令和五年四月二十六日(水曜日)
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。国民民主・新緑風会の嘉田由紀子でございます。
思い起こせば、今日四月二十六日はちょうど、三十七年前、一九八六年、チェルノブイリのあの事故の日でした。ですから、こういうタイミングでこの場を、また質問の時間を与えてくださいましたことを皆様に感謝申し上げます。
〔会長退席、理事佐藤啓君着席〕
私、ちょうどその頃、琵琶湖の環境研究の研究所におりまして、それまでのスリーマイルの事故のことも学んでいたんですけど、大変なことが起きたなという思いでおりました。ただ、日本では事故は起きないということで、一九八六年以降二〇一一年まで、ああいうことが起きたんですけれども、今日はまず、青島議員が見事に世界の原発利用の国を出していただいたんですけど、日本が最もこれらの国と異なるのは地震大国だということでございます。地震と津波大国、そのことを含めて、まず最初に原子力規制委員長にお伺いをいたします。
今年の二月十三日の規制委員会で、原発の運転期間六十年超えを可能とする、新規制とする制度を盛り込んだ原子炉等規制法の改正について議論なさいました。そのときに、地質学者の石渡明委員は、この法律の変更は科学的、技術的な新技術に基づくものではないと反対の意思を示されました。
先ほどのように、日本は地震多発大国です。諸外国と比較にならないリスクを抱えております。福島第一原発の事故も地震と津波、もう両方が複合的に関わったものでございます。その分野の専門家である石渡委員の上の発言、山中委員長はどう解釈をし、そして国民に分かるようにこの辺り解説していただけたら有り難いです。よろしくお願いします。
○政府特別補佐人(山中伸介君) お答えいたします。
今回の新制度案は、発電用原子炉の高経年化に関して新たな科学的、技術的な知見の存在を踏まえて検討を開始したものではなく、経済産業省が運転期間に関する利用政策の観点から行う検討に対応する形で高経年化した発電用原子炉の安全規制を厳格にしようとするものでございます。
〔理事佐藤啓君退席、会長着席〕
石渡委員の反対という御意見に対する私としての見解を申し上げますと、石渡委員の御見解は科学的、技術的な観点というよりは、運転期間の定めについては規制委員会が意見を申し述べる事柄ではないと決定いたしました令和二年七月の原子力規制委員会の見解についての考え方が石渡委員と私を含めた四人の委員とでは根本的に異なることによるものと理解しております。
○嘉田由紀子君 見解としてはですから科学的、技術的な証明ができるものではなく、やはり利用の側からという立場と理解させていただきます。
そして、実は、例えば高経年化、これ耳で聞いて分からないんですよね。一般的には老朽化といいますけど、こうやって社会的なイメージを、何ていうんでしょうか、分かりにくく分かりにくくするのがある意味で政府のやり方だったと思うんです。
私自身は科学者でありながら、同時に住民の皆さんとのインタラクションをずっと専門でやってきた環境問題の研究者ですので、この高経年化、そして、分かりにくくするというところからして、次のところで技術的安全性は、じゃ、どのようなデータに基づいてどう判断するのか、ここのところは委員長どう説明していただけるでしょうか。
○政府特別補佐人(山中伸介君) お答えいたします。
お尋ねの発電用原子炉の劣化事象には幾つかの事象がございます。その中で、原子炉の中で中性子照射によって脆化が起こるというものがございます。これは核分裂反応によって生じる中性子の照射によって原子炉の圧力容器の金属がもろくなるという現象でございますけれども、その影響を評価するためには、まず、原子炉容器と同じ金属材料でできた複数のサンプル、これを原子炉容器の内部に装着して、運転開始後、それを適切な時期に取り出して意図的に破壊するというような試験を通じてそのもろさを測定する必要がございます。
そのサンプルは、原子炉容器の壁より少し内側に装着しており、原子炉容器よりも多くの中性子を照射されています。つまり、原子炉容器が将来受ける中性子の量を常に先取りして受けていることになり、将来の劣化状態を観測しているのと同じことになります。
原子力規制委員会は、このように劣化状態を踏まえた事業者が行う各評価結果が審査基準における要求事項を満足していることを確認しております。
○嘉田由紀子君 御丁寧にありがとうございます。
