることができることとしております。また、国土交通省においては、自治体や民間による雨水貯留浸透施設の整備に対し財政的な支援制度を用意しております。さらに、令和三年度からは、特定都市河川浸水被害対策法等の認定計画に基づく民間の整備につきましては、補助率二分の一で支援するとともに、固定資産税の減免に関する特例措置も講じているところでございます。
引き続き、流域の関係者と一体となって対策を推進してまいりたいと思います。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
自治体で条例ができるとなると、これは本当に自治体が当事者として水の出方を関わることができます。大変心強い方策、今後とも進めていただけたらと思います。
そういう中で、今回、秋田の病院がかなり機能不全を起こしてしまいました。中日新聞の資料を一として皆さんにお示ししておりますが、七月三十一日の中日新聞の記事、厚労省研究班の調査結果によりますと、全国の災害拠点病院七百六十五施設のうち二九%、二百二十一病院が洪水浸水想定区域内に立地している。これ、災害拠点病院以外でも二八%がやはり洪水浸水想定区域内に立地しております。20230817【配布資料2-1】災害対策特別委員会(中日新聞記事)
秋田の中通総合病院では、地下に食事の施設とそれから電気施設があり、地下がやられてしまいまして、そうすると給食が作れない、あるいは電気系統が動かないというようなことで大変な状態になり、三十人の入院患者が自衛隊の協力を受けて別の病院に搬送されたということでございます。
ここで、病院施設の水害回避のための行政指導について四点お伺いしたいと思います。
まず一点目は、七月十九日に福岡県の医師会が県内の百十七機関の被害を発表しましたけれども、その被害の状態、また復旧の見込みについて、厚生労働省さんにお伺いいたします。
○政府参考人(宮本直樹君) お答え申し上げます。
御指摘の福岡県医師会による発表については、福岡県内の病院及び診療所の被害状況を福岡県医師会と福岡県が調査をし、取りまとめたものと承知しております。
百十七機関の被害の内容について福岡県からお聞きしたところ、床上浸水が十五機関で発生し、床下浸水が七機関で発生した。設備の被害については二十八機関で発生し、内容は電気、電話回線の故障、水道設備の故障、医療機器、パソコン等の故障であった。施設の被害については二機関で発生し、内容は自動ドアの故障などであった。また、それ以外の被害として、八十五機関の建物で雨漏り等が発生した。これらの被害を受け、一部の機関においては外来診療等の休止が発生したものの、遅くとも発災から十日前後で通常診療が再開されたと伺っているところでございます。
建物や医療機器等の復旧に要する期間や費用については各医療機関の被害状況により異なるものと認識しておりますが、厚生労働省といたしましても、福岡県と連携しつつ、医療機関のニーズを丁寧に伺いながら、復旧に向け必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
本当に災害のときに病院は中枢機能を擁しておりますので、BCP、ビジネス・コンティニュイティー・プランというのをそれぞれで作っていただくことが住民にとっても大事な拠点になると思います。
二点目ですが、浸水想定区域に所在し移転することが困難な医療機関に対しては、医療用設備や電気設備の想定浸水深以上への移設、移す、あるいは止水板、排水ポンプの設置のための財政支援を行う医療施設浸水対策事業がおありと聞いておりますけれども、その実施状況、厚労省さん、お願いできますか。
○政府参考人(宮本直樹君) お答え申し上げます。
厚生労働省においては、水害時においても必要な診療機能を維持するために医療施設の浸水対策を進めることは重要であると認識しており、浸水想定区域に所在し移転することができない医療機関に対して、医療施設浸水対策事業により、出入口等への止水板の設置、医療用設備や電源設備の浸水の影響を受けない高い位置への移設等に対する財政支援を行っております。
御指摘の本事業の実施状況につきましては、令和三年度の事業開始以降、令和四年度までに計三十九施設への補助を行っているところであり、引き続き令和五年度においても、本事業の積極的な活用を促し、医療施設の浸水対策に取り組んでまいりたいと考えております。

