溺死したのは猪熊遥希(いのくまはるき)くん、9歳。枚方市のサッカーチーム28人といっしょに、7日朝からびわ湖、北比良浜を訪問。午後1時頃、水泳場の外側、1.5メートルのところで水上に浮いていたところを発見され、心肺停止だったという。昼食時にいないのがわかり探索されたという。どんな経緯で28名の仲間からはぐれてしまったのか、そして溺死してしまったのか。本人はどんなに怖くて、苦しかったでしょう。そして親御さんは・・・。遥希という、未来に希望を込めた名前をつけ、日々大事に育ててこられたでしょうご両親のお心になぐさめの言葉もありません。引率したリーダーの皆さんは、そしてグループを受け入れたKという事業者さんは?
明日、8月8日に、関係者の皆さんを訪問して、猪熊遥希くんの命が失われた、その背景をひろく、ふかく、調べさせていただき、二度と同じような事故が起きないような方向を議論させていただきたいと思います。琵琶湖を管理する滋賀県の責任です。大阪の枚方市から、サッカー仲間といろいろ準備・相談をして、楽しみにして、琵琶湖に遊びに来てくださった猪熊くん。ご両親は今、どう受け止めておられるでしょうか。子どもたちを自然遊びにつれていくリーダーの皆さんの心意気、頼もしく思いながら、このような事故に直面してしまって、とってもお苦しみだと思います。
実はちょうど1週間前、8月1日に、私自身、「夏休み、特にびわ湖・湖西での水の事故に注意を!」という文章をある新聞社のコラムに寄稿させていただいていました。長くなって恐縮ですが、再掲させていただきます。
―――
「夏休み、特にびわ湖・湖西での水の事故に注意を!」
最近、滋賀県水上警察署が、琵琶湖での水の事故の結果を公表しました。過去5年間で18件の事故が起きていて13名が亡くなっています。18件のうち14件は湖西で起きているという。特に湖西の松の浦から比良浜、近江舞子浜での事故が多くなっています。なぜこの場所で水の事故が多いのか、ひとつには地形があります。この地域は表面からは見えない絶壁が水の下に隠れています。沖合10メートルいくと深さは2メートル、30メートル進むと深さ10メートルにもなります。そもそも琵琶湖は構造湖といわれ地球での断層活動によってできた湖です。その大きな断層が湖西地域を南北に走っています。陸上部では比良山系が壁のようになっていますが、その比良山系の壁がそのまま、湖中に落ち込んでいると考えてみたらわかりやすいと思います。
もうひとつは、その比良山系につながる断層のところからは湧き水が四六時中流れ出して湖中に出ているので、急に水温がさがります。浜辺が30度近い水温でも、沖合10メートル行くと足元から急に冷たい水が湧き出してきます。私自身、比良浜に住んでいるので、数メートル沖合にいくともう足がたたなくなります。それに急に水温が低くなることも経験しています。それゆえ孫たちや知り合いが浜遊びに来たら必ずライフジャケットをつけさせています。大人でも心臓マヒなど怖いです。
実は、川でも大雨の後などに土砂が流され、浅くなっているところがあれば、その近くには深いところができます。去年浅かった川が梅雨時期の大雨を経て、大きく流れが変わっている恐れもあります。大人の皆さんは、お子さん、お孫さんを水辺に連れて行くときは是非とも表面の水の流れの下には、崖や深みが隠れていること、子どもさんに伝えてください。そして「ライジャケ着用」をお願いします。
私はかねがね「水と近い暮らしを取り戻そう」と「365日の川遊び」を伝えていますが、何よりも水の事故をふせぎ、楽しく魚つかみや水泳ぎをして、ご家族やまたお知り合いと夏の思い出を子どもたちにつくってあげてください。