容器の中にサンプルを置いていて、それをどこまで脆化したかということをそれぞれの原子炉の中で調べて、例えば、高浜の三、四号機だったらどうだとか、大飯の三、四号機だったらどうだということをデータ化した上で、そして、そこに地震の圧力が、これだけのものが来たら破壊するおそれがどれだけのパーセンテージとか、そんな言わばシミュレーションをしていらっしゃるというような理解でいいんですか。
○政府特別補佐人(山中伸介君) そのとおりの御理解で結構かと思います。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
私が、ともかくこの問題に三・一一以降とってもこだわっているのは、知事として、実は一番近いところが敦賀原発、十六キロなんです。それこそ今日、太田副大臣もおられますけれども、大阪、京都、一千四百五十万人に飲み水を供給している琵琶湖の水源から敦賀、十六キロ、それから、大飯、三十キロ、高浜というような状態なので、もしここで福島並みの事故が起きたらどうなるかということで、全国でも初めて大気汚染、水質汚濁、それから生態系への影響のシミュレーションをしました。
結果的には取り返しのない状態になると。つまり、関西圏で飲み水が一か月とか二か月使えなくなるというようなシミュレーション結果を得たものですから、まあ電源の代わりはあるけれども琵琶湖の代わりはないということで、安全には安全をということを政治家としても求めております。
そういうところで、これからのCO2削減の可能性ですけれども、IPCC、温室効果ガスの排出量、二〇三五年までに一九年比で六〇%を減らすということを言ってられますけれども、そのキーとなるのがカーボンプライシング、炭素課金ですね。これも、もう二〇一〇年くらいから全国知事会などで先駆的に議論していたんですけど、今回、官民合わせて百五十兆円以上の脱炭素投資を見込み、そのうち二十兆円は国が支出することになっています。
20230426【配付資料】資源エネルギー・持続可能社会に関する調査会
今年度からということですが、私ここに問題が二点あると思っております。まず一点は、温室効果ガスの削減の見込みが不透明な分野が含まれているのではないかと。例えば、原子力だったらどこまで、ライフサイクルのCO2の排出を見ながら、あるいは水素、アンモニアなど、この脱炭素に貢献できる、その見通しをどう説明していただけるでしょうか。お願いいたします。
○副大臣(太田房江君) 嘉田委員には、知事時代に琵琶湖の環境問題、熱心に取り組んでいただいて、私も多くの勉強をさせていただきました。そういう中での御質問だと思います。
私ども、エネルギー基本計画につきましては、先ほど来お話ししておりますように、徹底した省エネ、そして非化石エネルギーの拡大を進める中で、需給両面における様々な課題、非常に難しい課題を同時に解決しなくてはならないという、難しい連立方程式を解くようなその作業をした上で、二〇三〇年度のエネルギーミックスを示させていただいたわけでございます。
嘉田委員、御質問は、それぞれのエネルギー源でどのぐらいのCO2削減効果があるのか、琵琶湖でやったようなその積算のようなことはできているのかと、こういう御質問かと思うんですけれども、私ども、このエネルギーミックスの中では、二〇一三年度比で約四五%程度の水準、これが二〇三〇年度温室効果ガス四六%削減との整合性も取れた形で実現していくように努力をしたいと、こういうことでございます。
燃種別、エネルギーの種類別にですね、どのぐらいのCO2削減効果があるのかと網羅的にお示しするのは、今申し上げたようなことで、これは技術開発等いろんな変化がこれから生じていく中で、そのそれぞれについては丁寧な網羅的な排出削減効果はお示しできておりません。そして、このほかに、電力由来だけではなくて、その電力由来のエネルギー起源CO2削減量を二〇三〇年度比六二%の水準まで下げることができるんではないかということをこのエネルギーミックスの達成の中では示してございます。
二月十日に閣議決定しましたGX実現に向けた基本方針でも、官民一体で百五十兆円超のGX投資を実現させていくべく、成長志向型カーボンプライシング構想の下で、国が先行して二十兆円の大きな投資をするということを申し上げておりますけれども、こういう中で、お示しのような点を認識しながら、気候変動に関する国際公約の実現に向けて取組を加速させていきたいと考えています。
○嘉田由紀子君 御丁寧にありがとうございます。
その中で、タイミングが私遅過ぎるんじゃないのかととっても心配をしております。