20230817【配布資料2-2】災害対策特別委員会①

20230817【配布資料2-2】災害対策特別委員会②
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
その基本的な考え方なりを全国に是非広めていただきたいと思うんですが、これから三点目に、一つの先駆的事例、紹介させていただきたいと思います。
新潟県の三条市ですが、十九年前の二〇〇四年の七月十三日の豪雨でかなりの死者も出ました。それで、地震や水害に強い病院計画を計画し、今、建設の最後になっております。先日もちょうど新潟に行ったときにすぐ横を通らせていただいたんですけど、二〇二四年三月、来年開院するということですが、ここでは管理サービス部門、総合医療情報システム、サーバー室は防災面を考慮して二階以上に設置する、そして非常電源を確保する、また救急車の出入口も二階から入れるようにというようなことで、あらかじめリスクを避ける病院建設が進められていると聞いております。
このような事前のリスク回避の計画のためにプラスアルファの予算必要ですけど、厚生労働省さんからの補助金は、例えばこの三条市の場合、出ているんでしょうか。
○政府参考人(宮本直樹君) お答え申し上げます。
医療施設の震災、水害対策については、地震時の停電、断水等の対策として非常用自家発電設備及び給水設備整備事業により非常用自家発電設備や給水設備の整備に関する財政支援を行うほか、水害対策として、医療施設浸水対策事業により、浸水想定地域に所在し移転することができない医療機関に対し出入口等への止水板の設置等への財政支援を行っているところでございます。
これらの医療施設が浸水、水害対策の補助事業については、委員が御指摘のような医療施設を新設する場合であっても交付条件を満たせば補助対象となり得るものとなっており、引き続き、これらの事業の積極的な活用を促し、医療施設の必要な浸水対策に取り組んでまいりたいと考えております。
なお、御指摘がございました済生会、新潟県の基幹病院の新設につきましては、この補助金ではなくて、地域医療総合確保基金による補助を活用しているものと承知しております。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。済みません、個別の事例でお伺いしました。
四点目ですが、千葉県の船橋市の事例、これ、これまでも一、二度伺ったことがあるんですが、現在の市民病院は災害拠点病院で、少し山側にあるんですね。それが今、メディカルタウン構想ということで、現在湿地帯である地域への病院移転が計画されております。
船橋市自身は、盛土をして調整池を造るので心配がないということなんですが、住民の皆さんが大変浸水リスクを心配しております。
これ、厚生労働省さんとして、この浸水リスクの高い地域への病院の計画というようなこと、まだ計画、設計段階なんですけれども、指導体制はつくっておられるでしょうか。千葉県の責任も大きいと思いますけど、船橋市への助言や指導などは可能でしょうか。
○政府参考人(宮本直樹君) お答え申し上げます。
一般的に医療機関の移転につきましては、患者のアクセスや必要な土地の確保、他の医療機関との位置関係など、当該医療機関の事情や地域の地理的条件などを踏まえて総合的に検討されるものと考えており、浸水リスクについても検討に当たり留意される事項の一つであるというふうに認識しております。
その上で、災害拠点病院については、厚生労働省において指定要件を定めており、近年の風水害の頻発を踏まえ、浸水想定区域に所在する場合は、風水害に生じた際の被災を軽減するため、止水板等の設置による止水対策や自家発電機の高所移設、排水ポンプの設置等による浸水対策を講じる旨の指定要件を新たに追加したところでありまして、令和六年四月に施行される予定でございます。
また、災害拠点病院の指定につきましては、都道府県が行っておりますが、別の場所に移転する場合は地理的条件等が変更されることから、改めて指定要件に合致しているか否かの確認が行われるものと承知しております。したがいまして、千葉県においても移転をされる場合には確認が必要であるというふうに考えております。
厚生労働省としては、災害発生時に災害拠点病院が役割を十分果たすことができるよう、引き続き震災対策への支援を行っていくとともに、都道府県からの相談についても必要な助言を行ってまいりたいと考えております。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
時間が迫ってしまっているんですけど、最後に大臣にお伺いしたいんですが、短くて結構です。
七月二十日に国民民主党として、この六、七月の豪雨に対して十四項目の緊急要望を出させていただいたんですが、これについて、国の方での方針など、短くて結構ですので御回答いただけるでしょうか。
○国務大臣(谷公一君) 御指摘の、玉木代表ほか委員もお越しいただいて要望書をいただきました。
その内容は、委員が本日の質疑でも取り上げられましたハザードマップや河川の整備、流域治水対策、被災医療機関への復旧支援などで、いずれもこれらは重要な事項と考えております。
個別の対策については、関係省庁から答弁があったように、それぞれの省庁でしっかり取り組んでいただけるものと承知しておりまして、その上で防災・国土強靱化担当大臣といたしまして、国民の皆様が災害に備えて早期に安全を確保する備えをしっかりしていただくとともに、また、被災後は一日も早い復旧に全力で取り組まれるよう制度の充実に努めてまいりたいと思います。あわせて、強靱化につきましても、法改正の趣旨を踏まえて、着実に五か年加速化対策後も施策をしっかりと進められるように、これも頑張ってまいりたいと思います。
○委員長(三浦信祐君) おまとめください。
○嘉田由紀子君 ありがとうございました。
以上で終わります。ありがとうございます。

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