今日、皆様に資料一枚お渡ししましたけれども、四月十九日に経産省さんが配っていただいたものですけど、有償オークションは二〇三三年度以降、それから課徴金、これ二〇二六年以降、何でそんなに待つんですかということですね。二〇三〇、四六パー削減だったら、もう今すぐにでも取りかかってほしいということを私たちは期待をするんですけど、この辺りのタイミングが遅過ぎるのではないのかと。また、その価格ですね、課徴金、炭素一トン当たり幾らになるか、それがEUと比べてどうかということで、ちょっと時間がありませんので短めにお願いできたらと思います。
○副大臣(太田房江君) 今お示しの二十兆円規模の大胆な先行投資支援ということとともに、カーボンプライシングを導入時期を明確にした上で、当初低い負担から徐々に水準を上げていくという方針もあらかじめ明示することで、企業が前倒しでインセンティブを受ける形での仕組みとして、おっしゃいましたようなそのCO2の削減ということに有効に取り組んでいただきたいというのが我々の考えている仕組みでございます。
それからもう一つ、炭素価格についてでございますけれども、炭素価格は、OECDのデータにおきましては、欧州で炭素税やエネルギー関係税制の炭素価格、一トン当たり一万円程度というデータがあることは御承知かと思います。
ただ、例えば炭素税の炭素価格が一万円を超えているスウェーデンでも発電用途や原料用途は免税されているということなど、各国の経済や産業等の事情を踏まえて制度設計がされておりますので、一概に炭素価格のみで単純比較を行うのは困難でございます。その点御理解いただければと思います。
以上でございます。
○会長(宮沢洋一君) 太田副大臣、副大臣、何でもっと早くできないかという質問なんですよ。
○副大臣(太田房江君) はい。
御指摘の有償オークション等についての御質問でございますけれども、今、もう既に本リーグ、GXリーグというものが施行されておりまして、六百社以上の参加表明をいただいております。これはEUと同水準の国内排出量の四割以上カバーを既にしておりまして、これが始動しております。
また、本リーグでは、国、企業双方が知見を蓄積をさせつつ、二〇三三年度からの有償オークションにつなげていくということでございますので、これら全体として、経済成長、産業競争力強化とともに排出削減を共に実現していくということでございますので、我々のこの仕組みが日本に一番合った仕組みとしてしっかり稼働させるよう、これからも努力してまいりたいと思います。
○嘉田由紀子君 じゃ、既に始まっているんだったら、始めていますというふうに書いていただいたらいいんですけど、二〇三三年度以降というとのんびりし過ぎているんじゃないのかと、もう目の前に危機が迫っていますから。もうこれはコメントでございます。
それで、質問五なんですけど、自治体でも、それぞれの民生系エコ住宅の支援とか電気自動車の普及など随分自治体も投資しているんですけど、今回のこのGXの中で地方自治体への支援なり補助というのは財政的にあるんでしょうか。
○副大臣(太田房江君) 環境省の方で地域における脱炭素のモデルとなる地方自治体を脱炭素先行地域として選定しておられまして、こうした地方自治体に対しては地域脱炭素の推進のための交付金によって支援を行っているところであります。
また、今般導入します成長志向型カーボンプライシング構想では、化石燃料の輸入事業者等や発電事業者に対してカーボンプライシングを導入し、その収入を財源として活用してGX経済移行債による二十兆円規模の先行投資支援を行うものでありますが、民間企業のみでは投資判断が真に困難なものにこれを充てるということにいたしております。
地方にこういうCO2を多く排出する多排出産業が多く立地をしているということに配慮をいたしまして、こうした企業に対してはGX経済移行債を活用した先行投資支援を行うということが地方における排出削減と産業競争力強化、経済成長の実現に大きな効果があるものと認識をし、これらの政策を始めとした様々な政策を総合的に講じることで地方におけるGXの強力な推進というものを支援してまいりたいと思います。
○会長(宮沢洋一君) 申合せの時間が来ておりますので。
○嘉田由紀子君 はい。
ありがとうございます。
確かに、環境省さん、あるんですけど、額が三桁か四桁違います。そこのところだけコメントさせてください。
そして、東京電力さん、済みません、廃炉の行く行くのデブリをどうするかということで質問出させていただいていたんですけど、ここはもう時間がありませんので、また質問主意書か何かで聞かせていただきます。
本日、どうもありがとうございました。